本田雅一
@rokuzouhonda

メルマガ「本田雅一の IT・ネット直球リポート」より

GAFA+Nの存在感、その価値の本質

※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.035(2018年12月21日)からの抜粋です。



9月末に怪我をしていた左肩の痛みが、やっと解消されてきました。実はダンベルプレスという筋トレの一種を、片側24キロのダンベルでやっていた時、3セット目の12回目で力が抜けてしまい、左肩が外側に伸ばされて痛みを抱えるようになっていました。

その後、積極的に痛くない範囲で動かしていたのですが、それが悪かったようでさらに悪化。下肢の場合、補助筋肉が断裂するなどした場合、痛みを我慢して動かしていると可動範囲が広いまま復元されるそうで、そうしてパフォーマンスを上げたこともあって動かしていたのですが、肩の場合は動かさないのが最善ということで、間違ったアプローチをしたため長引いてしまったのでした。

皆さんもきちんとトレーナーや医者に相談しないと、僕のように回復が長引いてしまうかもしれません。お気を付けを。おかげで腕立て伏せが16回までしかできない身体に……。

さて、今回の話題はこのところ話題になっている「GAFA」について。Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取ったもので、最近はさらにNETFLIXも加え「GAFA+N」などと表現します。

GAFA+Nはあらゆる事業の元になる情報やサービス、製品を持っているため、対抗することは容易ではないとして、単なる企業間の競争に限らず、国と国との関係性にも影響を与え始めようとしています。

そんなGAFA+Nについて、僕が考えるこの話題の本質について、年をまたいで、少し長めのコラム(気持ちとしては薄めの新書を書くつもりで)書き進めていきたいと思います。
 

「GAFA+N」にアキレス腱はあるのか?(Part 1)

GAFA+Nについて、それぞれの事業について、まずはおさらいをしていきましょう。どの企業も世界的に事業を展開し、シェアも高くその立ち位置は盤石です。そしていずれもが米国企業で、それぞれの提供する製品やサービスを基礎に、サードパーティーが事業を行うことでコミュニティーを強固なものにしている点も共通しています。

日本の経産省が「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」について発表をしていますが、これもデジタル社会における海外プラットフォーマーの日本市場支配について懸念を感じているからこそだと思われます。

事実上、GAFA+N対策を国として検討していくということで、かなり緊張感が高まる場面です。“巨大IT企業”と一括りして規制に向かうのは、規制対象として想定している企業があまりに幅広く、異なるビジネスモデルで成立しているため難しいのでは? とは思いますが、産業への影響が大きすぎるため、政府としても何も手を出せずに黙っているわけにはいかなかったのかもしれません。

取引慣行の大規模な実態調査や、専門家による監視組織の設置、重要な取引条件の情報開示義務などを行うとしており、公正取引委員会は来年1月から、対象となる大手IT企業やその取引先などを対象に実態調査に乗り出すとのこと。

実は夏ぐらいから、水面下で進んでいたこの調査や委員会については話を聞いていたのですが、実際に規制を強める方向へと向かうと聞いて、やや不安な気持ちになっています。

というのも「取引先が巨大IT企業との守秘義務などを理由に協力を断る場合には、『独占禁止法40条』に基づく強制調査の活用も視野に入れる」と公正取引委員会の山田昭典事務総長が話しているからです。

この話がプライバシー問題に閉じるものなのであれば、正しい方向に進んでいると言えますが、事業領域に制約をもたらすものであるならば、日本市場の停滞をもたらすかもしれません。

規制議論の大衆的な判断は出ていませんが、議論のテーブルに上がっている各企業は、それぞれの事業領域が立ち位置が大きく異なり、やり方次第では諸刃の剣となりかねないためです。

政府が規制対象の念頭に置くのは、GAFA+Nの個人情報の取り扱いの不透明さや、企業に対する不当な取引を要求などで、かなり幅広い領域に拡がっています。有識者会議がまとめた中間論点整理の主なポイントを書き出してみましょう。

    ・監視組織を設置し、プラットフォーマーの運営などを継続的に調査・分析すべきである
    ・大規模で包括的な徹底した調査を行う
    ・独禁法を補完するため、重要な取引条件の開示・明示を義務付ける
    ・国内外の事業者が同等のルールを適用される
    ・プラットフォーマーの不透明さが個人の権利侵害の原因となる

…………結局、何もたいしたことを言っていないではないか? まったくそのとおりで、ごく当たり前のことを明文化したに過ぎません。しかし、政府が“規制に乗り出す可能性が高そうだ”とするだけで、充分に意味はあります。法律や経済、情報処理、システム工学などの専門家で構成される監視組織の創設を視野に入れ、最終的には個人の権利侵害の原因を探る展開でしょうか。

しかし、規制対象としている企業がほぼ米国企業であり、国内外の事業者に公平に適用されるかどうかの懸念、規制により技術・産業の革新を阻害する可能性、他国に比べ事業の発展が遅れる懸念なども当然あります。

とはいえ、どこまで影響力があるのか。まずは各社の横顔を改めて整理してみましょう。


(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
 

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2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。

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本田雅一
PCハードウェアのトレンドから企業向けネットワーク製品、アプリケーションソフトウェア、Web関連サービスなど、テクノロジ関連の取材記事・コラムを執筆するほか、デジタルカメラ関連のコラムやインタビュー、経済誌への市場分析記事などを担当している。 AV関係では次世代光ディスク関連の動向や映像圧縮技術、製品評論をインターネット、専門誌で展開。日本で発売されているテレビ、プロジェクタ、AVアンプ、レコーダなどの主要製品は、そのほとんどを試聴している。 仕事がら映像機器やソフトを解析的に見る事が多いが、本人曰く「根っからのオーディオ機器好き」。ディスプレイは映像エンターテイメントは投写型、情報系は直視型と使い分け、SACDやDVD-Audioを愛しつつも、ポピュラー系は携帯型デジタルオーディオで楽しむなど、その場に応じて幅広くAVコンテンツを楽しんでいる。

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