時代に合わせて多様性を受け入れていく
竹田:日本人にはまだ、お互いのアイデンティティが違うことを意識して仕事をしたり、日常的に生活する習慣がありませんよね。宗教が違うとか、肌の色が違うとか、民族が違う人と、うまく付き合っていくための肌感覚を掴めていない。そこをどう乗り越えるかがこれからの大事な課題になるように思います。
城:なるほど。お風呂やジムで刺青を入れてる人を入れるべきかどうかという論争も、その「異文化の人との付き合いの浅さ」に問題の根があるかもしれませんね。
私がよく利用しているジムでは、お客さんの3割は外国の方で、その半分くらいは何かしら刺青が入っています。もちろん「刺青の方はご遠慮ください」という貼り紙は貼ってありますが、外国人に言っても仕方がないから、事実上はルールとして機能していません。こうした日本特有の文脈に沿ったルールは、グローバル時代にはもはや守ることはできなくなっている。ただ、そこにつけこんで全身に紋々を入れた日本人がロッカーで一般人を威圧してたりする(笑)。これはこれでやはりマズいですよね。
もちろんこれで客足が減るなど何らかの実害が出るようなら、ジムとしても何らかの対策を検討しなくてはならないでしょうね。ただ、我々が作ってきた古い規範については、時代に合わせて一度丸ごと見直す必要があるとは思いますね。
竹田:僕が会社に勤めていたとき、職場にイギリス人が何人かいたんですけど、最初はイギリス人同士なら仲よく働いてくれるだろうとなんとなく思っていたんです。でも、いざ仕事をさせてみると、イギリス人同士が一番もめるんですね(笑)。同じイギリス人でも階級の違いを猛烈に意識する人がいて、話す英語も全然違うんだと。そういう経験をいろいろして、本当の意味でのダイバーシティ(多様性)というものがだんだんわかってくる。
もちろん、個人として自分のまわりの壁の内側で閉じこもって生きていく選択肢もなくはないと思いますが、観光客を2000万人に増やして雇用を創出しようと考えているのであれば、社会全体としてはありえない。
小学生の頃から英語を教えるのもいいけれど、それ以前に「自分と違う他者がいる。それが当たり前なんだ」ということこそ、教えていかないと仕事や職場で通用しない。それに、これこそ、今すでに社会で働いている30~40代がこれから仕事で活躍するために、もっとも知っておかなくてはならないことのような気がするんです。
(編集:夜間飛行編集部 写真:安部俊太郎)
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「ありえないこと」が普通に起こる激変の「10年後」の世界で力強く生き残る方法、お伝えします。
<目次より>
1主体性を持って仕事をする
2嘘と本当を見分ける方法
3年功序列に期待するな
4環境が人を変える
5流動性のない組織に成長はない
6”研修”ですべてを変えるのは無理
7自分の市場価値を高める
8世の中にただ飯はない
9きれい事しか言わない人を信用してはならない
10ローンは組まないほうがいい
11若手に仕事を任せる
12過去の成功体験は捨てる
13「人に優しい会社」などない
14会社の”社会保障”には期待しない
15ブラック企業の心配をする暇があったら勉強しろ
16未来の成功体験はこれから作られる
四六判並製1C・248頁
定価 本体1600円+税
ISBN978-4-906790-09-8
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