本田雅一
@rokuzouhonda

メルマガ「本田雅一の IT・ネット直球リポート」より

ファーウェイ問題から想像する強者にとっての心地よさ

※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.045「なぜ人は“尊大”になってしまうのか」(2019年5月27日)からの抜粋です。



ファーウェイ問題を引きずりつつ、日本にトランプ大統領がやってきました。ご存知の通り、ここ1週間ほど“ファーウェイ問題”が大きな話題になっています。この話について、日本テレビ報道局国際部の方とディスカッションしてみたのですが、そこで感じたのは、ファーウェイに対する米企業の輸出禁止が与える日本への経済的なダメージを小さく見積もりすぎではないか? と感じました。

日本企業という意味では、高周波部品メーカー(村田製作所やアルプス電気、TDKなど)への影響が気になるところですが、半導体関連ですと、とりわけメモリ部品(DRAMやフラッシュ)の供給がダブついて市況が下がる懸念があります。もちろん、グローバルで需要があれば、ファーウェイが市場から退場したとしても、そこを別のメーカーが穴埋めすることになります。

グローバルでは日本のソニーXperiaなどはまったく存在感がありませんから、おそらくグーグルのPixel、サムスンのGalaxy Sなどのシリーズが、ファーウェイの位置を埋めることになるのでしょう。ファーウェイの強みは独自SoC搭載によるカメラ機能の作り込みにあり、これは他メーカーには真似のできないものでもありました。ファーウェイ製端末のニーズを他のAndroidメーカーが埋められないとしたら、このところ伸び悩みが目立っていたアップルにとっては、一時の休息になるかも知れません。

また、もしメモリ市況が大幅に軟化すれば、ファーウェイとの取引の大きさにかかわらず、関連する半導体企業には大きなインパクトを与える可能性もあるでしょう。メモリ業界はDRAMもフラッシュも、過去に大きな価格変動に見舞われてきましたから、こうした危機的状況には慣れているでしょうが、それにしても迷惑な話です。

トランプ大統領はファーウェイ問題に関して「中国との貿易摩擦に関して取引材料にしたい」と話しています。本来はイランとの取引に関連して、警告を無視したことがファーウェイ制裁の根拠となっていたはずですが、こうした本音を臆面もなく言えるところが、トランプさんの強みでもあるのかもしれませんね。

どちらにしろ、彼は嫌われる事など、まったく気にしていないのですから。

今回のメルマガのテーマは「感じ方の違いを理解する」ことで、もっと社会は前進できないか? ということでしたが、強者にとっては「他人の感じ方など気にせず、自由気ままに振る舞う」ことこそが心地よいのかもしれません。


 
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
 

本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」

2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。

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本田雅一
PCハードウェアのトレンドから企業向けネットワーク製品、アプリケーションソフトウェア、Web関連サービスなど、テクノロジ関連の取材記事・コラムを執筆するほか、デジタルカメラ関連のコラムやインタビュー、経済誌への市場分析記事などを担当している。 AV関係では次世代光ディスク関連の動向や映像圧縮技術、製品評論をインターネット、専門誌で展開。日本で発売されているテレビ、プロジェクタ、AVアンプ、レコーダなどの主要製品は、そのほとんどを試聴している。 仕事がら映像機器やソフトを解析的に見る事が多いが、本人曰く「根っからのオーディオ機器好き」。ディスプレイは映像エンターテイメントは投写型、情報系は直視型と使い分け、SACDやDVD-Audioを愛しつつも、ポピュラー系は携帯型デジタルオーディオで楽しむなど、その場に応じて幅広くAVコンテンツを楽しんでいる。

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