若林理砂
@asilliza

若林理砂メールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」より

除湿、食事、温灸……梅雨時のカラダ管理、してますか?

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梅雨が始まります。湿気対策を万全にしないとならない季節。日本の養生の要ともいえる季節です。

湿気が多すぎる状態は、湿邪をうみます。風・寒・暑・湿・燥・火という、六気は、季節ごとにそれぞれ大気を支配するわけですが、これらが多すぎる状態では六気は六淫(ろくいん)と言って、よこしまなものに変化し、人体を脅かすと考えます。

湿邪はとっても厄介。体の中にじんわりと染みこんで、へばりつくようにして関節を犯し、胃腸を重くして、皮膚に湿疹なんかも引き起こしつつ、全体の活力を奪っていきます。

湿気の季節の養生は、中国大陸にはあまり存在しない養生です。なんせ、中原は乾いています。カッピカピです。なので、湿邪に関しては、私は貝原益軒「養生訓」を参考にしています。いつも乗っけている、黄帝内経の四気調神大論は使えないの。梅雨の項目はないからね。一応季節は夏だととらえるので、夏の項目は載せておくけどね。

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「夏三月、此謂蕃秀。天地気交、万物華実。夜臥早起、無厭於日。使志無怒、使華英成秀、使気得泄、若所愛在外。此夏気之応、養長之道也。逆之則傷心、秋為がい瘧(がいぎゃく)、奉收者少、冬至重病」

夏三月、此れを蕃秀と謂う。天地の気交わり、万物華さき実る。夜に臥して早く起き、日を厭うことなかれ。志をして怒ることなく、華英をして成秀せしめ、気をして泄を得せしめ、愛する所外にあるがごとし。此れ夏の気の応、養長の道なり。これに逆らうことすなわち心を傷り、秋にガイ瘧を為す、収に奉ずるもの少なく、冬に重病に至る。

要点を現代語訳するとー。

・夏の3ヶ月(梅雨明け後〜9月頃)は、夜に寝て日の出頃に早起きすること。
・お日様を嫌がらないで、恋人に会いに行くように外に出ること。
・怒らず、花がパーッと開くように気を外へ発散させるように活発に過ごすこと。
・これに逆らうと秋になってがい瘧(がいぎゃく)、発熱と悪寒を周期的に繰り返す病になる。冬になると更に悪化する。

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貝原益軒先生が言うには、「湿気のある家ならさっさと引っ越せ、カラダに悪いぞ」とのこと。まあひどい(笑)。そんなに簡単に引っ越せないでしょうが。なので、除湿機をしっかり使うことが大切なんですよねえ。

除湿機、買いましたか? 夏のボーナスまで待つ? いや遅いと思う。

http://allabout.co.jp/gm/gc/2313/

うちのは価格的に安いのでデシカント方式ですよ。

湿邪はじわっと、しかし確実にカラダを損ないます。しかも、湿邪って一度カラダに入り込むとものすごくしつこいのだよ。追いだすのにとても時間がかかるの。なので、出来るだけカラダに取り込まないのが大切。寝室だけでもパキっと乾かす。これだけでもだいぶ快適よ。

食事量も少し控えめにします。食べ過ぎ・飲み過ぎは体内の湿邪を追い出す力をそいでしまいます。湿気には軽い食事、覚えておいて。

食材としては豆類がよく使われます。小豆、大豆、黒豆、えんどう、枝豆などなど。どんな豆でも体内の湿気を取り去って乾かしてくれます。また、季節の果物であるメロンやマクワウリも体内から水分を抜いてくれる食材。

お風呂に入るのも良い方法です。41度程度のお湯ではっきりと発汗するまで入浴! その後、汗をしっかり拭いて、発汗が収まってから着衣。扇風機で汗を乾かしたりしないようにね、冷えちゃうよ。

むしむしするからって湯船に入らない人が増え始めるのが梅雨時ね。それやっちゃうと浮腫が消えなくなってくるからね。銭湯とか行ってサウナに入ったりして汗かかせてリセットするのも手だよ。

早い段階でペットボトル温灸用のホット専用ペットボトルは確保しておいてね。地方によってはコンビニのホット飲料がもう撤去されてたりします。

http://onkyu.yakan-hiko.com/

こういう、オレンジ色のキャップのヤツね。

ペットボトル温灸では、失眠と中かん、尺沢を利用。

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もうね、寝る前の習慣にしとくといいよ。特に失眠。足のむくみにはこれで対応可能。妊婦でも使えるからどんどんやって。

そういえば、そろそろ虫さされの季節……。なんかねえ、デング熱とか去年から出ているからとにかく刺されないことが大切なんだけど、さされちゃったときはお灸を使うとかゆみが消える。これはペットボトル温灸でも同じように使えるので是非試そう。

 

若林理砂のメールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法

92015年5月24日Vol.098もくじ

01:養生予報:梅雨対策を!湯船で発汗、豆の摂取。むくみにペットボトル温灸
02:鍼灸師の養生メシ日記
03:Q&A:読者からの質問、食事指導:今回はお休みです。
04:わかりたいあなたへ。りさちゃん先生の東洋医学:
欲情こよみ:東洋医学における性の健康(3)
05:臨床家の眼から:「運動」っていうとみんな顔をしかめる(5)
06:てらじん×りさの漢方雑談:夏の養生は東南アジア寄りにシフト?
07:奥様が魔女:1年の中で5月がいちばん良いと思いませんか?
08:りさせんせーんちの家事&子育てお役立ちコーナー:親の教育と遺伝

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若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。現在3ヵ月先まで予約が埋まるほどの人気を集めている。

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