凄まじい寂寥感
10月5日。新潮社主催の小林秀雄賞、新潮ドキュメント賞の授賞式とパーティーに行く。毎年10月の第一金曜日は、この授賞式と決まっているので、空けるようにしているのだが、その理由の何割かは養老孟司先生にお会いしたいという理由があったと思う。ただ、今回、図らずも、そう遠くない時期に「お会いしてお話しをしましょう」と約束していた増田俊也氏が『木村政彦は、なぜ力道山を殺さなかったか』で新潮ドキュメント賞を受賞され、まずそのお祝いを申し上げたい、という大きな出席理由があった。
新潮社の足立真穂女史に養老先生共々、増田氏を紹介して頂き、御挨拶をした。さすがに格闘技雑誌のカメラマン等も撮影に来ていて、養老先生も含めて3人での写真を依頼され、カメラに収まった。その後、増田氏の北大柔道部時代の部員の方々(増田氏が武術雑誌に連載されている、北大時代を回想されているノンフィクション「七帝柔道記」に登場されている柔道部員の名札をつけた方々)に、「あの甲野先生ですよね」と話しかけられたので、「リアルファイトをされている方々は、私のような者は胡散臭く感じられるでしょう」と言ったところから会話が始まる。
「いえ、いえ」とは否定されるものの、半信半疑は隠せないという表情。もちろん、それは当然だと思ったので、「じゃあ、どうぞ試して下さい」と、私の片腕に体重100キロはあるという増田氏の後輩の方に体重をかけてのしかかってもらい、「虎拉ぎ」をかけて浮かして崩す。「えっ、ちょっともうもう一度やって下さい」「僕もいいですか」と、時ならぬ稽古会になった。私の体重は、先日四国のホテルの風呂場で計ったら57.45キロ。公称59キロだったから、2キロ減には自分でも驚いたが、技の利きは以前より上がっている。その後「斬り落とし」で腕を下へ崩したり等々と、いくつか実演。
興味津々といった表情の人達を前に、剣術の動きも実演。その後、この「七帝柔道記」の中でも、しばしば登場されていたT氏に、私の技の原理について、自分でも驚くほど熱を入れて語っていて、語りつつも、私自身その情熱には内心驚く。その後、居合わせた格闘技雑誌の編集長にも、やはり驚くほど熱を入れて武術に関わる事を語っている私がいた。そして、私の熱情に、さすがにやや迷惑そうな(恐らくは二次会に行かれる予定があるからだろう)編集長と別れ、帰途についた瞬間、凄まじい寂寥感が襲ってくる。
その他の記事
|
仕事とは「何を」するかではなく「どう」するかだ(岩崎夏海) |
|
プログラミング言語「Python」が面白い(家入一真) |
|
Amazonプライムビデオの強みとは(小寺信良) |
|
ヨーロッパ最大の放送機器展でこれから来る欧州の冬を想像する(高城剛) |
|
kindle unlimitedへの対応で作家の考え方を知る時代(高城剛) |
|
思考実験のための『もし、トランプさんが米大統領になったら』(やまもといちろう) |
|
いじめられたくなければ空気を読め(岩崎夏海) |
|
猛烈な不景気対策で私たちは生活をどう自衛するべきか(やまもといちろう) |
|
メディアの死、死とメディア(その2/全3回)(内田樹) |
|
レストランからバルへ、大きくかわりつつある美食世界一の街(高城剛) |
|
「芸能人になる」ということ–千秋の場合(天野ひろゆき) |
|
京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛) |
|
僕がザハ案の国立競技場の建設に賛成していた、たった一つの理由(岩崎夏海) |
|
正しい苦しみ方(岩崎夏海) |
|
日大広報部が選んだ危機管理の方向性。“謝らない”という選択肢(本田雅一) |











