銃弾爆撃「感想RT」の意味
津田:まあ、そうは言っても、ただメルマガ発行しているだけで、購読者が増えていって、僕の伝えたい内容が世の中にどんどん拡散されていく……とも思っていません。そこで僕が使っているのが、みなさんご存知のとおり、ツイッターです。僕はツイッターに書き込まれたメルマガの感想は、反論も含めて見つけられる限りすべてのものをRTしています。これはもちろん、「宣伝」という一面もあります。映画のCMでもよくありますよね。映画館から出てきたお客さんによる「超おもしろかった!」という感想をいくつか並べてCMを作ってしまう。これはやっぱり効果があるんです。例えば、日曜の夜9時くらいにバババッと連続で「感想RT」をすると、購読者が数十人単位で増えたりする。こうしたことを著者が体験するというのは、実は革命的なことなんです。つまり、従来の書籍の場合は、出版社の営業や書店という著者には見えない仕組みの中で売られていました。アマゾンの売上にしても正確なところは分からなかった。だから、著者が販促に参加するといっても、いまいち距離があった。ところが、メルマガとツイッターの関係においては、著者自身の行動と売上が連動しているのがはっきりと見えるようになったんです。これによって、著者自身が自分の著作物を宣伝するモチベーションも上がりましたし、逆に言えば、「出版社が宣伝してくれないから売れないんだ」という言い訳もできなくなったわけですね。
ただし、「感想RT」は宣伝のためだけにしているのではありません。僕なりに「ソーシャルリーディング」を演出しているつもりなんです。僕が「感想RT」をすることで、ツイッターのタイムラインから、「へえ、そんな風な読み方もあるんだ」とか、「あっ、ここはオレも笑ったな」とか、「この人はこの考え方が気に入らないんだ」といった形で読書体験を共有することができる。他人の読み方を知ることで、『メディアの現場』というメルマガを、より重層的に楽しんでもらえるようになると思うんです。もちろん「人の意見なんて知りたくない」という人もいるのは分かっています。
井之上:「ウザいから感想RTはやめろ」といったツイートが津田さんの元へ送られているのをよく目にします(笑)。
津田:ええ、毎日のように来ますよ(笑)。でもそういう人は、公式RTが表示されない設定にしてくれればいいわけですから、どんなに「ウザい」と言われようと、僕は「感想RT」を止める気はありません。というか、ツイッターというメディアは人によって見ているタイミングがまちまちなので、「あれだけ告知したのに」という情報が全然届けたい人に届いていないということがよくあるんですね。だから、本当に伝えたい、宣伝したいことはしつこい位やった方がいいんです。これは僕の5年使った経験則ですね。
この「ソーシャルリーディング」というのは、メルマガに限らず、これからの読書には欠かせないものだと思うんです。実は、僕が最初に「感想RT」を始めたのは、2009年の11月6日なんです。
井之上:『Twitter社会論』の発売日ですね。
津田:そうなんです。『Twitter社会論』が発売されると、すぐその日の夜から感想ツイートが送られてきました。はじめは、著書を読んで感想を書いてくれたのが書き手として単純に嬉しかったので、「ありがとうございます」という意味をこめてRTしていたんです。でも、そのうちそれが話題になり、すごい勢いで感想ツイートが送られてくるようになった。僕はこの盛り上がっている感じがツイッター的で面白いと思ったので、さらにRTしていきました。
すると、今度は「ツイートが本の感想ばかりでウザい」という感想も出てきました。そう考えると、もうかれこれ3年も前から「ウザい」と言われているんですね。僕の感想リツイートは年季が入ってますよ(笑)。でも一方で、「他の人の感想を読むのが面白い」「まるで読書会みたいですね」という声も目に入るようになってきた。そこで僕は、どちらの人を向いてツイートしていくべきかを考えて、後者を選んだというわけです。
先ほども言いましたが、「ウザい」と思う人は、公式RTを表示されない設定にしたり、フォローそのものを外すことができるわけです。一方、自分の本を買ってくれた人のために、著者が動くことである種の読者サービスができるのであれば、それをやろうと思ったわけです。
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