高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

ハバナ症候群という不思議な病の顛末

高城未来研究所【Future Report】Vol.573(6月10日)より

今週もハバナにいます。

いまから数年前、「ハバナ症候群」と呼ばれる世界的な事件が発生しました。

2016年後半から2017年にかけて、在キューバアメリカ大使館および在キューバカナダ大使館の職員間で原因不明の頭痛、めまい、耳鳴りなどのさまざまな健康上の問題が発生。
翌年2018年には、在中国アメリカ領事館職員が同様の問題を報告し始め、米国務省は中国全土に健康警戒を拡大しました。

その後も被害は拡大し、「ニューヨークタイムズ」によれば被害者の数は130人以上に上ると報道。
昨年10月には米国ジョー・バイデン大統領が、「ハバナ症候群」の被害者を支援する法案に署名をしました。

しかし、原因は不明のままです。

そして本年1月、米国CIAは外国勢力による攻撃の可能性は低いとする中間報告書をまとめ、報告された約1000件のほとんどは環境や病気、ストレスなどに起因したものだと発表しました。

当初は、音響兵器などが疑われていましたが、実は携帯電話網5Gの実証実験が大使館内で行われていたことなどが判明しており、その後、この件に関して米国は新たなコメントを発表するに至っていません。
ちなみに、キューバの国営キャリアでは、5Gのサービスを展開していません。

かつて、初期にスペインから感染拡大の情報がもたらされたため、この名で呼ばれた「スペイン風邪」と呼ばれたパンデミックも、実態は米国発であったように、「ハバナ症候群」も米国の通信サービス実験の余波である可能性が高まっています。

ちなみに、もしキューバが本気で米国に対して音響兵器を使うなら、大使館などを狙いません。
狙う場所は、ハバナ新市街11丁目近辺にある「米国の裏大使館」を狙います。
年配のキューバ人なら誰でも知る公然の秘密なのですが、一見普通の住宅街にあるこの通りは、実はフィデル・カストロの秘書で内縁の妻だったセリア・サンチェスが住む愛の巣がある場所で、米国はそばに秘密の拠点を構えていました。
すでにセリア・サンチェスが亡くなって40年以上経ちますが、いまも軍人が24時間警備にあたっているのはそのためです。

さて、キューバは徐々にハリケーン・シーズンへと突入しつつあります。
訪れてからはじめての長雨のなか、僕も次の目的地に向けて準備をはじめました。
普段から荷物が小さいことから準備とは言っても、物理的な準備というより、心算のほうが大きく、余すところなくハバナを堪能する日々を送る今週です。

北半球全般で気候が変わりはじめ、移動の時期がやってきました。

カリブ海全域に近づくハリケーン・シーズンを前に、僕も別の島を目指します!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.573 6月10日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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