午前中のパイプ掃除が、新鮮な「やる気」を呼び込む
午前中の僕は、はたからみるとぼやーっとしている時間も長く、怠けているようにも見えるかもしれない。でも、この時間帯にしっかり「パイプ掃除」をやっているからこそ、午後からの時間にがんばって仕事ができるのはもちろん、数か月、数年単位で見たときには、アイデアや発想、あるいは新しいことに取り組んでいこうというモチベーションが枯渇せずに済んでいます。少なくとも、僕自身はその効果を確信しています。
クリエイティブなアイデアや斬新な発想、あるいは身体の奥底から湧いてくるやる気やモチベーションといったものは、実は自分の中から生み出すことができないものです。それは感覚的にいうと必ず、私たちの身体の「外側」からやってくる。自分の外側にある「泉」にアクセスできないかぎり、僕らのアイデアも、発想力も、活力も、すべてはいつか、枯渇してしまうのです。
僕らの外側で渾々と沸き続ける泉の水は枯れることはありません。しかし、パイプが詰まってしまえば、僕らはせっかくの泉にアクセスできなくなってしまう。感受性が最大限に解放される午前中に、時間をかけてパイプ掃除をしておくこと。それは、僕らが「泉」にアクセスし続けるために必要な、ひとつの儀式のようなものだといっていいでしょう。
大げさではなく、僕にとっては朝の時間をこのように過ごすことができていることによって、どれほど忙しくなっても、どれほど毎日のように講演や講義をやっていても、話すネタが尽きる、ということがないんです。
もしもこれが、「朝10時から打ち合わせや収録が入る」ということが当たり前の状態で仕事を続けていたら、とっくの昔に、僕の頭から新たなアイデアや、新鮮なモチベーションは消え去ってしまっていたことでしょう。
しっかりと深い睡眠を取って目覚めた午前中の心身は、最高のコンディションにあります。その最高のコンディションのときにやるべきことは、目の前の雑務を片付けることではありません。自分の身体の外側にある想像の泉にアクセスするという、もっとも大切なミッションに、最高の状態の心身を使って欲しいのです。
午後、あるいは夜の心身は、多くの場合疲れ果てています。疲れがたまった心身でいくら考えても、その思考は同じところをぐるぐると循環するだけで、決して新たな考えが降りてくることはありません。
午前中はできるかぎり一人で過ごし、インプットとアウトプットの循環を促すような活動に時間を使う。一見無駄なように見えて、そのことは長期的に見たときに、あなたの人生の時間をより充実したものにしてくれるはずです。
名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」
2015年7月20日 Vol.104
目次
00【イントロダクション】誰も知らない「本当の時間」の力
01【コラム】活力を呼び込む午前中の過ごし方
02精神科医の備忘録 Key of Life
・自己への囚われはときに生きる活力の息の根を止める
03カウンセリングルーム
[Q1]子供の才能を枯れさせない関わり方とは?
[Q2]自分に向けられた怒りをうまく受けとめることができません
04読むこころカフェ(34)
・他者がもたらす不快との付き合い方
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
※購読開始から1か月無料! まずはお試しから。
※kindle、epub版同時配信対応!
名越康文メルマガ「生きるための対話」のご購読はこちらから
その他の記事
|
影響力が増すデジタルノマド経済圏(高城剛) |
|
仮想通貨(暗号資産)相場は何度でもバブり、何度でも弾ける(やまもといちろう) |
|
なぜ電車内にベビーカーを持ち込む人は嫌われるのか?(岩崎夏海) |
|
かつて輸出大国だった日本の面影をモンブランの麓でモンブラン・ケーキに見る(高城剛) |
|
古都には似つかわしくない最先端の「現代日本語」講座(高城剛) |
|
ひとりの女性歌手を巡る奇跡(本田雅一) |
|
“B面”にうごめく未知の可能性が政治も社会も大きく変える(高城剛) |
|
怒って相手から嫌われることのメリット(岩崎夏海) |
|
ポストコロナという次の大きな曲がり角(高城剛) |
|
池上彰とは何者なのか 「自分の意見を言わないジャーナリズム」というありかた(津田大介) |
|
ヘヤカツで本当に人生は変わるか?(夜間飛行編集部) |
|
ヤフーがニュース配信をやめる日(やまもといちろう) |
|
楽天モバイルが先行する“MNO”に追いつくために(本田雅一) |
|
アップルの“あえて言葉にはしていない”仕掛け(本田雅一) |
|
日本の未来の鍵は「日韓トンネル」と「日露トンネル」(高城剛) |












