名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文のメルマガ『生きるための対話(dialogue)』より

身近な人に耳の痛いアドバイスをするときには「世界一愛情深い家政婦」になろう

 

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【質問】身近な人に注意をするのが難しい

名越先生のメルマガを参考に、自分のなかの小さな怒りや勝手な思い込みを観察し、できるかぎりそれを払うようにしています。以前よりも自分自身、怒りに囚われなくなったような気もしますし、他人が怒っていても、それはその人の本質ではなく、たまたまいまそういう状態なのだと思えるようになりました。

ただ、身近な人が相手になると、どうしても「そんなことでいつまでも怒らないほうがいいよ」「いつまで怒ってるんだよ」と注意したい気持ちになることがあります。しかし、注意すること自体は悪いことではないかもしれませんが、そこに相手に対する「見下し」「軽視」が含まれているようで、あまり気持ちよくはありませんし、言い方を間違えると、余計に相手を怒らせてしまうことにもなりかねないと思います。

身近な人に注意したり、忠告したりするときに、注意すべきことは何でしょうか。

 

 

身近な人間関係は心理学的には「ハイレベル」な課題

 

感情的になっている人を見ると「いつまで怒ってるんだろう」とがっかりしたり、操作したくなったり、見下したりしてしまうことがあります。特にそれが家族や友人など、身近な人であればなおさらです。相手に対する「軽視」や「見下し」の怒りにとらわれ、こだわってしまうことになりがちです。

家族や同僚のように、いやおうなく毎日顔を合わせなければならない相手が怒りに囚われていると、どうしても、こちらも影響を受けてしまいます。また「どうしてそんなに怒ってるんだろう?」とイライラしてしまうことにもなりやすい。そういう体験をしたことのある人も少なくないでしょう。

そういう中で、相手に注意する、忠告するというときには、自分の感情を明るく、安定させておくことに気を配っておく必要があります。そうじゃないと、せっかくの忠告が相手を怒らせ、またあなた自身の心をさらに乱すことにもなってしまいます。

こうした「いやおうなく何度も顔を合わさなければならない人」への感情をコントロールしながら関わるということは、心理学的にもなかなかハイレベルな課題といえます。赤の他人や、職場の同僚ぐらいの距離感であれば仲良く日々を過ごすことができている人でも、正月に実家に帰って良心と3日間過ごすだけで、イライラがつのって、ストレスでヘトヘトになってしまうという人も多いはずです。

「身近な人間関係」がもたらすストレスというのは、それだけ強いものなのです。

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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『質問です。』(飛鳥新社、2013)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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