ボノボの距離感
岡崎 ボノボたちの特徴っていうのは、本当に距離が近くって一緒にいることを本当に望んでいるんだなっていうのがすごく伝わってくるというところですね。この写真なんか、本当にホッとしているのが伝わってきますよね。
名越 そうやって互いに寄り添うことで、外敵からも身を守ってたわけですかね。
岡崎 暇さえあれば毛づくろいしたり。単独で離れてぽつんといるっていうことはほとんどないって言ってもいいくらいですね。
名越 なるほど、そういう緊密なコミュニケーションを取り続けることが、彼らの生存戦略やった、ということかなあ。なるほどなあ。話で聞いていたけど、こうやって映像を見るとはじめて納得がいきますね。ただこれは強大な敵が外部に出現したときに果たしてもつのだろうかという疑問も湧いてきますね。
岡崎 互いにくっついて、リラックスしているときのボノボの表情がもう本当に幸せそうな顔をしてるんです。
名越 温泉に入ってるおばあさんみたいな顔してるね。
岡崎 私がすごいなあ、と思うのは、この直前にものすごい大げんかをしている、ということなんです。食いつくわ、蹴飛ばすわ、もの凄いケンカをした次の瞬間に、こんなふうに「もう私はあなたのことが大好きなの」っていうような至福の表情でくっついているんですね。しかも、それはどちらも嘘じゃないっていうことが、見ていると本当によくわかるんです。
ボノボの目を見ると私、「人を疑うってどういうことなの?」と聞かれている気分になっちゃって(笑)
名越 いやいや、そう思えますよ。僕は一生のうちで、こんな表情をしたことはないと思うなあ。ゼロ歳児レベルのピュアさよね。
ただ、同じ人間でも、アイドルになるような子は、こういう表情ができる人もいるよね。人間はやっぱり不思議でさ、強面でしか生きていけない人もいるし、このボノちゃんみたいな表情で生きている人もいる。でも、例えば「ボノボみたいな表情をするチンパンジー」なんていうのは、あんまりいないわけでしょう?
岡崎 心底心を許しています!っていう表情のチンパンジーは今回の旅では見かけませんでした。ボノボを見てると私、ものすごく考えさせられるんですよ。さっきまであんなにケンカしていたのに、すべて水に流してこんなに愛しそうに相手を思いやったり、また自分にもしてもらったり。こういうことを純粋にできるボノボたちっていう存在から、私たち人間が学べることって本当にたくさんあるなって。
名越 そんなころころ変わるのって、僕からするとどうかしているとしか思えませんけどね(笑)。でも、確かにすごいことです。
岡崎 すごく考えさせられる。こういう感じなんですよね。本当に疑いのない目で。
名越 目がすごいうるうるしてるね。
岡崎 うるうるしてるんです。「ここは極楽浄土です」っていうような目をしてるんですよね。
名越 すごい。すごい。
岡崎 これは赤ちゃんとお母さんなんですけど、お母さんは片時も赤ちゃんを離すことはない。
名越 そうなんですか。
岡崎 離さないです。母親と子供の深い関係性は4タイプ共通で、片時も離すことはありません。
チンパンジーの母親が子供の死骸を放っておけなくて、ミイラ化してもなお離さずに背中に乗せたまま移動している動画があるほどです。
ただ大人同士のチンパンジーは集団でいてもお互いものすごく「個」だと思います。
名越 うーん、どっちがええんやろうね、チンパンジーとボノボ(笑)。どっちが生きやすいの? ものすごい悩むね。衝撃的やわ。
岡崎 こういう感じでもう本当に幸せそうなんですよね。
名越 なんか悔しいなあ。くそう! ボノボって、こんな感じやったんか。
でもやはりこの感情がただ循環しているだけとみえてしまう生活リズムには、個人的には入ってゆけないだろうなぁ。
チンパンジーの緊張感
岡崎 これはチンパンジーで食事がちょっと一段落したかなっていうときなんですけど、チンパンジーの食事のときは、ボノボと違ってえも言われない緊張感がそこら中に張りつめているのがわかりますよね? ピリッピリしてるんです。
名越 ああ、確かにピリピリしているね。均等に2メートルか3メートルくらい取ってますね。
岡崎 もうピリッピリで一触即発状態なんです。ただそれがわかっているのでお互いきちっと距離を取るということを怠りません。相手と絶対に近づかないようにっていう雰囲気がすごく見えるんですよね。屋外にいて自由に動いてるんですけれども、本当にそれぞれがすごく孤独で不必要に近づくっていうことがまずない。お互い距離を取りながら暮らしてるっていう感じなんですね、チンパンジーは。
<この続きは名越康文メルマガVol.083<【対談】類人猿分類の産みの親・岡崎和江さんに聞く『ゴリラの冷や汗』ができたわけ 第1回>をご覧ください。
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『ゴリラの冷や汗』
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急成長する食品スーパー「エブリイ」。
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我々は、組織が一人ひとりの人間に対して位置と役割を与えることを、当然のこととしなければならない。(ピーター・ドラッカー)
仕事は仲間をつくる(ゲーテ)
全ての人には個性の美しさがある(ラルフ・ワルド・エマーソン)
古来、多くの賢人や成功者が「チームワーク」の重要性を説いてきました。しかし異なる個性を持つメンバーの強みを活かし、弱みを支えあうことは容易ではありません。本書ではウー太、ゴリ平、チー助、ボノちゃんの4人による心温まるストーリーを通して、人間が持つ個性の違いと、チームワーク向上のヒントを学びます。創造性あふれる一匹狼のクリエイターも、チームを引っ張るリーダーも、生真面目な管理者も、明るいムードメイカーも、本書を読み終えた瞬間から、仕事や対人関係の持ち方に大きな変化が現れることでしょう。


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