城繁幸
@joshigeyuki

城繁幸×竹田圭吾特別対談(その3/全3回)

ネトウヨとサヨクが手を結ぶ時代のまっとうな大人の生き方

時代に合わせて多様性を受け入れていく

 

187A6740sm竹田:日本人にはまだ、お互いのアイデンティティが違うことを意識して仕事をしたり、日常的に生活する習慣がありませんよね。宗教が違うとか、肌の色が違うとか、民族が違う人と、うまく付き合っていくための肌感覚を掴めていない。そこをどう乗り越えるかがこれからの大事な課題になるように思います。

 

:なるほど。お風呂やジムで刺青を入れてる人を入れるべきかどうかという論争も、その「異文化の人との付き合いの浅さ」に問題の根があるかもしれませんね。

私がよく利用しているジムでは、お客さんの3割は外国の方で、その半分くらいは何かしら刺青が入っています。もちろん「刺青の方はご遠慮ください」という貼り紙は貼ってありますが、外国人に言っても仕方がないから、事実上はルールとして機能していません。こうした日本特有の文脈に沿ったルールは、グローバル時代にはもはや守ることはできなくなっている。ただ、そこにつけこんで全身に紋々を入れた日本人がロッカーで一般人を威圧してたりする(笑)。これはこれでやはりマズいですよね。

もちろんこれで客足が減るなど何らかの実害が出るようなら、ジムとしても何らかの対策を検討しなくてはならないでしょうね。ただ、我々が作ってきた古い規範については、時代に合わせて一度丸ごと見直す必要があるとは思いますね。

 

竹田:僕が会社に勤めていたとき、職場にイギリス人が何人かいたんですけど、最初はイギリス人同士なら仲よく働いてくれるだろうとなんとなく思っていたんです。でも、いざ仕事をさせてみると、イギリス人同士が一番もめるんですね(笑)。同じイギリス人でも階級の違いを猛烈に意識する人がいて、話す英語も全然違うんだと。そういう経験をいろいろして、本当の意味でのダイバーシティ(多様性)というものがだんだんわかってくる。

もちろん、個人として自分のまわりの壁の内側で閉じこもって生きていく選択肢もなくはないと思いますが、観光客を2000万人に増やして雇用を創出しようと考えているのであれば、社会全体としてはありえない。

小学生の頃から英語を教えるのもいいけれど、それ以前に「自分と違う他者がいる。それが当たり前なんだ」ということこそ、教えていかないと仕事や職場で通用しない。それに、これこそ、今すでに社会で働いている30~40代がこれから仕事で活躍するために、もっとも知っておかなくてはならないことのような気がするんです。

 

(編集:夜間飛行編集部 写真:安部俊太郎)

 

2014年6月20日発売!

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』

城 繁幸 著

 

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ある日、「サラリーマンなんて言われたことやってれば楽勝だろ」が信条の山田明男に、とんでもないミッションが与えられてしまう。史上初の”終身雇用”プロ野球球団「連合ユニオンズ」への出向! 山田が見た終身雇用システムの光と影とは!?

 

――衝撃のストーリーが教えてくれる、すべての働く人のための生き残り術!

 

眼を閉じて、10年後の自分を思い浮かべてみてください。

「責任ある仕事を任され、安定した収入を得ている」そんな自分を明確にイメージすることができますか?

「さすがに失業している……ってことはないだろう」と思ったあなたは、日本の雇用環境についての見通しが少し甘いかもしれません。

人事部門には、「人材は職場環境で作られる」という格言があります。確かに、環境は人を変えます。でも、その環境を変えるのもまた人であり、その人自身の心の持ちようです。

さて、あなたは10年後に仕事で困らないために、今、どんな心構えで、何を準備すればいいのでしょうか。

この本では、「もし日本労働組合総連合会(連合)がプロ野球チームを保有して、全選手を終身雇用にしたら何が起こるのか」を細かくシミュレーションしました。そこには多くの日本人が見落としている「雇用の真実」を見つめるヒントが詰まっています。

「ありえないこと」が普通に起こる激変の「10年後」の世界で力強く生き残る方法、お伝えします。

 

<目次より>

1主体性を持って仕事をする
2嘘と本当を見分ける方法
3年功序列に期待するな
4環境が人を変える
5流動性のない組織に成長はない
6”研修”ですべてを変えるのは無理
7自分の市場価値を高める
8世の中にただ飯はない
9きれい事しか言わない人を信用してはならない
10ローンは組まないほうがいい
11若手に仕事を任せる
12過去の成功体験は捨てる
13「人に優しい会社」などない
14会社の”社会保障”には期待しない
15ブラック企業の心配をする暇があったら勉強しろ
16未来の成功体験はこれから作られる

 

四六判並製1C・248頁
定価 本体1600円+税
ISBN978-4-906790-09-8

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城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

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