“いじめ”ではなく“いじり”が、その場の空気を変える
メルマガ今号の対談(3時間目)で、キャイ~ンの天野さんと話して見えてきたのが、居場所を作れる人の人物像です。
僕は、誰かをいじったりつっこんだりすることって、台風の眼のようなイメージがある。一瞬空気が壊れて、そこにポッカリと居場所ができる。
だから、天野さんが言っていた「自分がしたいのは、いじめじゃなくて、いじり」っていうのは、すごくわかる。「いじり」ということをすることで、相対化されるわけなんだよね、そこにある同調圧力みたいな空気が。一瞬ぽっかり穴があいて、一気に空気の流れが変わる。そういうことができる人は、確かにいる。天野さんのようなお笑い芸人には、多いのかもしれない。
たとえば、ズボンのチャックが開いている人がいたとして、みんなが指摘できないところを、「ちょっと社会の窓が空いてるよ」って言える人。しかも本人に恥をかかせることなく面白くつっこめれば、みんなも「俺たちの言いたかったことをこいつが代弁してくれた」と思うし、言ってもらった方も「言ってくれてありがとう」と思う。そういう瞬間って、確かにあるよね。
居場所を作るうえで、空気を変えられる人の存在は不可欠。
自分で言うのもあれだけど、僕自身もそういう部分はある。例えば、ロフトプラスワンのイベントとかで、クレーマーみたいな人がいることがある。僕のイベントには大抵変な人が1~2人いるんだけど(笑)、そういう人が難癖つけてきて空気が悪くなったときに、僕が檀上でマイクを持って「え、怖い」なんて言ってあわてる様子を見せると、みんながホッとするんです。はりつめた空気が一気に笑いになるというか。
そういう、みんなが求めていることができる技術って、お笑い芸人には特に必要だよね。僕が好きな芸人、キングコングの西野さんとか、ロンブーの敦さんとかも、そういうことができる人。
以前、西野さんと一緒に桧原村という東京の端っこの村に行ったとき、夜地元の若い子たち5~6人と飲みながらずっと「桧原村は今後こうしたらよくなる」といった話をしてた。そしたら、1人の若い男の子がいちいち反論してくる。というか、そいつは反論を装っているけど、言ってることはただのダメ出しで、しかもずっと携帯でゲームをしながら言ってて、まぁちょっと失礼というか、感じが悪かったんです。
そしたら西野さんが「お前の言うことはすごくわかるし、議論をするのはいいことだけど、俺は少なくともゲームやりながら話す奴に、村をよくすることはできないと思う」みたいなことをズバっと言って。そいつも、「ああ、そうっすよね。すみません」となって、一瞬空気がピリっとした。けど、西野さんはその後すぐに「で、そのゲームなんなの」って話題を変えて、笑いが起きたんです。叱った後に笑いに変える。うまいな~っと思って。怒られた奴もしゅんってし続けなくていい。それができる人ってやっぱすごい。
家入一真メールマガジン「家入学級」
Vol.024(2014年10月21日)目次
家 入 学 級 * 時 間 割
1時間目:今日の授業 「居場所を作れる人の空気術」
2時間目:【Q&A】「本当の自分が出せない」「活動的になるには」
3時間目:【対談】キャイ?ン天野ひろゆきさん 後編
4時間目:メディア情報・活動予定/学級日誌/次号予告
ダメだけど、なぜかみんなに愛されてやまない連続起業家・家入一真が、4ヶ月の準備期間を経てメルマガ界に帰ってきました!(通算3度目) 学校嫌いだった著者が「学校では教えてくれない、この世を生きる術」について、ときにマジメに、ときにはゆるく語ります。日頃、twitterで寄せられる悩みに140字を超えて答えるコーナーや、ゲストを迎えた対談、講演録なども掲載。 自分の夢に向かって頑張っている人も、世の中にちょっと生きづらさを感じている人も。日本一自由な学び場メルマガ、「家入学級」に来たれ!
【料金(税込)】 648円 / 月 <初回購読時、1ヶ月間無料!!> 【 発行周期 】 月2回配信(第1,第3火曜日配信予定)
詳細・お申し込みはこちらから
その他の記事
『エスの系譜 沈黙の西洋思想史』互盛央著(Sugar) | |
「家族とはなんだって、全部背負う事ないんじゃない?」 〜子育てに苦しんだ人は必見! 映画『沈没家族 劇場版』(切通理作) | |
「なし崩し」移民増加に日本社会は如何に対応するか(やまもといちろう) | |
連合前会長神津里季生さんとの対談を終え参院選を目前に控えて(やまもといちろう) | |
第88回・米アカデミー賞受賞のゆくえは?(切通理作) | |
正しい正しさの持ち方(岩崎夏海) | |
岸田文雄さんが増税判断に踏み切る、閣議決定「防衛三文書」の核心(やまもといちろう) | |
【第5話】オープン戦(城繁幸) | |
土建国家の打算に翻弄される南アルプスの美しい山並(高城剛) | |
辻元清美女史とリベラルの復権その他で対談をしたんですが、話が噛み合いませんでした(やまもといちろう) | |
石田衣良がおすすめする一冊 『ナイルパーチの女子会』柚木麻子(石田衣良) | |
年の瀬に「私の人生はこのままでいいのか?」と思ったら読む話(名越康文) | |
衰退がはじまった「過去のシステム」と「あたらしい加速」のためのギアチェンジ(高城剛) | |
高解像度と景気の関係(高城剛) | |
仮想通貨はトーチライトか?(やまもといちろう) |