自分と世界が調和する時
こんなことを考えてみましょう。ユングもよく出す例なのですが、雨乞いの祈祷師のことです。
中国の田舎で、干ばつが続きいていたときのこと。そこに雨乞い師が呼ばれました。で、どうするか。護摩をたき、全身全霊で祈りをささげる、というようなパターンを想像しがちですが、実はさにあらず。
道士は何もせず、用意された小屋にただはいって、そこに座っただけなのでした。そのまま何日かすぎると、なんと、雨が降り出した、という結末。
これは一体、魔術やシンクロニシティの喚起なのでしょうか?
道士がいうには、その場の調和が乱れていた。だから、まずは自分のなかに調和を取り戻すことで、自然にその周囲の世界にも調和が戻ってきた、というのです。
この逸話が本当かどうかはわかりませんが、シンクロニシティ的な奇跡の現象をよく表わしていると思うのです。
自分と世界が調和したときに、不思議な一致が「おのずから」起こってくる。これは自分の力が無理やりに何かを起こしているというのではない、ということ。
がつがつと何かを祈念するときには、実はその願いがかなわなかった場合にたいしての恐怖や恐れが必ずセットになっています。
感情としては、恐怖や恐れの方が強い。だから、そちらにひきずられてしまいがち。そうではなく、気持をオープンにして、この世界にたいして開いていくということ。
それがもしかしたら、シンクロニシティが起こり「やすく」なるということなのかもしれません。これが黒魔術と白い魔法の、実際のところの違いではないかと思っています。
※この記事は「鏡リュウジメールマガジン プラネタリー夜話」2013年5月13日 Vol.044<シンクロニシティの起こし方>を元に再構成したものです。
鏡リュウジさんのメールマガジン「プラネタリー夜話」は月2回発行! ご購読はこちらから↓
http://yakan-hiko.com/kagami.html
鏡リュウジさん新刊『秘密のルノルマン・オラクル』、2014年8月10日発売決定!
日本初。36枚のルノルマンカードと本格的な解説書のセットが登場!! 欧米で大ブーム! ルノルマンカードとは? ナポレオン妃お抱え占い師マドモアゼル・ルノルマンに由来する伝説のカード占い。 近年、タロットよりすごいと欧米を中心大評判のルノルマンカードを、西洋占星術・神秘学研究の第一人者である鏡リュウジ氏が紹介。タロットでもトランプでも、天使カードでもない、新たに再発見されたオラクルカードとして世界的ブーム!
1968年3月2日生まれ。占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)。占星術・占いに対する心理学的アプローチを日本に紹介したことで、幅広い層から圧倒的な支持を受け、従来の『占い』のイメージを一新する。英国占星術協会、英国職業占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。平安女学院大学客員教授。夜間飛行よりメールマガジン「プラネタリー夜話」配信中。


その他の記事
![]() |
スマホVRの本命「Gear VR」製品版を試す(西田宗千佳) |
![]() |
インターネットに期待されてきた理想と現実の落差(やまもといちろう) |
![]() |
ウクライナ問題、そして左派メディアは静かになった(やまもといちろう) |
![]() |
真っ正直に絶望してもいいんだ(甲野善紀) |
![]() |
Yahoo! JAPAN「爆速」の終わり(やまもといちろう) |
![]() |
週刊金融日記 第309号【東大現役合格率上位15校すべてが男子校か女子校だった、麻生財務大臣は森友問題でG20欠席】(藤沢数希) |
![]() |
「常識」の呪縛から解き放たれるために(甲野善紀) |
![]() |
タロット、ルノルマン……人はなぜ「カード占い」にはまるのか(鏡リュウジ) |
![]() |
古い日本を感じる夏のホーリーウィークを満喫する(高城剛) |
![]() |
子供会にLINEを導入してみた(小寺信良) |
![]() |
“美しい”は強い――本当に上達したい人のための卓球理論(上)(山中教子) |
![]() |
美しいものはかくも心を伝うものなのか(平尾剛) |
![]() |
パラリンピック「中止」の現実味と、五輪中止運動のこぶしの下ろし先(やまもといちろう) |
![]() |
交渉の天才としての桃太郎(岩崎夏海) |
![]() |
ヘッドフォンの特性によるメリットとデメリット(高城剛) |