いかがでしょう?
アンはマシューと一緒に通ってきた道に、「街道」(avenue)の代わりに「歓喜の白路」(White Way of Delight)という名前をつけます。それから、自分は、ふさわしくない名前があると、いつも新しい名前を考えるのだといい、孤児院にいた女の子に、ひそかに別の名前をつけていたことを話します。このあたりは、ちょっとユーモラスですね。
この場面は、アンの感激力を表しています。地元の人が、ただ「街道」(avenue)と名づけて済ませてしまう場所に、新しい名前をつける。ここには、何げないものにも心を動かし、そこに意味を与えずにいられない人間の根源的な衝動があります。こういう感激力をもつアンだからこそ、この後、見慣れた日常を新鮮な風景に変えて、周囲の人に感化をもたらして行くのです。
その一方で、マシューの、「ちょっとキレイなところだね」と済ませてしまう、実際的なセンスも、この部分の読みどころです。英語圏には、アンのような人よりも、むしろマシューのような人の方が多い。英語圏が実際的なセンスを文化として持っていたからこそ、文明が発展したともいえます。原書に親しむことは、そのような、英語圏の人々の性格のようなものにまで出会い、読み取る機会を与えてくれるのです。
英語を通して、英語以上のものを学ぶ。英語学習は、単なる検定試験の点数稼ぎではない。人間としての幅を広げる、習練の場なのです。
この名文!
It's the first thing I ever saw that couldn't be improved upon by imagination.
想像力を使ってもそれ以上良くできないものなんて、初めて出会ったわ。
その他の記事
|
自民党党内処分と議員組み換え狂想曲(やまもといちろう) |
|
アップル暗黒の時代だった90年代の思い出(本田雅一) |
|
なぜ若者に奴隷根性が植えつけられたか?(後編)(岩崎夏海) |
|
「モテる人」が決して満足できない理由(岩崎夏海) |
|
飲食業はその国の社会の縮図(高城剛) |
|
俺たちにとって重要なニュースって、なんなんでしょうね(紀里谷和明) |
|
レンズ企業ツァイス社の歴史を振り返る(高城剛) |
|
萌えセックス描写溢れる秋葉原をどうするべきか(やまもといちろう) |
|
元を正せば……という話(本田雅一) |
|
急成長SHEINを巡る微妙で不思議な中華商売の悩み(やまもといちろう) |
|
新陳代謝が良い街ならではの京都の魅力(高城剛) |
|
ウクライナ情勢と呼応する「キューバ危機」再来の不安(高城剛) |
|
遺伝子と食事の関係(高城剛) |
|
「支持政党なし」の急増が示す政治不信の本質(やまもといちろう) |
|
「温かい食事」だけが人生を変えることができる #養生サバイバル のススメ(若林理砂) |











