高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

腸内細菌のケアを心がけたい梅雨の季節

高城未来研究所【Future Report】Vol.315(2017年6月30日発行)より


今週も、那覇にいます。

と書きますと、先週に続いて今週も梅雨明けの沖縄を満喫しているようですが、実は、この一週間で那覇→福岡→東京→那覇と周遊しました。

その上、梅雨明けなのに雨が多い沖縄と、梅雨なのに雨が降らない東京では、どちらが快適に過ごせるのかわからなくなってきていますが、どちらにしろ湿度が高いのはどこも同じで、カビが多い時期でもありますので、健康管理により一層気をつける必要があります。
このカビは、食べ物や室内に限らず体内でも繁殖し、その代表が腸内のカンジタ菌です。

カンジタは、一般的な細菌(Bacteria)とは別の、人間の皮膚や腸に普通に生息しているカビの一種で、キノコや酵母菌の仲間に分類される真菌(Fungi)です。
そのため、カンジダ菌はイースト菌や酵母菌とも言われます。

ご存知の方が多いと思われますが、腸内には善玉菌、悪玉菌、そして日和見菌の三種が存在し、カンジタ菌は日和見菌の一種で、普段は大人しくしていますが、その名の通り「日和見」しまして、時には善玉菌、時には悪玉菌になってしまう裏切り者です。
季節の変わり目に気分が落ち込んだり、体調を崩したり、花粉症やアトピーが悪化する原因が、まさか腸内のカンジタ菌だと考える人は滅多にいませんが、医学的に不定愁訴の多くの要因が、カンジタ菌の繁殖にあることが、近年徐々にわかってきました。

日和ってたはずの彼らが悪の帝国に落ちていく様は、映画のなかの話ではなく、我々の腸内の話です。
その繁殖シーズンが、季節の変わり目であり、なかでも梅雨が顕著なのです。

腸内のカンジダ菌は、エネルギー回路といわれるTCA回路(クエン酸回路)の進路を妨害し、その人が持つ本来のパワーを発揮できない状態に陥れます。
それゆえ、対抗できずに体調を崩したり、花粉症やアトピーが悪化するのですが、この多くの裏切り者を従える悪の帝国に勝つのは、相当な苦労が必要となります。

その作戦のひとつが、「兵糧攻め」です。

腸内のカンジタ菌は、糖質を好みます。
そこで、糖質制限食を徹底するのですが、僕の場合だと普段食べている酵素玄米をやめ、もちろん小麦も取らずに、きのこなどの菌類、チーズなどの発酵食品や納豆も控えます。

結果的に、肉食を徹底することになります。

今年は春先の渡米から肉食を続け、帰国後玄米食に戻したと思ったら、思いのほか長く日本に滞在することになって梅雨に突入し、再び肉食に戻して、腸内細菌のマネージメントを徹底するようになりました。
かつては、「季節の旬な食材」を食べることが健康に良いと言われていましたが、工業製品同様の野菜や気候変動により、三十年前の定説は大きく覆っている現状がありますので、いまや野菜によっては、悪の帝国を拡大してしまう存在なのです。

また、腸内にいる細菌は、いわば人間の外注先のような存在で、的確にマネージメントできれば良い仕事をしますが、うっかり目を離したり、甘やかしたりすると、日和って「悪い奴ら」と共に反旗を翻します。
ホンハイのiPhone工場ではありませんが、自殺同然に死を選ぶ細菌もおり、その際に取り込んだ水銀などの有害金属を撒き散らし、オーナーに損害を与えます。
これは、「ダイオフ」と呼ばれる迷惑行為に他なりません。
まさに、腸内は人間社会の縮図であり、「腸内フローラ(お花畑)」と呼ぶより、「腸内ソーシャル」と呼ぶべき器官だと、僕は考えています。

かの夏目漱石が、E.T.A.ホフマンの長編小説「牡猫ムルの人生観」に着想を得て書いた「我輩は猫である」のように、「吾輩は腸内細菌である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。」という書き出しで始まり、アキバ系地下アイドル少女の腸内の物語を書きたいと言ったら、担当編集者に無視された今週です。
腸内細菌で一冊書きませんか、というので話したのですが、、、、。

今週、那覇→福岡→東京→那覇と周遊するのと同時に、黒島牛、佐賀牛、伊万里牛、村上牛、常陸牛と食しました。

梅雨明けまでの数週間。
もう少し日本各地の肉を堪能したいと思います。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.315 2017年6月30日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 未来放談
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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