――インフラやウェブサービスの事業者たちが見据えているような大きな時代の変化に、宇野さんの抱えていた問題意識がシンクロしていたということかなと思いました。
宇野 結果的に、僕自身も予想していなかった需要があったのだから、そうかもしれないね。 こういう問題意識のあり方は、そもそも僕の批評のモチーフと強く関わっているんだよ。例えば、僕は特撮が好きなのだけど、あれは「現実には存在しないキャラクターを一度造形物に落とし込んで半現実化したものを映す」という形でしか成立しない映像表現なんだよね。
一方で僕は、「現実そのものを映したもの」にも、「現実とは完全に断絶した虚構を映したもの」にも興味が持てない。本当に興味があるのは、特撮のように「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」なの。それは個人的な趣味嗜好にも反映していて、だから特撮以外でも、絵画よりも立体造形物の方が好きで、模型も大好き。
このあいだ反響があったレゴ対談も、こうした興味の延長線上で作られている。
▼関連記事 【対談】根津孝太(znug design)×宇野常寛「レゴとは、現実よりもリアルなブロックである」
僕自身は、こういう感性というのは、現実に商品やサービスを制作して、それによって新しい文化やビジネスを生み出していくような動きにどこか親和性がある気がするんだよね。実際、イノベーションやマーケットの力というのは、まさに「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」に力を与えていくものなわけでしょう。
その他の記事
![]() |
アマゾンの奥地にしかない「知覚の扉を開く鍵」(高城剛) |
![]() |
名称だけのオーガニック食材があふれる不思議(高城剛) |
![]() |
失敗した「コンパクトシティ」富山の現実(高城剛) |
![]() |
「犯罪者を許さない社会」っておかしいんじゃないの?(家入一真) |
![]() |
YouTube広告問題とアドフラウド(やまもといちろう) |
![]() |
脳の開発は十分な栄養がなければ進まない(高城剛) |
![]() |
「リバーブ」という沼とブラックフライデー(高城剛) |
![]() |
「一人負け」韓国を叩き過ぎてはいけない(やまもといちろう) |
![]() |
川端裕人×オランウータン研究者久世濃子さん<ヒトに近くて遠い生き物、「オランウータン」を追いかけて>第3回(川端裕人) |
![]() |
なぜいま、世界史なのか? なぜ『最後の作品』が世界史なのか?(長沼敬憲) |
![]() |
次々回衆議院選挙10増10減の恐怖と有力政治家国替え大作戦の今後(やまもといちろう) |
![]() |
僕が今大学生(就活生)だったら何を勉強するか(茂木健一郎) |
![]() |
『犯る男』朝倉ことみさん、山内大輔監督インタビュー 「ピンク映画ってエロだけじゃない、こんなすごいんだ」(切通理作) |
![]() |
ロシアによるウクライナ侵略が与えるもうひとつの台湾有事への影響(やまもといちろう) |
![]() |
いわゆる「パパ活」と非モテ成功者の女性への復讐の話について(やまもといちろう) |