※やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.112<我らの迷いの30代について自分語りをしながらスマホ決済についてやYoutuberについて語る回>2014年11月7日発行より
Q. 【41歳の山本さん、30代になりたての自分に3つアドバイスするとしたら何ですか】
匿名希望とさせてください。
とあるベンチャー企業で経営幹部をしまして、28歳でバイアウトし、少しお金ができたという程度の小男です。小男なのに、結婚できました。子供ももうすぐ生まれる30歳です。
30歳というと、いろいろ節目の年だというのもあり、とても不安です。
山本さんのことは私が大学生のころからネットでよくブログを読ませていただくなど、勝手に影響を受けて10年近く見ていますが、いろんな40代のネット有名人を見ると山本さんはなんだかんだ言われながらも成功者の部類に入っているのは間違いありません。そんな山本さんが30代を振り返ってどういう気持ちだったのか、もしも30歳になる自分に2つ3つアドバイスするとしたら、何でしょうか。
これからもずっとメルマガや記事を読み続けて刺激を戴きたいと思っています。よろしくお願いします。(匿名希望さま)
A. 【人生は、最期まで繋がっている】
私の30歳というと、遠い昔のようでかなりはっきり覚えている日々であります。
新しい出会いがあり、終わった仕事の後片付けがあり、先のことは分からないながらも自分のやりたいことを模索しながら日々を歩いていました。
と同時に、30歳のときの私の最大のイベントは、一生付き合うことになる持病の発覚でした。その名も、AVM。脳動静脈瘤奇形という名前のこの病気は、概ね30歳前後にCTスキャンなどの画像検査で見つかることが多いとされている先天的な奇病で、自覚症状のあるなしに関わらず脳内出血の可能性が他の人よりも有為に高い脳内の血管の病気です。
破裂するリスクを抱えながら日々を生きていくプレッシャーと、自分の人生をどこに向けていくのかの手探りの状態とを併せ持ちながら、ただ仕事はとにかく楽しい状態でしたので、この愉しさをどう維持していこうか、凄く考えながら過ごしたのが30歳です。
あのころの自分は、不安を感じないようにしながら、それでいて、いつ死んでも良いような天衣無縫の人生を送りたいと願っていました。蛇足ながら、ヤフーニュース個人のタイトルにもなっている無縫地帯は、そのころから死と向かい合いながら一番自分が輝ける方法は何であるかを考えていた日々を思い出しながらつけた名前なんですよね。
無縫地帯
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/
もしも、あのころの自分に言えることがあるとしたら、だいたい次の3点だと思
います。
1. 貴方は意外と死にません。もっと攻めて大丈夫です。
死にませんでした。AVMで手術のできないところに奇形の血管があり、破裂して脳溢血となるリスクは高いです、と医師から診断されたとき、覚悟したはずの死は訪れませんでした。そして、いまも訪れていません。病気と仲良く付き合いながら、程よく身体の具合と相談して、血圧を上げずに穏便に暮らしていれば大丈夫であることは知っておいたほうがいいと思います。
なので、本当であれば前に出てできることはたくさんあったのに、控えめに裏方に無理に回ろうとして無駄な遠回りをすることになりました。仕事はちゃんと選んでしっかりとやり通せば、もっと早く自分のやりたい仕事に到達できたかもしれません。
2. 貴方は希望通り結婚し、子供に恵まれ、幸せな家庭が築けます。
たぶん最初で最後の、最大のチャンスで億劫とならず結婚できます。童貞だ、金目当ての女性ばかりから言い寄られると悩み焦る必要はありません。20代の豪運を、貴方は30代も持っていました。恐れる必要は何もなかったのです。
貴方はますます他人からの評価を気にしなくなるでしょう。家庭が安泰ならば、他人から何を言われてもどうでもいいという発想に磨きがかかり、友人が裏切ろうが部下が去ろうが心穏やかに生きていける理由は家庭が円満だからだと気づくと思います。そして、当初思っていた以上に、貴方は家庭人でした。努力が必要ないぐらいの。喜んで家事をする姿を想像してください。
その他の記事
立憲民主党の経済政策立案が毎回「詰む」理由(やまもといちろう) | |
Apple、SONY……「企業の持続性」を考える(本田雅一) | |
「消費者安調査全委員会」発足、暮らしの事故の原因究明は進むのか?(津田大介) | |
AIの呪縛から解き放たれ、なにかに偶然出会う可能性を求めて(高城剛) | |
「プログラマー的思考回路」が人生を変える(家入一真) | |
「病む田舎」の象徴となるような事件が多いなあという話(やまもといちろう) | |
この星に生きるすべての人が正解のない世界を彷徨う時代の到来(高城剛) | |
今週の動画「払えない手」(甲野善紀) | |
「暮らし」をシェアする時代がくる? 注目のシェアリングエコノミー(家入一真) | |
開発者会議で感じた「AWS」という企業の本質(西田宗千佳) | |
『「赤毛のアン」で英語づけ』(1) つらい現実を超える〝想像〟の力(茂木健一郎) | |
週刊金融日記 第308号【日本の大学受験甲子園の仕組みを理解する、米国株は切り返すも日本株は森友問題を警戒他】(藤沢数希) | |
メディアの死、死とメディア(その1/全3回)(内田樹) | |
「こんな死に方もありますよ」と、そっと差し出す映画です ~『痛くない死に方』監督高橋伴明×出演下元史朗インタビュー(切通理作) | |
ピダハンから考える信仰における「ほんとう」について(甲野善紀) |