高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

米国大統領とテカムセの呪い

高城未来研究所【Future Report】Vol.456(2020年3月13日発行)より

今週は、那覇にいます。

毎週数万人単位で訪れるクルーズ船が来なくなり、また、発着する海外航空路線も約8割が減少していることから、国際通りをはじめ、沖縄の観光地はどこもガラガラです。

ホテルも通常の半値以下も当たり前で、なかにはキャンセルしないことを前提にした8割引きプランも珍しくありません。

現在、海外ゲストを中心に宿泊キャンセルが相次ぎ、単月の客室稼働率が38%しかなく、このままでいけば、稼働率は20%台まで低下する可能性があります。

今週、ついにWHOがコロナウイルスのパンデミック宣言を出しました。
来週末のオリンピックの聖火リレーにあわせて、今後政府が自粛解禁を公にしても、コロナウイルスの蔓延に歯止めがかかっている様子はなく、当面旅行マインドはそう簡単に回復しないと考えられます。
政府発表はともかく、現実的な終息にはまだまだ時間を要するでしょう。

以前より、米国大統領選の年には、大変なことが起きるとお話ししておりますが、それは世相に限らず、実は選ばれた大統領も同じなことは、あまり知られていません。

それは「テカムセの呪い」だと、信心深いアメリカ人は真顔で言います。

テカムセは、インディアン部族ショーニー族の酋長で英雄でしたが、1811年にティピカヌーの戦いで、後の第9代アメリカ合衆国大統領になるウィリアム・ハリソンに殺され、部族の領土は白人に奪われました。
そのテカムセが、いまも20年ごとに選ばれる大統領の死を呪っていると言われています。

事実、1840年から1960年までの120年間、西暦で20の倍数の年に当選した米国大統領は、全員が大統領在職中に死去しました。

1840年 - ウィリアム・ハリソン、1841年4月4日に肺炎で死去。
1860年 - エイブラハム・リンカーン、1865年4月14日に暗殺。
1880年 - ジェームズ・ガーフィールド、1881年7月2日に暗殺。
1900年 - ウィリアム・マッキンリー、1901年9月14日に暗殺。
1920年 - ウォレン・ハーディング、1923年8月2日に心臓発作で死去。
1940年 - フランクリン・ルーズベルト、1945年4月12日に脳溢血で死去。
1960年 - ジョン・F・ケネディ 、1963年11月22日に暗殺。

その後も、

1980年 - ロナルド・レーガン、1981年3月30日に暗殺未遂。
2000年 - ジョージ・W・ブッシュ、演説中に手投げ弾を投げ込まれたが不発。

と、病死か暗殺、もしくは急死に一生を得るような体験をしているのが、西暦で20の倍数の年に当選した米国の大統領なのです。

そして2020年のこの秋、いよいよ次の米国大統領が決まろうとしています。
トランプ続投でも、サンダースでもバイデンでも、「テカムセの呪い」からは逃げられないかもしれませんし、もしかしたら、コロナウイルスの犠牲になってしまうのかもしれません。
偶然や迷信だけでは片付けることが出来ないのが世の常でして、いつ、なにが起こっても不思議ではありません。

さて、ガラガラの沖縄は、どこか懐かしい風景に思えます。
と申しますのも、沖縄に観光客が急増したのはここ5-6年のことで、それ以前は、現在の半分程度に過ぎませんでした。

金融緩和が観光バブルを生み出しましたが、バブルの最中では誰もが異常性に気がつかず、それが、弾ける時に夢から覚めたように我に返るもの。
いま、多くの人たちが対峙している問題の本質は、コロナウイルスではなく、バブルに沸き、我を忘れた自身の本当の姿にあります。

僕が、ガラガラの沖縄をどこか懐かしく感じるのは、昔あった南国ののんびりした時間と、いつか見てきたバブル崩壊の光景の両方かもしれません。

歴史は、繰り返します。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.456 2020年3月13日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛)
ブラック企業に欠けているのは「倫理」ではなく「合理性」!? ーーホットヨガスタジオ「LAVA」急成長を支えた人材育成戦略(鷲見貴彦)
貯まっても使う機会に恵まれないマイレージに思うこと(高城剛)
「中華大乱」これは歴史的な事項になるのか(やまもといちろう)
実力者が往々にして忘れがちな「フリーランチはない」 という鉄則(やまもといちろう)
個人情報保護法と越境データ問題 ―鈴木正朝先生に聞く(津田大介)
会社を立ち上げました–家入流「由来を語れる」ネーミングについて(家入一真)
2本の足で立つ、ということ(やまもといちろう)
人生に「目的」なんてない–自分の「物語」を見つめるということ(家入一真)
週刊金融日記 第265号 <日本社会で多夫一妻制が急激に進行していた 他>(藤沢数希)
川端裕人×松本朱実さん 「動物園教育」をめぐる対談 第2回(川端裕人)
ロバート・エルドリッヂの「日本の未来を考える外交ゼミナール」が2017年8月上旬にオープン!(ロバート・エルドリッヂ)
ユーザーインターフェイスの再定義は、アプリの再開発よりハードルが高い(本田雅一)
国会議員は言うほど減らすべきか?(やまもといちろう)
代表質問(やまもといちろう)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ