ワナその3「収納場所を決めない」
「散らかしてしまう人」というのは、物の収納場所を決めていないケースが多い。
例えば、コーヒーをよく飲むからといって、机の上にコーヒーの粉袋をずっと置きっ放しにしている。これだと「コーヒーを飲みたくなったときにすぐに飲める」と、本人はとても「合理的」なつもりなのだ。
しかし、そこに「ワナ」がある。そういうふうに一つでも物を出しっ放しにしていると、今度は他の物も「これもよく使うから」と出しっ放しになるのである。
例えば、ハサミだったり栓抜きだったり、ティッシュだったり爪切りだったりと、日常的に使う物がなんでもかんでも机の上に置きっ放しになるのだ。
そうして結局、机の上が物で溢れかえり、散らかってしまうのである。
→解決方法「全ての物は、収納場所を決め、きちんとしまう」
ワナその4「物を動かさない」
片付けの下手な人には、「物を動かさない」という共通項がある。
例えば、鞄の中に物を入れっ放しにして、家に帰ってきても出したりしない。「どうせ明日も使うのだから、いちいち入れたり出したりするのは不合理だ」と思っている。
しかし、そういう人の鞄の奥がどうなっているかというと、「要らない物だらけ」になっているのだ。昔の領収書や期限の切れたクーポン券、押し潰されたガムや使いかけのポケットティッシュなど、ガラクタたちが化石のように積層している。彼らは、そうしたガラクタを毎日持ち運んでいるのである。そのため鞄が重くなり、結局非合理的なのだ。
片付けの下手な人は、これと同じで部屋の物を動かさない。例えば、よく使うお気に入りの下着などは、着るのと洗濯機とを往復するだけで、一度もクロゼットに戻らない。
おかげで、引き出しの奥の方には、使われない下着たちが化石のように積層している。それらが結局収納スペースを圧迫するため、物が片付かなくなるのだ。
→解決方法「物の出し入れを頻繁にし、余計な物を溜め込まない」
ワナその5「万が一に備える」
片付けの下手な人というのは、なぜか「万が一に備える」のが好きだ。
例えば、彼らは「万が一お客さんが来たときのため」に、客用の布団や客用の座布団、客用の食器や客用のパジャマなど、来客セット一式を後生大事に備蓄している。
しかし、それらの物が収納を圧迫して、彼らはたいてい部屋を散らかしている。そうして結局、お客さんを呼べないくらい汚い部屋になってしまっているので、本末転倒なのだ。
→解決方法「『万が一』という考えを捨て、余計な備えをしない」
まとめ
以上が、部屋を片付けられない人がおちいりがちな5つのワナである。
いかがだっただろうか? 当てはまるものはあっただろうか?
これらは、どれも一見合理的に見えるため、多くの人がおちいりがちだ。しかしながら、部屋の片付けというのは、そういうワナを乗り越えた先にしか待っていない。これらを乗り越えて、ようやく気持ち良い部屋作り――ヘヤカツが始まるのだ。
「部屋を活かせば人生が変わる」には、そういうワナを乗り越えるための実践的な方法や、片付けるうえでのさまざまなテクニックが掲載されている。もしよければ、こちらもご参照いただければと思う。
大好評新刊!『部屋を活かせば人生が変わる』
夜間飛行、2014年11月
部屋を考える会 著
※この記事はメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」2014年2月24日号から構成したものです。
岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」
『毎朝6時、スマホに2000字の「未来予測」が届きます。』 このメルマガは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)作者の岩崎夏海が、長年コンテンツ業界で仕事をする中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代をどうとらえればいいのか?――また未来はどうなるのか?――を書き綴っていく社会評論コラムです。
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岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。


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