イケダハヤト×家入一真 Wメルマガ対談
生き残るための選択肢を増やそう(後編)
この対談は、家入一真さんのメルマガ「家入学級」と、イケダハヤトさんのメルマガ「イケハヤマガジン」とのW企画です! それぞれのメルマガに異なる内容を掲載しています。家入学級に収録されていない分は、「イケハヤマガジン」創刊号 ~絶望の国ニッポンでの育児編~ にてお楽しみいただけます。
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【家入一真】
1978年生まれ。起業家/投資家/クリエイター。悪ふざけをしながら、リアル・ネットを問わず、カフェやWEBサービスや会社など、遊び場を作りまくっている。JASDAQ最年少上場社長。40社程の若手ITベンチャーにも投資している。解放集団Liverty代表、JASDAQ上場企業paperboy&co.創業者、カフェ運営企業partycompany Inc.代表取締役、ベンチャー投資企業partyfactory Inc.代表取締役、クラウドファンディングCAMPFIRE運営企業ハイパーインターネッツ代表取締役。個人名義でも多数のウェブサービスの立ち上げを行うクリエイターでもある。
【イケダハヤト】
プロブロガー。1986年生まれ。新卒で入社した大企業を11カ月で退社し、13カ月のベンチャー企業勤務を経てフリーランスに。月間100万PV以上の人気ブログ「イケハヤ書店」にて、これからの時代へ向けた価値ある情報を発信し続けている。著書に『フェイスブック 私たちの生き方とビジネスはこう変わる』(講談社)、『年収150万円で僕らは自由に生きていく』(星海社新書)、『武器としての書く技術』(KADOKAWA / 中経出版)、『旗を立てて生きる』(晶文社)などがある。執筆業のほか、テレビやラジオ、講演などにも出演している。
・ブログ http://www.ikedahayato.com/
・ツイッター @IHayato
前編はこちら。
後編はここからです。
卓越した人は、自分のことがどうでもいい
イケダ:あとは、子どもが生まれたこともあって「成熟」って何だろうと思うんですよね。成熟する過程には2つあって、ひとつが自分というものをどんどん拡張していくことだと思うんです。僕、妻と子どもが自分の一部だって、身体的な感覚で思うんですよね。今までは利己主義で自分さえよければいいと思ってたのに、家族ができて「自分」が拡がったんですよね。責任が生まれて、頑張らなきゃいけないと思ったり。「自分」の範囲が拡張していってるんです。
もうひとつが、それとシンクロして、「自分」が拡がっていくと、自分のことがどうでもよくなるんですよ。
家入:境界線が曖昧になっていくんだろうね。
イケダ:いい意味で、自分をどうでもいいと思ってるんですよね。家入さんもさっき自分はちっぽけだと言いましたけど、卓越した人というのはそう思ってるんですよね。どうでもいいと思えることは、自分と向き合えてるということだし、色んな人を包摂、抱えていける。
家入:そうだよね。悟りを開くって、ある意味どうでもいいって思うことだもんね。僕は本当にもうどうでもよくて、「夕飯どうする?」って聞かれても、「どうでもいい」しか答えられないですよ。「でもさ、昨日焼肉食べたじゃん。今日は焼肉は嫌でしょ?」って言われても、「いやぁどうでもいいんだよねぇ」って(笑)。すべてどうでもいい。洋服も毎日同じだし。
イケダ:欲がないんですか?
家入:性欲だけは、唯一。これが僕の根深い問題だと思います。これが全てを狂わせている。僕のなかに、(性欲が)満たされなかった思いみたいなのがあるんだろうなって。
イケダ:払拭は難しいですか? 性欲は強いんですか?
家入:強くはないけど。どうしたらいいんだろうなぁ。
イケダ:出家すればいいんじゃないですか。環境的に女性がいないから。
家入:そしたら男にいくんじゃないですかね(笑)。全然男、いける気がするけどなぁ(笑)。
イケダ:最近、初期仏教が面白くて。ブッタに限らず彼らは「自分への執着をなくせ」と言ってるんですよね。そう考えると、炎上というのも結構修行になるんです。「イケダハヤトは馬鹿だ」とか言われるとイラッとする。でも、イラッとするのは自分への我執や執着があるからじゃないですか。だって、僕は家入さんに執着がないから、家入さんが悪口言われててもイラッとしないですもん。でも僕の娘が悪口を言われたらイラッとします。自分や自分の一部となっている人に向けられた悪口にイラッとするのは、自分のことが好きだからだと思うんですよね。
だから最近、エゴサーチして「僕の悪口を見てもイラッとしないぞ!」って修行してるんです。
家入:へぇ。面白いね。僕はエゴサーチは相変わらずしてるんですけど、何も思わなくなったなぁ。最近、炎上あんまりしてないから炎上したい。
(編注:この対談は、出産費用クラウドファンディングの前に行われたものです)
イケダ:炎上してるじゃないですか?
家入:してる?(笑) なんかもう何が炎上かわからなくなっちゃって(笑)。はっはっはっ(笑)。みんな「炎上させるとこいつの思うつぼだ」っていうのがあるのかな? まぁどうでもいいや。死にたい(笑)。
説明がつかない何かを信じることで救われてもいい
イケダ:この本面白いんですよ。
『ウチの母が宗教にハマりまして。』藤野 美奈子 著(ベストセラーズ)
http://amzn.to/1hccUCs
親が宗教にはまって家族が不和になっていく話なんですけど、オチがいいんですよ。両親は仲悪くなったけど、父親が宗教を認めてあげたことで、お母さんが宗教を信じたことで、よかったこともあるよね、と。
家入:合理性とか人智で解決できないトラブルとか、問題にぶち当たったときに、超越的な何かを信じることで救われるっていうのが宗教だと思うんですよ。
生きるってそもそも理不尽なことだと思うんだよね。東日本大震災の被災地に行ったときにキャバクラの女の子に聞いたんだけど、その子は津波が来たときに電信柱に登って助かったんですよ。で、近くの電信柱にも同級生が登ってたんだって。声は聞こえないけど、お互いにいることはわかっていて。でもその同級生の方には瓦礫が流れてきて、死んじゃったんですよ。その子は同級生の一部始終を見てるんですよ。そんな話を聞くと、本当に理不尽だなって。
生まれながらに厳しい人生もあるし、不条理を誰かのせいにしてしまいたいときもあるじゃないですか。そんなときに、人のせいにするんじゃなくて、仏教だと前世だとか、神が与えた試練なんだってことにして、納得する。そうやって救われる力って、あってもいいと思うんだよね。合理性はまったくないと思いますよ。だけど、説明がつかない何かを信じることで救われるっていうのは、絶対にあるんだよね。
イケダ:家入さんは何かを信じてるんですか?
家入:僕は信じてないですね。仏教は好きって感じ。信じてはいない。信じる気持ちは依存で執着を生むから。
イケダ:ああ、なるほど。僕、最近スマナサーラ長老と対談したんです。
※アルボムッレ・スマナサーラ長老:スリランカ出身の僧侶。日本テーラワーダ
仏教協会長老。
http://www.j-theravada.net/
対談の内容は書籍にする予定なんですけど、タイトルを『仏教は宗教ではない』にしようと思ってるんです。それはスマナサーラさんも言っていて、宗教とは何かを信じることですが、信じるということは考えることを止めることですよねって。
仏教はどちらかというと考え続けろという考えなんですよ。そういう意味では宗教ではないと。僕は「何かを信じろ!」って言われると「そんなの本当かよ!」って言いたくなるから、「考え続けろ」の方が好きなんです。そうじゃない人もたくさんいるけど。
家入:世の中に宗教的なものって結構溢れてる。国家だって宗教的な部分があるんじゃないかな。日本人は国を信じられなくなったから、みんな信仰対象をほかに探してるんだと思う。学校だったり、会社だったり。でも、それに依存してしまうと結局不幸にしかならないんじゃないかな。
僕らお互いよく宗教って言われるじゃん?(笑)。イケダハヤト教祖、家入信者って(笑)。でも僕の身近にいる人は僕のことなんて信じてないんだよね。いかに僕がダメ人間かを知ってるから(笑)。だけどツイッターの向こう側にいる人のなかには、妄信的になってる人もいると思う。僕が言いたいのは、僕なんか信じちゃダメですよってこと。本当にダメ人間だから。頼ってくれるのはうれしいんだけど、それって依存関係になるし、思考停止になっちゃうから。僕のことが好きな人には思考停止して欲しくないから、僕のことなんか信じちゃダメ。
イケダ:弱い人が家入さんを信じたくなると思うんですね。それについてはどう思いますか?
家入:確かに、僕は弱い子たちの味方なわけですよ。だから居場所とか駆けこみ寺は今後も作っていきたいと本気で思ってるし。だけど、そこにいつまでもいてもらうと困るわけです。そこをキッカケに新たな居場所を作って、いつかは羽ばたいてもらわないといけないわけで。僕は一時的な居場所でいいんじゃないですかね。
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