※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2018年1月19日 Vol.157 <基本に忠実に号>より
うちのはなちゃんは油断してるといろんなものを囓るので、やべえのである。イヤホンをかみ砕いた話はすでに読者諸氏はご存じかと思うが、それ以外にも「ポトス」をサラダ代わりに食ってしまう。せっかくフサフサのポトスを買って来たのに、今ではほとんど茎だけになりつつある。
もちろん、人がいるところでは絶対にやらない。こういうのは現場を押さえないとどうにもならんということで、家庭内で使うための監視カメラを購入することにした。Amazonで探すと、この手のWi-Fiで繋がるカメラは有象無象の製品があるのだが、比較的廉価で問題なく使えたと評判の高い「ELEGIANT ネットワークカメラ監視 ネットワーク IP WEB カメラ HD高画質 屋外屋内兼用」というのを購入してみた。
おそらく同等の製品がいろんな販売店から違う名前で出ているはずである。箱にはWiFi Smart Net Cameraと記載してあるが、ここでは型番の「IPC-T3710-Q3」という名前で呼ぶことにする。これがいろんな意味でやべえ製品だった。特におすすめするわけではないので、リンクは貼らないでおく。
・購入したWi-Fiカメラ「IPC-T3710-Q3」
・パッケージはアメリカなどでよくみかけるタイプ
すごく簡単に設定できてやべえ
カスタマーレビューには、日本語の説明書がなくて大変だったという話も載っていたが、それに対応したのか、そもそもAmazonのページ内に設定方法が記載されている。またオーダーすると、メールでも設定方法が送られてくる。日本語としてはかなり怪しいが、機械翻訳ではなさそうだ。さらに製品には、日本語の説明書も同梱されていた。
・日本語の説明書も同梱されている
どの手順も、要するにiPhoneかAndroidに専用アプリをインストールして、そこから設定せよという話である。ポイントは、アプリを起動するとまずレジスト画面になるが、レジストせずにLocalというところから設定を始めろ、という点だ。あとでわかるが、なまじレジストすると何が起こるかわからない。
アプリは日本語表示はできないが、英語表記にはなる。ざっくりした手順としては、まずいったんWi-Fiでカメラとスマホを直接接続し、アプリで繋ぎたいWi-Fiルーターの情報を入力、それをカメラに書き込む。
・アプリは英語にはできる
するとカメラはWi-Fiルータへ接続しに行く。このカメラは2.4GHz帯でしか繋がらないので、そこだけ注意である。うまく接続できたのを確認し、スマホのほうもWi-Fiルータへ繋ぎ直すと、アプリではもうカメラの映像が配信されているのがわかる。
・簡単にカメラを認識、ストリーミング再生できるようになる
あとは好きなところへカメラを設定すれば、室内どこからでも映像を監視できる。音声もストリーミングされるほか、スマホ側のマイクを使って、カメラから音を出す事もできる。つまり悪さしてるはなちゃんを見つけたら、「こらっ!」とスマホで言えば、カメラごしに叱ることができるわけだ。ディレイは1秒程度なので、それほどシビアな声かけをしない限りは実用範囲だろう。
・カメラコントロールも充実
カメラ画角としては、だいたい90度ぐらいか。それほど広角ではない。そのかわり、このカメラにはパン・チルト機能が付いている。見たい方向があったら、スマホ側でコントロールして、そっち側にカメラを向ければ済むのである。
また周囲が暗くなると、自動的に赤外線ライトが点灯し、赤外線撮影となる。モノクロにはなるが、日が暮れても監視できるのはありがたい。
背面にMicroSDカードを挿入しておけば、自動的にループ録画もできる。また動体センサーもあるので、動体をキャッチした時にアラートを出す、その時だけ録画するなど、結構多機能だ。これで実売4,000円ぐらいなので、用途を限ればこれで十分だろう。
・背面のMicroSDカードにループ録画も可能
あれ? なんで外から見えるの?
このカメラがさらに凄いのは、LAN内だけでなく、外出先など屋外からもカメラにアクセスできる事である。この値段でそこまで…いやちょっとマテ。オレはそんなことまで設定した覚えはない。
WANから宅内にアクセスする設定を自動化するためには、UPnPを使うのが一般的だ。そこでルーターのUPnPの状態を確認してみると、設定は2つしかない。このアドレスはガラポンTVとMac Miniなので、カメラではない。DMZか? と思ったが、そもそもDMZホスト機能はルータ側でOFFにしてある。VPNのIPsecパススルーもOFFなので、それでもないはずだ。
そう言えばこのカメラのIPアドレスは何なのか、確認していなかった。そこでLAN Scanというアプリを使い、家庭内機器のIPアドレスを調べてみたが、該当するものはなかった。念のため、カメラのIP設定をマニュアルに変更し、192.168.1.21を割り振って接続し直し、再度LAN Scanで調べてみたが、192.168.1.21が出てこない。
しょうがないので、コマンド " arp -a " を実行した見たところ、カメラのIPアドレスは見つかったが、MACアドレスは「不明」である。MACアドレスがわかれば、ルーターのフィルタリング機能を使ってWANに出ないように設定できるのだが、IPアドレスもわからず、ましてやMACアドレスもわからない機器がWANに出てるという状況は、さすがに怖すぎである。しかも、どうやってポートを空けているのかもよくわからない。
すると考えられるのは、ネット上になんらかの専用サーバがあり、そこへ向かってカメラは常時ストリーミング映像を吐き続けているのではないか、という事である。アプリで見ている映像は、LAN内でカメラにアクセスしているのではなく、特定サーバにアクセスしてそこからストリーミングを見ているのではないか。つまり、常時ネット中継状態である。
おそらく多くのユーザーは、外部サーバに向かって常時映像が出ているのを知らないのではないか。一応カメラにはパスワードが設定でき、これが間違っているとアクセスできない作りにはなっているが、サーバ管理者も同様に見られないのかは、保証の限りではない。
機能的には十分なのであるが、IPアドレスやMACアドレスを隠している点で怪しすぎてヤバい。もしご利用になる際は、これらの状況から推測される危険性を十分に承知の上で、お使いいただきたいところである。
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」
2018年1月19日 Vol.157 <基本に忠実に号> 目次
01 論壇【西田】
街とイベントはどう共存するのか
02 余談【小寺】
こ、これは「スマート」なのか? スマートカメラ「IPC-T3710-Q3」が割とやべえ
03 対談【小寺】
セルフィー文化論 (2)
04 過去記事【西田】
電子書籍立ち上げで燻るアップルと出版社の関係
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと
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