紀里谷和明
@kazuaki_kiriya

紀里谷和明のメールマガジン「PASSENGER」より

自分の「生き方」を職業から独立させるということ


 

強い人間を善とするシステム

「強い人間」だけを尊ぶ世界の何がまずいかというと、結局、「強い人間」の座を手に入れた人間も、幸せになれないということなんですよ。

「いつか自分も弱者になってしまうかもしれない」という可能性に対して、恐怖を抱くじゃないですか。ドロップアウトに対する恐怖から、終わりのない戦いに巻き込まれていく。

「自分が損しないように根回ししておかなきゃ」とか「ほかの人間を蹴落とさないといけない」とか、恐怖から生まれる工夫にろくなものはない。

「そういう世界で頑張っていても幸せになれない」ということを、若い世代の人は感覚でわかっているような気がする。

これはただの予測だけど、世界は地域や国家を超越して、「シェア」派と「ひとりじめ」派に人間の集団が二分化していくんじゃないかとも思います。

先進国の中から「シェア」を志向する人がたくさん出てきて、すでに自然と調和した暮らしを実践している国の人々に教わるということもたくさん起こるだろうし、今まさに経済発展している国で「ひとりじめ」志向に傾いているインドや中国の人たちが、つながるということもあるだろうし。

俺はずっと人間を「分けるな」って言ってたけど「もう、ふたつに分けたほうがいいのかもしれないな」とも思います。水と油のように交わらない気がするから。

近年のアメリカには非常にがっかりしている。「なんでこんなことになっちゃったんだろう」と。もっと寛容で、多様性を求める国だったのに、今は非常にシステムにがんじがらめな感じがします。

――アメリカが国として変わってしまったというのは、やっぱり9.11以降なんでしょうか?

そうですね。俺はグリーンカード(永住権)を持っているんですが、もう手放そうかな思っているくらいです。

――「シェア」派と「ひとりじめ」派に分かれたあと、新たな争いが生まれてしまう可能性もあるんでしょうか?

そこはもう、繰り返しですよね。「シェア」を志向する人たちが、結局は駆逐されてしまうのかもしれないし、そこはわからないですよね。

 

【今週のキリヤ語録】
「憧れ」がわけのわからない車輪を動かして、その車輪が暴走することによって人の血が流れている

 

 

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」

36
映画監督紀里谷和明によって立ち上げられた会員制クリエイティブメディア『PASSENGER』。PASSENGERと連動して配信されるメルマガでは、映像、クリエイティブ業界のビジネストレンドや紀里谷和明の素顔、本質に迫るトークなど、盛り沢山のコンテンツをお届けします。紀里谷和明監修の写真作品やメイキング風景も、メルマガ内記載のパスワードを使ってご覧頂けます。

ご購読はこちらから
PASSENGER:http://passenger.co.jp

1 2 3
紀里谷和明
映画監督・写真家紀里谷和明。生まれ育った熊本から15歳で単身渡米、全米屈指のアートスクールで建築・デザイン・音楽・絵画・写真などを学ぶ。世界中を旅しながら、PVやCMなど表現の場を広げ、2016年には初のハリウッド長編映画を公開予定。 紀里谷和明公式サイト:Kiriya.com/クリエーターSNSサイト:freeworld.tv

その他の記事

「AI色」の未来は避けられない(高城剛)
週刊金融日記 第306号【余るホワイトカラーと足りないブルーカラー、株式市場は回復の兆し他】(藤沢数希)
空想特撮ピンク映画『ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤』 南梨央奈×佐倉絆×瀬戸すみれ×国沢実(監督)座談会(切通理作)
いじめられたくなければ空気を読め(岩崎夏海)
「一人負け」韓国を叩き過ぎてはいけない(やまもといちろう)
「来るべき日が来ている」中華不動産バブルの大崩壊と余波を被るワイちゃんら(やまもといちろう)
αショック:オートフォーカスカメラの登場(高城剛)
岸田文雄さんが増税判断に踏み切る、閣議決定「防衛三文書」の核心(やまもといちろう)
メダルの数より大切なことがある ――有森裕子が語る2020年に向けた取り組み(宇野常寛)
急速な変化を続ける新型コロナウィルスと世界の今後(高城剛)
「骨伝導」のレベルが違う、「TREKZ AIR」を試す(小寺信良)
国家に頼らない「あたらしい自由」を目指すアメリカ(高城剛)
「減りゆく日本人」出生数低迷と政策的手詰まり(やまもといちろう)
テープ起こしの悩みを解決できるか? カシオのアプリ「キーワード頭出し ボイスレコーダー」を試す(西田宗千佳)
ゲームにのめりこむ孫が心配です(家入一真)
紀里谷和明のメールマガジン
「PASSENGER」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回(金曜日配信予定)

ページのトップへ