いまだに影響力を持つ「自由主義」というイデオロギー
みなさん、こんにちは! 茂木健一郎です。私は今、イタリアのシチリア島のタオルミーナにいます。先ほど、オバマ大統領とロムニー知事によるアメリカ大統領選の討論を見ました。どちらの候補者がアメリカの大統領になるのかは、我々日本人にも非常に大きな影響を与えます。その点から考えても、この二人の討論の内容に耳を傾けることにはもちろん意味がある。しかしそれ以上に、この二人の三回に渡る討論から、「私たちはどうやって社会をつくっていくべきか」を考えるための重要な論点が見えてきたように思うのです。
かつて、この世界には、マルクス主義、共産主義、社会主義といった「社会主義イデオロギー」というものがありました。そして、ソ連などいくつかの国家は、それらのイデオロギーを指針として国家を運営していた。社会主義とは要するに、中央政府が、社会資源の配分や経済システムを最適化することができるという思想です。ところが、ソ連邦の崩壊、ベルリンの壁の崩壊などがあり、そうした社会主義イデオロギーを通して、この世の中を運営するのは難しいことが明らかになった。今では、中国のように、名目上では共産主義を強行している国でも、実質上は資本主義が導入されている。北朝鮮でも、「計画経済・統制経済では立ち行かない」ということが、実際の国の運営から明らかになっている。
今回、アメリカの大統領選の議論を見ていると、もう一つ、いまだに我々に対して影響を与えているイデオロギーがあることに気が付きます。それは「自由主義」あるいは、「市場による競争」は素晴らしいというイデオロギーです。

その他の記事
![]() |
古いシステムを変えられない日本の向かう先(高城剛) |
![]() |
西村博之(ひろゆき)訴追問題と4chan周辺の迷惑なネタ(やまもといちろう) |
![]() |
「近頃の新入社員は主体性に欠ける」と感じる本当の理由(名越康文) |
![]() |
「他人に支配されない人生」のために必要なこと(名越康文) |
![]() |
古都金沢を歩きながら夢想する(高城剛) |
![]() |
「デトックス元年」第二ステージに突入です!(高城剛) |
![]() |
旅行需要急増でのんびり楽しめる時間が残り少なくなりつつある南の島々(高城剛) |
![]() |
4K本放送はCMスキップ、録画禁止に?(小寺信良) |
![]() |
ワクチン接種の遅速が招く国際的な経済格差(高城剛) |
![]() |
「英語フィーリング」を鍛えよう! 教養の体幹を鍛える英語トレーニング(茂木健一郎) |
![]() |
東芝「粉飾」はなぜきちんと「粉飾」と報じられないか(やまもといちろう) |
![]() |
21世紀型狩猟採集民というあたらしい都会の生き方(高城剛) |
![]() |
「報道されない」開催国ブラジルの現在(宇都宮徹壱) |
![]() |
「HiDPIで仕事」の悦楽(西田宗千佳) |
![]() |
完全な自由競争はファンタジーである(茂木健一郎) |