匿名を過信しない
“7.このテクノロジーを使って嘘をついたり、人を馬鹿にしたりしないこと。人を傷つけるような会話に参加しないこと。人のためになることを第一に考え、喧嘩に参加しないこと。”
ネットの匿名のコミュニケーションでは、特に重要なポイントである。MIAUの契約書では、“悪口、嘘を書かない。”がこれに該当する。
かつて2008年頃に「学校裏サイト」が問題になったことがあるが、学校やサービス会社の巡回により、沈静化した。しかしまた2011年頃に、違った形で裏サイト化するサービスが出てきて問題になった。だいたい3年サイクルで繰り返していることになる。
これら裏サイトの特徴は、どれも匿名のコミュニティであるということだ。人は自分が誰だかバレないということになると、必ずいたずら半分で悪いことに手を出す。子どもは特にそうである。
こういうものに荷担するのは、本人にとっても、だれにとってもプラスにはならない。荒れたネットが大好きならば、そういうところはいくらでもある。ただしそこで人を怒らせたことの報復は、子どもの人生を破壊するに十分な威力があり、非常にリスクが高い。子どもはそこに近づくなと言うには、十分な根拠がある。
生身の人間が相手
“8.人に面と向かって言えないようなことをこの携帯を使ってSMSやメールでしないこと。”
“9.友達の親の前で言えないようなことをSMSやメールでしないこと。自己規制してください。”
この2つは、同じようなことを指している。つまり、ネットを使ったからといって、その向こう側には生身の、あなたと同じように傷つきやすい人間がいるのだということを忘れてはならない、という戒めである。MIAUの契約書では、“いくら本音でも、言わなくていいことまで書かない。”がこれに該当する。
今どきの子どもは、対面のコミュニケーションにものすごく気を遣う。言いたいことを言えない、あるいは気を遣って本当ではないことを言ってしまうことに対して、罪悪感を持っているようだ。
・友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書)
http://j.mp/U9a2vn
一方ネットのコミュニケーションにおいては、本音を言っていいと思っている。つまり、リアルとバーチャルのコミュニケーションは違うものだと認識しており、ネットは心の裏側が表出しても構わないものという認識を持っている。
「本当にそう思ってるんだから、それを言って何が悪い」と開き直るケースが多いのは、そういう理由からだ。だがそれによって誰かが傷つくのであれば、それはネットであろうとも心の中だけにしまっておくべきことであり、あるいはリアルの場で信頼できる人だけにそっと打ち明ける話だ。
これはネットのマナーというよりも、人としての躾の問題である。
その他の記事
|
中国マネーが押し寄せる観光地の今(高城剛) |
|
急成長SHEINを巡る微妙で不思議な中華商売の悩み(やまもといちろう) |
|
私的な欲望で天災が大災害へつながることを実感するカリブの小さな島(高城剛) |
|
粉ミルク規制問題から見えた「中国vs香港」の図式(ふるまいよしこ) |
|
国民投票サイト「ゼゼヒヒ」は何を変えるのか――津田大介、エンジニア・マサヒコが語るゼゼヒヒの意図(津田大介) |
|
(4)視野を広げる(山中教子) |
|
rovi、TiVoを買収して何が変わる?(小寺信良) |
|
週刊金融日記 第306号【余るホワイトカラーと足りないブルーカラー、株式市場は回復の兆し他】(藤沢数希) |
|
参院選ボロ負け予想の自由民主党、気づいたら全党消費税減税を叫ぶポピュリズム政局に至る(やまもといちろう) |
|
2021年は、いままで以上に「エネルギーと環境」が重大な関心事になる年に(やまもといちろう) |
|
俯瞰するには悪くない?「4K8K機材展」(小寺信良) |
|
宇野常寛特別インタビュー第6回「インターネット的知性の基本精神を取り戻せ!」(宇野常寛) |
|
私が現役であることを思い知った夜(甲野善紀) |
|
バルセロナが目指す市民中心のスマートシティ(高城剛) |
|
新型コロナウイルスのデマに立ち向かう方法、我が家の場合(本田雅一) |










