高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

普遍的無意識を目指すあたらしい旅路

高城未来研究所【Future Report】Vol.507(2021年3月5日発行)より

今週も、東京にいます。

あまり移動がままならないこの機に、あたらしい領域へ踏み込んでいきたいと考え、数週間に渡り、潜在意識にアクセスする方法をお届けしています。

今週は、いよいよ最終回。
今回の旅路の最終ゴール「普遍的無意識」へのアクセスです。

ドイツ人物理学者ブルクハルト・ハイムの革新的な均一場理論を用いた「12次元構成論」によれば、時間を司る4次元までの「4つの可視次元」の上に、5次元と6次元の目に見えないエネルギー・コントロール・レベルがあると述べています。
人智学者ルドルフ・シュタイナーのいう「エーテル体」や「アストラル体」、そして「気」の存在もここにあります。
「パワーかフォースか」の著者デヴィッド・R・ホーキンスの「I:わたしー真実と主観性」によれば、意識レベル200-240に到達すると中程度のアストラル体にアクセスでき、240-500に達すると高いアストラル体にアクセスできると話します。
ここまでは、心身の鍛錬と食事やサプリメントによる自分にあった栄養、そして呼吸によって到達することが可能で、自分で「気」を纏えるようになります。

続いてハイム理論によれば、7次元と8次元はGIFと言われる「グローバル・インフォメーション・フィールド」と呼ばれる領域で、仏教でいう「末那識」、ユングのいう「個人的無意識」を指し、デヴィッド・R・ホーキンスの意識レベル500-600にあたります。
ここに到達するには、利他的であることを、貫くことしかありません。
もっと簡素な言葉で述べれば、「どこまでも、人の世話をする人生を送る」ということに他ならず、これこそが真の「ライフスタイル」と呼ぶべきものです。

そして、ブルクハルト・ハイムの言う9次元から12次元は、ユングの「集合的無意識(普遍的無意識)」、仏教で言う「阿頼耶識」で、これがホーキンスの意識レベル600以上にあたります。
この場所を「ワンネス」や「ソース」と呼ぶ人もいます。

ユングは、「集合的無意識」を、「すべての人間に、先天的に備わっているイメージや概念」と話し、精神科医だった彼は、「集合的無意識」を「個人の経験や体験に基づいて説明できない精神疾患や漠然とした不安感は、人類に共通する集合的無意識によって生じている」と考えました。

また、世界中に散らばる似たような神話(アーキタイプ)も、かつて、この領域=「集合的無意識」にアクセスできた人が引き出したものだ、とユングは考えました。

ではいったい、この地(Sight)に達するには、どうすればいいのでしょう?

僕の経験からお話し申し上げれば、半永久的どころか長時間この意識空間に滞在することは不可能に近く、ただし、ある一定の短期間だけ滞在する「観光」は可能だと考えます。

それが、「ゾーン」に入るフロー体験です。

「ゾーン」を脳科学から所見すれば、「一時的な前頭前皮質(前頭葉)機能低下」が見られます。
運動生理学者ザチオルスキーは、通常の人間が使えるのは絶対筋力の65%しかなく、普通はこれ以上の使わないようにストッパーがかかっていますが、ゾーンに入ると前頭前皮質(前頭葉)機能低下からロックが外れ、絶対筋力が100%に近づくことが出来る、と述べています。

これが、一流のスポーツ選手がゾーンに入って信じられない結果を出すフロー体験です。 

さらに、完璧なゾーンの状態では、脳の前頭前皮質よりもっと奥の上頭頂小葉でも一時的な機能低下が起きており、そうなると時間や自己といった感覚が一時的に消滅し、「自分は万物とひとつになっている」と感じると、米国の心理学者ミハイ・チクセントミハイは、話します。

コンサルタント会社マッキンゼーによれば、フロー状態では生産性が最高で5倍向上すると計測されており、実は、ここに週1日だけ働けば十分と言われる解も潜むのです。

さらに、この地(Sight)を体験すると、始まりも終わりもなく感じ、分離の不安がなくなることから、誰かと比べる必要もなくなり、情報すらどうでもよくなります。
個人的な「感じ」からお話しすれば、すべての情報は「今日の天気」と同レベルで、ちょっとした今後の予測に備える程度に過ぎず、人生を振り回されるものはひとつもありません。

また、「集合的無意識」にアクセスしたいと「欲」を抱え持つ間は、その可能性は逆に遠のくばかりです。
心身を鍛錬し、栄養と呼吸を整え、ひたすら利他的に生きながら、なにかに熱中する「ある瞬間」、あとで気がつくと、ふと「集合的無意識」にアクセスしていたんだろうな、という感覚を得られるのです。

これをいまの科学=ニュートン的パラダイムで証明することはできませんが、「体験」することは、誰でも可能です。

日本でも古代から神社仏閣への参詣からはじまった、光を観ると書く「観光」。
動けない時だから目指す「あたらしい旅路」の終着点は、ここにあるのです。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.507 2021年3月5日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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