タレントじゃなかったらデザイナーになりたかった
千秋:そんなテンションだったんだけど、その時は青田買いっていうか、ちょこちょこと就職活動しただけで、すぐに決まったの。パッケージのデザイン会社に。
天野:まあ、就職もよかったからね、俺らの時は。デザイン系やりたかったんだ。
千秋:タレントじゃなかったらデザインって思ってた。
天野:一応興味あることやってみようとしたわけでしょ。結局、千秋の場合は、やりたいことが明確に早めに決まってたんだよね。やりたいことすら決まってない人もいるのに……。それで、就職が決まったわけだけど、そこからどうしたの?
千秋:あとは半年大学を遊んで卒業するだけだって親も思ってて。私も一瞬「そうだ、半年遊べる!」って思ったんだけど、「おかしいな、このままだと4月からOLになっちゃうんだ」って思って。
天野:会社員になっちゃうな、このままいったらやばいと。
千秋:でね、そのとき8月の終わり頃に、田中律子さんが出ていたフジテレビのオーディション番組のCMがいっぱい流れてたの。田中律子ちゃんが「歌手になりたい君!待ってるよ!」って。
天野:「あっ! あたしに言ってるじゃん!」って思ったんだww
千秋:そう。それで、余ってた履歴書があったの。
天野:あー、そうね。就職用にいっぱい持ってたのもあったから。
千秋:初めの数社を受けて決まっちゃったから、余ってたの。だから、写真だけ普段の写真に変えて、履歴書の内容はほとんど一緒で、最後に「絶対歌手になりたいです!」みたいなこと書いて送ったの。
天野:熱い想いを書いて、そしたらフジテレビから……。
千秋:第一次審査通りました! 東京の審査に来ます?って返事があった。でも、親にはずーっと黙ってた、お母さんに怒られるから。
「50万円あげるから棄権しなさい」と母は言った
天野:親に内緒だったの、オーディション受けたのは?
千秋:黙って受けてた。でも「次も受かりました!」って。5万人いたんだって。本当かうそかわかんないけど。5万人の中から150人になってた。それでその週のうちに何日か分撮ったんだけど、気がついたら残り10人になっちゃってた。
天野:千秋以外もいた?今もタレントやってる人は一人も残っていなかったの?
千秋:いない、いないけど今まで「実はゴールドラッシュ応募したんですけど、落ちたんですよ」って言われたことは、2、3回ある。
天野:で、10人になって…?
千秋:10人になった時点で「また翌週です」って家に返された。
天野:うん。
千秋:10人になったら流石に親にバレるなって思って……。
天野:自分から切り出したの?
千秋:そう。実は、テレビでやってるオーディションに応募したら10人に残っちゃってって言った。そしたら、お母さんが「え?じゃあ、テレビ出るの?」って、「うん、出るみたい」って答えて。「どうしよう」ってなって、「なんでそんなことしたの!もう就職も決まってたのに!」って。
天野:ああ、就職がダメになっちゃうかもしれないと、お母さんそっちの心配したんだね。
千秋:もう恥ずかしくなって「だって、1位になれば賞金100万円だもん!」って言って。残り10人てことは……
天野:あと9人勝ち抜けば100万円だ。
千秋:「こんなチャンスないよ、だからやりたい」って言ったら・・・「2位だったら何がもらえるの?」って。
天野:お母さんが聞いてきたんだ(笑)
千秋:「2位は0円だよ」って言ったら、「じゃあ、50万円あげるから棄権しなさい。はい、フジテレビに電話して」って。
天野:えー!!
千秋:「賢い選択でしょ、1位じゃなかったら何も貰えないんだから、50万で確実にもらってやめればいいじゃない。って」
天野:なにその裁判で間を取るみたいな和解案を出してきたの。お母さん、お前が意志が強いの知ってるからじゃないの?
優勝賞金の行方
千秋:それで、電話を渡されたんだけど「お母さんは私の夢を50万で買うのか!」って抵抗して喧嘩になって、そしたらお父さんも帰ってきたの…
天野:お父さんはなんて言ったの?
千秋:まず、お母さんがどうしようどうしよう、ってパニくってるから。
天野:うん。
千秋:それを収めようとするんだけど、でも、お父さんが「今、無理やり辞めさせたら一生恨まれる」って。「また反抗期になったら嫌だから」って。
天野:ふふふ。
千秋:中学の時は反抗期になってたからねww。「どうせ落ちるんだから自分の足で行かして、落ちたら納得するだろうから行かせれば」ってなった。「その代わり落ちたらきっぱり諦めてちゃんと就職しろ」と。
天野:それで受けたら、千秋が1位だったの?
千秋:うん、優勝したの!
天野:すげー!(笑)良かったね~50万で手を打たなくて。
天野:(優勝賞金の)100万はどうしたかとか覚えてる?親にあげたりしたの?
千秋:優勝した時、聞かれたの、「100万円とったらなにしますか?」って。
天野:それでどう答えたの?
千秋:「郵便局の定額貯金にします!」って。一番利率がいいから。もう10年経ったけど、100万円がかなり増えたんだよ!
天野:有言実行したんだ!
千秋:バブルだったし金利も良かったからね。
天野:ああ、確かに。
千秋:今ないじゃん、そんなの。