小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

この冬は「ヒートショック」に注意

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2019年2月8日 Vol.208 <世の中はなかなか変わらない号>より

先週は都合によりメインコラムを休載とさせていただいた。楽しみにしていた読者諸氏にはご迷惑をおかけした。

先週は娘の高校受験のため、1月26日から31日まで、実家に帰省していた。無事受験も終わり、あと15分で空港に出発というときに、妻から友人Y氏の訃報を聞いた。

Y氏は僕と歳が同じで、現在住んでいるさいたま市の地元の出身だ。近所の古い話をたくさん知っていて、飲みに行くのもほとんど地元。居酒屋に行くと、彼を知らない者はいないぐらいの、地元の有名人だった。

Y氏とは、互いの妻同士が親友で、再婚した際にすぐ紹介され、仲良くなった。妻同士は、子供が同級生であるところから知り合いになったそうである。

子供がいくら同級生でも、妻同士が仲が良くても、男親同士が仲良くなるというケースはほとんどない。なんとなくバリアを張ってしまうというか、お互いの家庭事情を見せるのは憚られる感じがするものだ。

だがY氏は非常にオープンで、自分の育ってきた家庭や、結婚と離婚を2回経験して今が3回目の結婚だということなど、何も隠さず誰にでも披露していた。同じ再婚組と言うこともあって、離婚や子供に関するセンシティブな話もしやすかった。

子供たちや妻は、すでにY氏家族と知り合って5〜6年になる。つまり、妻の前の家庭もよく知っている。そうした関係の中に、僕と僕の娘が後から入った。だが、すぐに仲良くなった。

Y氏の家庭は、夜に居酒屋に繰り出すことが多かった。僕らの家族もよく招待された。一方僕らは家飲み派なので、事あるごとに家に招待した。夏場は庭でバーベキューしたあと、夜は家に入ってワインを飲んだものだった。

亡くなった1月31日は、日本全国で急激に冷え込んだ日だった。関東地方では、夕方から雪になるという予報が出ていたはずである。Y氏が自宅リビングの床で倒れたのは、推測すると明け方の5時前後であろうと思われる。早朝故に家人の誰も気付かず、6時半ごろに発見されたときにはすでに冷たくなっていたという。

元々持病などもなく、健康診断でも血圧が高いと言われる程度で、内臓や心臓の疾患もなかった。死因に関しては、亡くなったあと病院でCTも撮ったが、心筋梗塞ということしかわからなかった。要するに何らかの原因で心臓が止まったとしか言えないということである。

警察で司法解剖すれば具体的な死因はわかるとも言われたが、特に事件性は見当たらないということで、家族の意向で解剖はしなかった。
 

日本家屋特有の問題

冬場になると日本では、「ヒートショック」と言われる現象が多数報告されている。これは寒暖差の激しいところに移動することで血圧が急変し、失神したり、心筋梗塞や脳梗塞に至る現象である。

これには、日本家屋の構造が大きく影響しているようだ。古くから日本建築は「夏を旨とすべし」と言われている。古来から冬は暖房手段がいくらでもあったが、蒸し暑い夏をいかに快適に過ごせるかが、家屋に求められた条件であった。このため部屋を細かく区切って、冬場は部屋ごとに暖房し、夏は開け放って風通しよくするという発想に至る。

つまり冬場の暖房は、家全体をセントラルヒーティングで温めるという発想がないので、一歩部屋を出れば、廊下やトイレ、バスルームなどが外と変わらない気温まで下がることも珍しくない。

ヒートショックになりやすい居住空間の条件には、以下のようなものがある。

* 浴室・脱衣所・トイレに暖房設備がなく、冬場は寒い
* 浴室がタイル張りで窓があり、冬場は寒い
* 居間と浴室、トイレが離れている

夜中に起きて、暖かい部屋からトイレへ向かう間にヒートショックに見舞われるということも、あり得ない話ではない。

かといって、日本家屋で家全体を温めようとすると、それほど断熱構造にはなっていないため、エネルギー効率が悪化する。特に夜中寝ている間にもずっと家じゅうを温め続けることは、多くの人は無駄だと考えるだろう。

向いてないものを無理にやっても仕方がないが、トイレに起きて部屋を出るときは、体温を維持するために暖かい上着を羽織るなどの工夫が必要だろう。室内用のダウンコートなどを用意するなどしてもいいかもしれない。

日本はこれからようやく暖かくなろうとする時期だが、逆に寒暖の差が激しくなる時でもある。今日明日は積雪の予報も出ている。室内なのにヒートショックで倒れて凍死するという事故は、熱中症の1.6倍にも及ぶという。皆さんも温度変化にはご注意頂きたい。
 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2019年2月8日 Vol.208 <世の中はなかなか変わらない号> 目次

01 論壇【西田】
 配信が抱えるコンテンツへの「反響」と「新しさ」という課題
02 余談【小寺】
 この冬は「ヒートショック」に注意
03 対談【小寺・西田】
 小寺・西田のCES2019総まとめ (4)
04 過去記事【西田】
 「対立構造」だけでは読めない電子書籍ビジネスの真価
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと

 
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