好評発売中!
驚く力―さえない毎日から抜け出す64のヒント
現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。 自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学!
amazonで購入する
社会がシステム化することで「共感」の力が失われる
――新刊『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』。インパクトのあるタイトルですね。
名越 「驚く力」というのは確かにインパクトのある言葉で、読み手によっていろいろと想像力がかきたてられるキーワードですよね。
僕自身は、「驚く力」ということを考える中で、以前よりもずっと深く、「共感」というテーマについて考えることができました。
相手の痛みを知る、もしくは喜びをわかちあうという意味での共感は、人と人とがコミュニケーションする上での基盤といってもいいものです。また、大自然の美しい景色や素晴らしい芸術に触れたときに僕たちの心が揺さぶられるのは、僕らが「モノ」や「コト」に感応、あるいは共感する力を持っているからです。
共感はごく最近まで、僕らの感覚世界の中核を占めるものとして機能していました。例えば、夕陽に感動して一時間立ちつくしてしまう人、たまたま入った蕎麦屋の味に感動して、頼まれもしないのに何倍もの御代を支払う人が、少なくとも前近代までは確実に残っていた。
ところが、そうした本能レベルの「共感」は、僕らの社会が高度にシステム化される中でどんどん失われてきました。社会がシステム化されるときには、そこに生きる僕らの感情や感覚もどんどんシステムの中に組み込まれていってしまう。その結果、あらゆる感覚はパターン化し、形骸化し、力を失っていく。共感も例外ではありませんでした。
特に日本は諸外国に比べて、学校に行き、就職し、結婚し、子育てし……といった社会制度が高度にシステム化され、整備された。そのこと自体は本当にすばらしい、得難いことではあるんですが、その中で「共感」から力が失われてしまったのだと思うんです。
その他の記事
フリーランスで働くということ(本田雅一) | |
本気のアマチュアカメラマンが選ぶ一眼レフの不思議(高城剛) | |
付き合う前に「別れ」をイメージしてしまうあなたへ(石田衣良) | |
シーワールドがシャチの繁殖を停止。今の飼育群を「最後の世代」にすると決定(川端裕人) | |
身近な日本の街並みが外国資本になっているかもしれない時代(高城剛) | |
銀座の通りにある歩道の意味(高城剛) | |
物流にロボットアームを持ち込む不可解、オーバーテクノロジーへの警鐘(やまもといちろう) | |
YouTubeを始めて分かったチャンネル運営の5つのポイント(岩崎夏海) | |
本当の「ひとりぼっち」になれる人だけが、誰とでもつながることができる(名越康文) | |
日本の脱原発は本当に可能なのか?――ドイツ10年の歩みに学ぶエネルギー政策(津田大介) | |
「意識高い系」が「ホンモノ」に脱皮するために必要なこと(名越康文) | |
年内に来る? Wi-Fi Awareとは(小寺信良) | |
19人殺人の「確信犯」と「思想の構造」(やまもといちろう) | |
「昔ながらのタクシー」を避けて快適な旅を実現するためのコツ(高城剛) | |
追悼・鶴ひろみさん/再生の水の秘密を知る少女=ブルマとともに(武田梵声) |