部屋と心はつながっている
「自分の部屋」、あるいは勤め人の方は自分のデスク周りでもよいでしょう。ともかくその人が一番自分らしく、リラックスして過ごせる空間の風景は、その人の心の中を如実に表しています。つまり「部屋」というのは「心」を具象化したものなんです。
もっと擬人化した言い方をすれば「あなたの部屋は、あなたの心が作り出した作品」なんです。
例えば「捨てられない」人の部屋はどんどん物がたまって散らかっていきますよね。「捨てられない」というのは簡単に言えば、過去を引きずっているということです。過去をひきずっている心は、「今ここ」に十分居合わせることができないから、何かとミスが多くなります。あるいは、思わぬことでケンカをしたり、感情に足を取られることが増えてきます。
確かに、部屋がぐちゃぐちゃに散らかっているけれどにこやかな人もいれば、なんでもかんでも整理してきちっとした部屋に暮らしているけれど、イライラしている人もいます。しかし、それでも部屋は何らかの形で、その人の心を反映している場合が多いんです。
例えば、表面的にはきちっと片付けをしている一方で、押し入れの中や奥のほうにいろいろと詰めて隠している人は、自分が直視したくない傲慢さを抱えて生きている人かもしれません。
もちろん、こんな単純な「心理分析」を、真に受ける必要はありません。ただ僕の臨床経験上、「部屋の状態」と「その人の心の状態」には、何らかの関連があると感じざるを得ないのも、また確かなんです。
捨てなければ、片付かない
いずれにしても、僕がここで言いたいのは、「(自分の)部屋は、あなたである」という認識から出発してみませんか、というご提案です。
そのあと、掃除や、整理整頓を始めるのか、いわゆる「断捨離」を始めるのか、それはどうぞご自由に。何をするにもまず、現実と対峙するということ以上のことはないんです。
ただ、そのうえで一般論として考えるのであれば、散らかっているよりは、片付いているほうがいいですよね。たいていの人は、自分の部屋を客観的に眺めてみたら、「ちょっとは掃除しようかな」と思うでしょう。
ただ、このとき、「整理整頓」をしようとすると失敗してしまいます。この話をしたとき、夜間飛行の担当編集さんからベストセラーになった『人生がときめく 片づけの魔法』(近藤 麻理恵著)という本の話を聞きました。内容を読んではいないのですが、編集さんの話では、
・片付けるものを収納からすべて出し、部屋の真ん中に広げる
・1つずつ手にとって「ときめく」か「ときめかない」かを判断する
・「ときめかない」ものはすべて捨てる
という方法だそうです。
これは、基本的にはすごく正しい方法論だと思います。そもそも、「片付け」「整理整頓」って、終わりのない、果てしない作業ですよね。整理整頓から入ると、絶対に成功しない。唯一成功しうる方法論は、「捨てる」ということだと思うんです。
整理整頓というのはどこまでいっても、その人の「観念」の世界から抜けることはできません。その人が囚われていること、その人が悩んでいることの枠組みの中でしか、僕らは整理整頓することができない。それではいつまでたっても「部屋が片付く」ことはないんです。
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