小寺信良メルマガ『金曜ランチボックス』より

「13歳の息子へ送ったiPhoneの使用契約書」が優れている理由

行動の把握

“3. これは「電話」です、鳴ったら必ず出ること。礼儀正しく「こんにちは」と言いなさい。発信者が「ママ」か「パパ」だったら必ず出ること。絶対に。”

通話におけるマナーは、固定電話から携帯に移る過程で、多くのものが変わっていった。この条件を見る限り、米国ではまだ、通話は危険視されていないように見える。

一方日本では、SNSやメッセージングサービスから電話番号が漏洩する可能性があるため、知らない番号からの着信に子どもが応答することは、好ましくない。このためMIAUの契約書では、“相手がわからないときは、着信・メールに返信しない。”となっている。

だが、親からの連絡は別だ。子どもは自分にやましいことがある場合、親からの連絡に応答しないということはよくある。ただし電源を切ることはない。自分だってそれは困るからだ。親だってヒマではないので、四六時中子どもの居場所を確認したいわけではない。電話する時は、躾や教育的な理由があるのだ。

スマホであれば、何らかのGPSサービスを利用して居場所を突き止めることもできるが、そういうやり方は推奨しない。その代わりに、自分の責任において電話に出ろ、と言っている。言いたくないことは言わなくてもいいが、親はだいたい子どもの声を聴けば、どういうことになってるかはわかるものである。ただし、電車内など電話に出られないこともあることは、親側も承知しておくべきだろう。

 

利用時間と健康管理

“4. 学校がある日は7:30pmに携帯を私に返却します。週末は9:00pmに返却します。携帯は次の朝の7:30amまで電源オフになります。友達の親が直接出る固定電話に電話できないような相手ならその人には電話もSMSもしないこと。自分の直感を信じて、他の家族も尊重しなさい。”

携帯の利用時間を制限することは、多くの保護者が実践している。MIAUが都内の私立中学校と共同で実施したアンケート調査では、利用時間に関してルールのない家庭は18%しかなく、時刻としては22時以降の利用を禁止している家庭が最多で、42%であった。

これは、深夜まで友達とコミュニケーションして寝不足になり、学校で授業がまともに受けられない状況になることへの防止策である。特に中学生あたりは、人生の中でもっとも睡眠が重要な時期であり、ここで睡眠が不足すると、脳と体の成長に悪い影響を与える可能性がある。

・第3回 理想は8時間睡眠もウソだった! (Webナショナルジオグラフィック)
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20121203/332687/index3.shtml

固定電話にかけられない云々の話は、なかなか日本では実践できない。中には、親の方に問題がある家庭もある。その反対に、子どもと仲のいい友達の携帯番号は、親も知っているという傾向が見られるようになってきている。13歳という年齢を考えれば、子どもの交友関係を把握しておくのは、保護者としては妥当な行動である。

1 2 3 4 5 6 7 8

その他の記事

ヘッドフォンの特性によるメリットとデメリット(高城剛)
「電気グルーヴ配信停止」に見るデジタル配信と消費者保護(西田宗千佳)
自民党「カジノ収賄」の前後事情に見る「なんでこんな話に引っかかるのか」感(やまもといちろう)
「高倉健の死」で日本が失ったもの(平川克美×小田嶋隆)
親野智可等さんの「左利き論」が語るべきもの(やまもといちろう)
空想特撮ピンク映画『ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤』 南梨央奈×佐倉絆×瀬戸すみれ×国沢実(監督)座談会(切通理作)
自分の身は自分で守るしかない時代(高城剛)
老舗江戸前寿司店の流儀(高城剛)
貯まっても使う機会に恵まれないマイレージに思うこと(高城剛)
「本気」という無意識のゴンドラに乗るために(名越康文)
南国滞在を引き延ばすもっともらしい言い訳(高城剛)
プログラミング言語「Python」が面白い(家入一真)
「本当かどうかわからない数字」に左右され責任を押し付けあう日本社会(高城剛)
ビッグマック指数から解き明かす「日本の秘密」(高城剛)
“コタツ記事”を造語した本人が考える現代のコタツ記事(本田雅一)

ページのトップへ