掃除をしたくなければ、旅に出よ
ただ、そうはいっても、整理整頓や掃除が嫌いな人が一念発起してこまめに片づけ、掃除するようになった、という話を僕は聞いたことがありません(笑)。どんな方法論もたいてい失敗する。なぜなら、人類の歴史上、「掃除」をするようになった時間は、思いのほか短いからです。
人間は定住することによって、自我が肥大し、「自分の部屋」という意識が生じ、その結果、掃除しなければならなくなった(笑)。僕はそう考えています。実際、移動を続ける狩猟採集民には、「掃除」という観念はないはずです。
もっといえば、動物は掃除をしませんよね。なぜ掃除をしないかといえば、彼らは「移動する」ということが「生きること」と直結しているからです。移動を続ける以上、動物は「掃除」をすることはありません。掃除というのは定住生活とセットになった行動様式なんです。
ですから、どうしてももし「掃除をせずに、心をリフレッシュしたい」と思うなら、旅に出るしかない。実際、移動することによって、自我は必ず、今よりも軽くなります。自我が軽くなれば、考える余地、直観が生じる余裕が生まれます。
もちろん、僕のように年がら年中旅をし続けているような特殊な生活(笑)を送ることは、多くの人にとって現実的ではないでしょう。でも、日々の「掃除」に疲れたら旅に出るのは、悪い方法ではないと思います。
自分の部屋を見つめる。旅に出る。
最近ちょっと煮詰まっているなと思う人は、一度試してみてください。
※本稿は名越康文メールマガジン「生きるための対話」2013年1月7日配信 vol.043「部屋は「あなた」である――掃除をするか、旅に出るか」を基に再構成したものです。
※名越康文メールマガジンでは、このようなショートコラムから「名越心理学の神髄」に踏み込む長編の論考、性格分類、読者からの質問に答えるメールカウンセリングまで、盛りだくさんの内容でお届けしています!
名越康文氏新刊(2013年9月発行)
『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』
著者: 名越康文
1575円(税込)
出版社:夜間飛行
単行本:四六判ソフトカバー 208ページ
ISBN-13:978-4-906790-04-3
発売日:2013/09/13
商品の寸法:127×188mm 厚さ=15.0mm
内容紹介
毎日が退屈で、何をやってもワクワクしない。
テレビを見ても、友達と話していても、どこかさびしさがぬぐえない。
自分の人生はどうせこんなものなのだろう――。
そんなさえない毎日を送るあなたに足りないのは「驚く力」。
現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。
自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学!
『驚く力』取り扱い販売店一覧はこちら
http://yakan-hiko.com/book/odoroku_list.htm
送料無料のウェブショップはこちら
紀伊国屋ウェブストア
http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784906790043
honto
http://honto.jp/netstore/pd-book_25789353.html
その他の記事
|
江東区長辞職から柿沢未途さん法務副大臣辞職までのすったもんだ(やまもといちろう) |
|
浜松の鰻屋で感じた「食べに出かける」食事の楽しみと今後の日本の食文化のヒント(高城剛) |
|
子どもに「成功体験」を積ませることよりも、親の「しくじった話」が子どもの自己肯定感を育むってどういうこと?(平岩国泰) |
|
ネットも電気もない東アフリカのマダガスカルで享受する「圏外力」の楽しみ(高城剛) |
|
急速な変化を続ける新型コロナウィルスと世界の今後(高城剛) |
|
日本の30代以上だけが気づいていない「ノーリスクのリスク」(城繁幸) |
|
消費市場が活性化するインドの今(高城剛) |
|
「親子上場」アスクルを巡るヤフーとの闘い(やまもといちろう) |
|
週刊金融日記 第317号【外国語を使ったAttractionフェーズ攻略法、トヨタ自動車2018年3月期決算純利益2.5兆円他】(Array) |
|
見た目はエントリープラグ? 驚異の立ち乗りロケット「ティコ・ブラーエ」を見てきました(川端裕人) |
|
ITによって失ったもの(小寺信良) |
|
風邪は「ひきはじめ」で治す! 葛根湯+ペットボトル温灸の正しい使い方(若林理砂) |
|
そろそろ中国の景気が悪くなってきた件について(やまもといちろう) |
|
「減りゆく日本人」出生数低迷と政策的手詰まり(やまもといちろう) |
|
僕たちは「問題」によって生かされる<前編>(小山龍介) |












