※やまもといちろうさんのメルマガ「人間迷路」Vol.110<野菜ジュースやトクホ飲料報道に見る東洋経済オンライン好調のウィークポイントと、LINEが頑張っていろんなことをやっている事業のフォローアップの回>より
私が言うのもなんですが、最近はアジア進出に力を入れている会社が身の回りに多く、シンガポールだベトナムだといろんなところを飛び回っているビジネスパーソンの方々の精力的な活動には頭が下がります。
一方で、ビジネスの成長に目がくらんでしまったのか、自社の国内事業の伸び鈍化を回避するために無理矢理アジアでのビジネスに打って出る人も含めて、国内でパッとしないのであまりこれといった目論見なくアジア進出を決めてしまう人も散見されます。
いや、行けば行ったで何かある可能性がありますから、それは否定しないのですよ。異国の地でチャンスを掴んで、ドーンとビジネスをやるも良し、現地と日本の架け橋になるも良し。ただ、例えばシンガポールに進出したとして、向こうだってもうそれなりのビジネスセンターになっていて、いろんなものが決めごともあるし、物価も高く、簡単ではない場所です。
そこへ、それほど上手くもない英語と固まっていないビジネスプランを引っ提げて、無理に先方ににじり寄るビジネスパーソンの姿を見ると、この人はいったい何を考えて現地に行っているんだろうと思うときがあります。仕事を作るために積極的になっているのは分かりますが、あるときいきなりメールを送ってきて「こっちは人件費が安いので開発のビジネスを云々」という話が新設したシンガポール法人の話だったときはのけぞりました。シンガポールでまともな技術者雇うとなると、下手したら日本より高い資金が必要になるんじゃないですか。
あるいは、ベトナムだフィリピンだインドネシアだといって、SOHOやノマドレベルの個人事業ならともかく現地の人たちと法人作って、でも金がないので出資つけてくれという依頼がきたりするとびっくりします。さすがに無理でございましょう。
踏み切って冒険するのはいいことだと思いますし、致命傷にならないコケ方をできる人は尊敬します。優れた人であれば、どのような社会でも生き残っていくのでありましょう。一方で、資金を使い人を雇ってビジネスをするのだと言うときには、最低でも相手の国情に関する理解と自分がやりたいことの整理ぐらいはしっかりとしてから現地に根を下ろしに行って欲しいと思います。
最後には、現地にいる成功した日本人の使い走りみたいになって、日本法人の脱税のお手伝いのような真似をするビジネスパーソンもいますし、現地は税金が安いので云々などと言って結果として日本よりはるかに割高な生活費を払ってカツカツになっている人たちを見ると、とても微妙な気持ちになるわけですよ。いったい何のためにアジアに進出したのか、初心に戻って考えて欲しいと思うことはたくさんあります。
経済成長著しいアジアの活力を取り込もうという姿勢はとても大事なことなので、多くの果実が現地の人たちと分け合える仕組みができればいいなと心から思います。
やまもといちろうメルマガ「人間迷路」Vol.110
<<野菜ジュースやトクホ飲料報道に見る東洋経済オンライン好調のウィークポイントと、LINEが頑張っていろんなことをやっている事業のフォローアップの回>
目次
【0. ヘッドストーリー】目的がはっきりしないまま挑戦する人の脆さと凄さ
【1. インシデント1】好調・東洋経済オンラインが陥った微妙すぎる話
【2. インシデント2】一挙に大量のサービスを発表したLINEの現状を見直してみる
【3. 特別対談その2:おかわり】茂木健一郎×山本一郎 『小保方問題、ネトウ
ヨとの絡み方などなどについて茂木健一郎さんに直接ツッコミを入れてみた』(6/5)
【4. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
「人間迷路」のご購読はこちらから
その他の記事
|
仮想通貨周りやオンラインサロンが酷いことになっている現状について(やまもといちろう) |
|
人は生の瀬戸際までコミュニケーション能力が問われるのだということを心に刻む(やまもといちろう) |
|
Amazonプライムビデオの強みとは(小寺信良) |
|
アジアではじまっているメガハブ空港の王座争い(高城剛) |
|
野党共闘は上手くいったけど、上手くいったからこそ地獄への入り口に(やまもといちろう) |
|
『外資系金融の終わり』著者インタビュー(藤沢数希) |
|
人間の場合、集合知はかえって馬鹿になるのかもしれない(名越康文) |
|
開成中高校長「『勉強しなさい』を言ってはいけない」教育論の波紋(やまもといちろう) |
|
クリエイターとは何度でも「勘違い」できる才能を持った人間のことである(岩崎夏海) |
|
花粉症に効く漢方薬と食養生(若林理砂) |
|
注目のスーパーフード、食用大麻で腸内環境の改善を目指す(高城剛) |
|
日印デジタル・パートナーシップの裏にある各国の思惑を考える(高城剛) |
|
実はまだいじくっている10cmフルレンジバックロード(小寺信良) |
|
代表質問(やまもといちろう) |
|
一流のクリエイターとそれ以外を分ける境界線とは何か?(岩崎夏海) |












