高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

深まる韓国経済のモヤ

高城未来研究所【Future Report】Vol.227(2015年10月23日発行)より

今週はソウルにいます。

この数日間、実に奇妙な天気で町中がモヤに包まれています。
気温は寒くもなく、秋の良い日だと思いますが、まるで町中霧に包まれているような日々が毎日続いています。

これはPM2.5のせいだ、黄砂のせいだ、気候変動だ、いくつも要因の組み合わせだ、と何人もがお話ししますが、どうやら本当のところは不明のようで、表向きはPM2.5の濃度が上がっているのが原因だと発表されています。

しかし、驚くほどの濃霧のようなモヤで、インターネット上には「悪性スモッグ」などと呼ばれ、外出を控えるようにとの注意も多々見かけます。
その上、年間を通じてこのような日々は、年々増えているそうです。

この奇妙なモヤではありませんが、韓国経済もモヤに包まれ、そのモヤも深まっています。

中国経済の減速だけでなく、最近韓国でヒットしているビジネス書によれば、韓国には基礎技術が少ないので、それを蓄積するための「時間」がなによりも必要だと、多くの識者が連名で現状分析と今後の展望を書いて大きな話題です。

5年前には破竹の勢いだった韓国企業のスマートフォンも、巨大な中国市場においてはトップ5に入ることも出来ずに、大きく伸び悩んでいます。

それはスマートフォンがすでにコモディティ化してしまい、新興企業でもそれなりの製品が作れてしまうからで、こうなると「スマートフォンの次」を、日本より先に韓国が見つけ出すことができなければ、この次の5年間は、大変苦しい時期になるものだと思われます。

もしかしたら、日本も韓国同様「時間」的猶予はあまりないのかもしれません。

現在、韓国の若者たちの間では「HELL朝鮮」(Hell Chosun)というワードがはびこり、自国民を二極化ではなく、現実的な五段階(金、銀、銅、土、糞)にわけて自らの立ち位置と未来を冷静に考えはじめました。

これを「韓国式カースト制度」や「HELL朝鮮シンドローム」などと報道機関は呼んでいますが、古いシステムを維持しながら米国化すると、国家はこのようになっていくのかと、ソウルの人々と話しながら今週は考える日々が続いています。
事実、移住者だけでなく、韓国国籍を捨てる人も年々増えているのです。

街を覆うPM2.5だけとは思えない謎のモヤはいつか晴れるのでしょうが、韓国経済を覆うモヤは、そう簡単には晴れそうにありません。

世界が進むスピードは加速度的に早くなっており、その波に乗り、またその波に巻き込まれているのが、韓国だと実感しています。
いま、東アジアは、大きく動く予感がします。

モヤになってもう4日目、晴れ間が見えません。

 

┃高┃城┃未┃来┃研┃究┃所┃【Future Report】

Vol.227
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/ 2015年10月23日発行 /

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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