現実をきちんと「見る」ことが難しい今こそお薦めしたい本

『ご依頼の件』星新一著

読書の原点

子供の頃に星新一のショートショートにお世話になったという人は、ずいぶん多いのではないかと思います。典型的なじっとしていられない子供だった自分にとっても、星新一ははじめて本というものに没頭させてくれた読書の原点でした。

彼の読者だった者なら誰しも、記憶に焼き付いて離れない“特別なお話”というのが一つはあると思いますが、自分の場合、特に本書に収録されている『夜の会話』がそれでした。内容は、一見するとある平凡な男のUFOそして宇宙人との遭遇を描いた軽いSFものという風なのですが、その実「現実はどうやって作る(作られる)のか?」「そもそも人がなにかを見るということとはどういうことなのか?」といった、唯識論的なテーマを扱ったお話になっているんです。

ここのところ、ますます時勢の変化が激しくなり、「現実」をきちんと「見る」ということが難しくなってきたという気がしています。そうした状況のなか、改めて“見通し”というもののありようを問う意味でも、この場をかり先のお話を紹介したいと思います。

1 2 3 4

その他の記事

YouTubeを始めて分かったチャンネル運営の5つのポイント(岩崎夏海)
「シマウマ、捕獲後に死ぬ」のニュースの裏側(川端裕人)
キャリア女性のみなさん、その結婚、本当に大丈夫?(藤沢数希)
まだ春には遠いニュージーランドでスマホ開発の終焉とドローンのこれからを考える(高城剛)
ダンスのリズムがあふれる世界遺産トリニダの街(高城剛)
パチンコで5万円負けてしまった後に聴きたいジャズアルバム(福島剛)
米国の未来(高城剛)
日本が世界に誇るべき観光資源、温泉について(高城剛)
カメラ・オブスクラの誕生からミラーレスデジタルまでカメラの歴史を振り返る(高城剛)
コーヒー立国エチオピアで知るコーヒーの事実(高城剛)
なぜか「KKベストセラーズ」問題勃発と出版業界の悲しい話(やまもといちろう)
アメリカ大統領選はトランプが当選するのではないだろうか(岩崎夏海)
健康寿命を大きく左右する決断(高城剛)
レストランからバルへ、大きくかわりつつある美食世界一の街(高城剛)
ダイエットは“我慢することでは達成できない”というのが結論(本田雅一)

ページのトップへ