高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

日本は経済活動の自由がある北朝鮮

海外から日本を見てみようという人を応援したい

J「話し合い解散ってなんだ? 唯一政治らしいニュースがそれだけど」

T「よく、テレビで聞くだけでそんな単語覚えたね。それは議会で話し合わないで、夜レストランとかで政治家同士がこっそり会って議会の進行を決める事だよ」

J「El Pais(スペインの新聞)にも書いてあったが、なんで議会で話し合わないんだ」

T「あそこは、官僚が書いたシナリオを読むだけの場所だから。本当の討議はされていないんだ」

J「じゃあ、国民はなにもわからないじゃないか」

T「そうだよ、日本では本当のことを言ってもいけないし、それを探ってもいけない。当然、公に議論もしてはいけない。だからみんなが見ているテレビの時間帯は、不自然に明るく振る舞ったり、議論できないバカを中心にキャスティングするんだよ。個人が出来ることは、ネットで悪態つくぐらいかな。だから、あたらしい産業は生まれないんだ」

J「ここで仕事するのは、かなり難しいな」

T「20年前は、日本にも海外クリエイター、いっぱいいたよ。インテリアやグラフィクデザイナーとか。いま皆無。日本だけで活躍する日本のクリエイターは皆タレントがらみ。クリエイティブの能力よりタレントケアが大事かな。あとは、制限だらけの企業のしがらみ仕事。50年前と同じ旧来型システムに属するしかないから、オープンな姿勢でのマスでの表現の自由はないに等しいよ」

J「多くの日本人は、どう思ってるの?」

T「先進国でもっとも暴力団は多いし、覚せい剤の売り上げは有名な家電メーカーより大きいけど、まだ治安はいいんだ。国民の預貯金もまだあるしね。ないのは、希望かな。だから、雰囲気が年々暗くなってる。色々わかった人が増えてるからね」

J「日本人は、金と自由であることや希望を天秤にかけてるの?」

T「ああ、その問題の回答をずっと先送りしてるんだよ。いまもね。 高度経済成長のときは、目標があった。いまは、誰もが責任転嫁だね。」

J「いまの日本で仕事をするのは無理だな。台湾に行ってみるよ」

T「そうだね。いまの日本はクリエイターがタレントか企業に直接営業しないと仕事にならないんだ。あと、求められるのはクリエイティビティというより過度な品行方正かな。だから、僕もよく上海や台北で仕事してるんだよ。問題もあるけど、自由を感じる。志のある若い人は、閉塞感を打破するために海外へ転出する人も多いね。それは、どこの国でも同じだと思うし、それがいまの世界の流れだからね」

J「お前は、今後どうするつもりなんだい?」

T「まだわからないけど、僕にとってはこの国は母国だし好きな国だから、この国が良くなる事を願って、色々発言しているつもり。そして、ちょっとづつ、少しでも海外に出て冷静に日本をみようとしている人も増えている。そういう人を応援しているよ。日本人は優秀だと本当に思うし。だから、日本の変化のタイミングを待ってる感じだね。必ず次の波が来る。どちらにしろ僕は吟遊詩人のような生活は変わらずかな。それより銭湯いかないか? 日本のターキッシュバスみたいなものだよ。そこにいるオジさんに、もっと日本の現状と東京の観光名所聞いてみようよ。銭湯、きっと好きだと思うな」

 

<この記事は、高城剛のメールマガジン「高城未来研究所「Future Report」」Vol.38「近況」からの抜粋です。もしご興味をもっていただけた方は、ぜひご購読をお願いします>

1 2 3 4
高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

歴史上もっとも幸運にめぐまれたある駆逐艦の話(甲野善紀)
週刊金融日記 第268号 <ビジネスに使えて使えない統計学その2 因果関係を暴き出す他>(藤沢数希)
一流のクリエイターとそれ以外を分ける境界線とは何か?(岩崎夏海)
近年の大ヒット映画に見る「作り方」の発明(岩崎夏海)
「海賊版サイト」対策は、旧作まんがやアニメの無料化から進めるべきでは(やまもといちろう)
同調圧力によって抹殺される日本式システム(高城剛)
幻の絶滅鳥類ドードーが「17世紀の日本に来ていた」という説は本当なのか(川端裕人)
ゴジラは「映画」だーー本多猪四郎を語るために欠かせなかった7つの課題(切通理作)
働かないのか? 働けないのか? 城繁幸×西田亮介特別対談(後編)(城繁幸)
自分の身は自分で守るしかない世界へ(高城剛)
アジアではじまっているメガハブ空港の王座争い(高城剛)
準備なしに手が付けられる、ScanSnapの新作、「iX1500」(小寺信良)
PlayStation VRを買ったら買うべきコンテンツ10選(西田宗千佳)
人生を変えるゲームの話 第2回<一流の戦い方>(山中教子)
日本のペンギン史を変える「発見」!?(川端裕人)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ