高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

21世紀の稼ぎ頭は世界中を飛び回るシェフ、DJ、作家の三業種

高城未来研究所【Future Report】Vol.313(2017年6月16日発行)より


今週は、山梨県小渕沢にいます。

この夏からはじめようとしている新しいプロジェクトのための場所を、全国各地をまわって探しています。

標高1000メートル近い小渕沢は、夏休みには多くの行楽客で賑わう観光地ですが、この時期は、まだまだ人も少なく、朝晩は相当冷え込み、場合によっては暖房が必要とされるほどです。

この先1ヶ月ほどで数回は訪れる予定ですので、もう少し周囲を探索してから、小渕沢につきましてお話ししたいと考えています。
なにより、夏が近づくにつれ、気持ちが良い場所へと変わっていくことを期待しています。

さて、先週お伝えしましたように、「未来文庫」を読者の皆様が作品を発表するプラットフォームにしていきたい、とお話ししたところ、本当に多くの方々からご意見やご要望を頂戴しまして、また早速、作品をお送りいただく方までいらっしゃる大反響となりました。

まだまだ、何も決まっていない状況ですが、まずはコミュニケーションの窓口をもう少し広げながら、ご一緒に可能性を追求していきたいと考えています。

さて、21世紀に入って、サッカー選手以上に稼ぐ様になった個人は、3業種ほどあります。
シェフ、DJ、そして作家で、どれも移動生活が特徴です。

ゴードン・ラムジーをはじめとする世界中を飛び回るシェフたちは、年収20億円を超える人も少なくありません。
日本人でもNOBUを展開する松久信幸や、オーストラリアTETSUYAの和久田哲也など、食材と自分の手がけた店舗を巡るために、日々世界中を飛び回っています。

また、DJは年収60億円越のカルヴィン・ハリスを筆頭に、収入ランキングではTiestoやデヴィッド・ゲッタと続き、まだ20代のAviciiは、高収入と引き換えた過酷な移動生活に嫌気がさし、もう、フェス等には出演しないと宣言したほど、移動を求められる仕事になりました。

そして、このシェフやDJより稼いでいるのが、作家です。
現在、世界ランキング一位は、年収100億円を超えたジェームズ・パターソン。
面白いのは、同じ女性作家でも30億円を稼ぐヴェロニカ・ロスは26歳かと思えば、同じく30億円稼いだダニエル・スティールは67歳と、年齢が幅広いのが新興作家業界の特徴で、60歳を超えてリタイアメントしてから執筆活動に入った人やセカンドジョブとしてはじめた人も多くいます。
そして、彼らの特徴も、シェフやDJ同様に、取材と講演会で世界中を飛び回っている点です。

かつて、「アメリカン・ドリーム」を目指した時代がありました。
それまで名もなきアメリカ人が、ある日を境に夢の階段を駆け上がっていく様は、まさに「ドリーム」でしたが、その真夏の夜の夢も覚め、グローバル企業が国家や社会システムより台頭したため、多くの人たちは夢を見れない時代になってしまった現実があります。

しかし現在、グローバルな個人の台頭が、確実にはじまっています。
21世紀に入って、世界をまわって突如稼ぐ様になった個人業種であるシェフ、DJ、そして作家は、「グローバル・ドリーム」の体現者に他なりません。

裏にある小さな厨房や薄暗いDJブースで働く者が、気がつくと年収数十億円を手にできる時代。

「未来文庫」は、いまの社会では光が当たらない人たちに光を与えれば、なにか社会が変わる糸口が掴めるのではないかと考えています。
そして、なにより「未来文庫」そのものが、「グローバル・ドリーム」というあたらしいプラットフォームに乗った存在でありたいと思うのです。

もうじき、良い季節がやってきます。
絶対。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.313 2017年6月16日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 未来放談
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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