藤沢数希のメルマガ『週刊金融日記』第309号(2018年3月21日発行)より、冒頭部分をお届けします。
〘第309号 目次紹介〙
// 週刊金融日記
// 2018年3月21日 第309号
// 東大現役合格率上位15校すべてが男子校か女子校だった
// 麻生財務大臣は森友問題でG20欠席
// 花粉症を逃れるためにケアンズに行ってきました
// 既婚ですが配偶者ではない彼女が妊娠した可能性があります
// 他
こんにちは。藤沢数希です。
先週の関東地方ではスギ花粉がピークだという予報があったので、ケアンズに退避しておりました。なかなかいいところでした。日本に帰ってきて、さっそく花粉症の薬を再開したのですが、1週間近く花粉抜きをした効果なのか、いまのところ花粉症はおさまっております。木材需要を見誤ってスギをたくさん植えたからこうなってしまったのだったら、スギを伐採してもらいたいですね。あるいは、補助金付けて、スギの木材を格安にして何かに使ったり。早くアレルギーの出ない木に植え替えてもらいたいです。
今日は春分の日で祝日ですが、山間部は雪が降っているようですね。しかし、雪で花粉が飛ばなくなると思うと、花粉症患者にはむしろ好都合です!
●春分の日は東日本内陸で積雪 「寒の戻り」ピーク
https://weathernews.jp/s/topics/201803/210015/
今週はケアンズ旅行について書いたのですが、携帯のSIMについてすこし解説しましょう。格安SIMを使っている場合、正規キャリアの海外パケット放題のようなものはないことが多く(あっても割高です)、その国のプリペイドSIMを買うことになります。プリペイドSIMは空港で買えるのですが、1週間1000円ぐらいで、ほぼ快適なネットサーフィンと国内電話などができるようになります。正規キャリアの海外パケット放題が1日に2000円とか法外な料金を取るので、海外でも格安SIMのほうがはるかに得です。
しかし、ひとつ問題があって、こうした手頃なプリペイドSIMは、国際電話がかけられないことが多いです。いまどきLINEなどを入れていない人はいないのですが、どうしても日本の電話番号にかけなければいけない場合もあるでしょう。この場合は、どうすればいいかというと、日本のどこかにIP電話でつないで、そこから日本の電話番号に格安でかけるサービスがいくつもあります(どういう仕組みなのかは調べてないので詳しいことはよくわかりません)。今回は、LINEの機能でLINE Outというのを使ったのですが、スマホで250円払うだけで国際電話ができてしまいます。便利ですね。
ということで、海外に行く場合でも、格安SIMのほうが圧倒的に安くて快適です。
さて、今週も面白い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。
―既婚ですが配偶者ではない彼女が妊娠した可能性があります
―投資会社で働いていますが他社からのオファーをちらつかせて給与交渉すべきでしょうか
―Pythonで統計解析をするためのいい本を教えてください
―クラウド会計でのAmazonの扱い方について教えてください
―童貞卒業の報告および初セックスの感想
それでは今週もよろしくお願いします。
1.東大現役合格率上位15校すべてが男子校か女子校だった
Twitterのほうに、東大現役合格率で上位の高校のリストをアップしたのだが、大きな反響があった。
★高校別の東大現役合格率ランキング。どういうわけか、週刊誌などに出てくるランキングは現役と浪人を合わせた合格者数ばかりだ……。
メルマガで共学がいいのか男子校(女子校)がいいのか調べているんだが、今年の東大現役合格率では1位~15位まですべて男女別学。そして、すべてが中高一貫校。やっぱり東大理3に子供4人全員を合格させた佐藤ママの言うように、受験勉強に恋愛は大きなマイナスなんや。 https://t.co/vExLxb7P7P pic.twitter.com/rYRS6dTm7s
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年3月19日
もちろんメタ的な視点で考えれば、東大を目指して受験勉強することでどういうメリットがありどういうデメリットがあるのか、という問題はあるが、そういうことはひとまず脇に置いておこう。前回の記事にも書いたが、日本の塾や私立中高一貫校からなる「受験産業」は、東大を頂点とする大学受験の試験問題を効率よく解けるようにすることに最適化されている。それが日本の「エリート教育」であり、ほぼすべてのホワイトカラーの家庭はそういう教育に巻き込まれることになる。日本では良くも悪くもそういうインフラを上手く使っていく他ないのだ。そして、それらをグローバルな視座を持ちながら上手く利用することはそれほど難しくない。有用な部分には積極的に学校や塾の思惑に乗っていき、不足分は家庭で補い、おかしなことには距離を置いてつきあえばいいのである。
『週刊金融日記 第309号 日本の大学受験甲子園の仕組みを理解する』
さて、教育の話の前に、まずは統計とビジネスの話をしよう。高校別ランキングを作るだけでもそこにはさまざまな面白い視点をある。まず、インター・エデュなどの教育サイトや週刊誌などに報じられ、その後はそれらのデータがコピーされさまざまなメディアで紹介される高校別ランキングなのだが、どういうわけか、それらはいつも現役や浪人の区別のない高校別の合格者数なのだ。これは母数(=卒業者数)が違うのだから、ほとんど意味のない数字だし、高校別でやるからには現役のデータを見たほうがいいのは明らかだろう。浪人だったら、中学受験時の元々の学力と卒業後に通った予備校の功績であろう。
ところが、世間で話題になるのは、いつも母数を考えない現役と浪人を合わせた絶対数だけだ。率にするには、割り算をする必要があり、それは多くの人にはとても難しいことなのだ。大衆というのは、おそろしくリテラシーがないのである。そして、侮っていけないのは、中学受験のためにSAPIXに300万円払い、こうした中高一貫校に子供を通わせようという教育熱心な家庭もまた、多少マシとはいえ、似たようなリテラシーなのだ。
最近では、データサイエンスなどの高度な統計学をビジネスに応用するというような話題が人気だが、実際のビジネスにおいては「割り算」が使えるだけでエッジになる。そして、高度な統計学は、まったくと言っていいほど使われない。以前、解説したようにトレーディング分野や、あるいはAmazonのようなeコマースでも高度な統計学を使うこともあるにはあるが、それらは特殊な分野だけの話であり、専門家だけのチームでやっていてほぼ閉じられた世界である。これからもほとんどのビジネスの意思決定で重要な数学は割り算なのだ。ビジネスで必要な統計学とは、ちょっとした手間を惜しまず公開データを泥臭く集めて、最後に割り算をすることなのだ。
『週刊金融日記 第267号 クラミジア・パズルとビジネスでの統計の使い方』
『週刊金融日記 第268号 ビジネスに使えて使えない統計学 その2 因果関係を暴き出す』
さて、Twitterで発表した表といっしょに、偏差値を上げるには男女別学のほうがいいとも受け取れるような文章を書いたので、さっそく「擬似相関警察」がたくさん湧いてきた。いま世間ではデータサイエンスが流行っているので、何かの相関関係を表すグラフから因果関係を論じようとすると、すぐにこうしたネットの私設警察官が駆けつけてくる。
曰く、それはたまたま昔から偏差値の高かった別学の高校が多かったからで、ただの疑似相関に過ぎない。つまり、男女別学だから偏差値が上がり東大に受かりやすくなる、という因果関係は証明できない、というのだ。それはもっともなことであるのだが、そうした議論の前に、ひとつ大切なことを言っておくと、統計学的に満足のいくように因果関係を証明することは、先程述べたように、ごく一部の分野を除いて、ビジネスの意思決定においてまったく役に立たない。というのも、統計学的に因果関係を実証するために必要なバイアスがない十分なサンプル数のデータはほとんどの場合集めることが困難だからだ。トレーディングでもビジネスでも、不十分なデータから背後の因果関係を洞察して、自分のシナリオにベットしないといけないのだ。
話を元に戻そう。筆者はこうした疑似相関警察の襲来をもちろん予測していた。そして、2018年に大学入試を受けた生徒たちが過去に受けた中学入試の日能研の偏差値もしっかりと集めていたのだ。以下が、その表である。
★2018年高校別東大現役合格率(中学入試時の日能研R4偏差値付き)
(続きは藤沢数希のメールマガジン『週刊金融日記』第309号にてお読みください)
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