<この記事は、日貿出版社から2013年3月11日に発刊された新刊『趾でカラダが変わる』(著者・中村考宏)の内容をご説明するための特別サイト内のインタビューを転載したものです>
http://shimoa.wix.com/ashiyubi
なぜ、趾なのか?
編集 まず今回のテーマ趾について、なぜ趾だったんでしょうか?
中村 それはやっぱり「趾が体の土台」だからですね。
編集 それはもともと考えていたことだったんでしょうか。
中村 はい、それ自体は最初の本(『「骨盤おこし」で身体が目覚める』(春秋社刊))でも書いていたんですけど、タイトルが「骨盤」だから骨盤ばっかりに目が行くんですね。それはメディアも同じでしょう。あの本のなかでも「足の指と重心を前に出すのが大事だからそこから始めましょう」と書いているんですけどみんないきなり骨盤、体幹からやろうとするんです。ただ実際にトレーニングをやっていくと、骨盤は体幹の土台で体の土台になるのが足・趾なんですよ。だから本当は「趾」だけの本が出したかったんです。
編集 骨盤というキーワード自体がかなり注目されていましたからね。いまは講習会で忙しい日々を過ごされていますが、いままでの講習会で「この人は趾が利いているな」と思えた人は居ますか?
中村 ほとんど居ないですね。東京だけで年間600人くらいの方が講習会に参加してくれていますけど、「使える」と思った人は居ないです。人より凄く柔らかくて趾の可動域が凄くある人は2〜3人くらい居ますけど力、足裏の収縮力はないですね。ですから土台としての力強さはないんですよ。
編集 それはやっぱり靴や舗装された道路に守られているからでしょうか?
中村 使う習慣が無いからでしょう。武術をされている方が結構いらっしゃって、裸足で稽古をされているから「良いかな?」と、思ったんですけどそれほど変わらないですね。結局、畳も床もどちらも安全を保証されていますから。野試合をするわけじゃないので、そういった足の使い方をする必要が無いのでしょうね。
編集 中村先生ご自身、長く柔道をされてきましたが、人より足が使えているという感覚はありましたか?
中村 まったく無いですね。それは剣道をされている人も同じじゃないですか。どちらかというと趾が効かないで体を壊している人の方が多いんじゃないでしょうか。私自身、疲労骨折とかしていますし。
編集 それはどんな理由で?
中村 やっぱり母趾球で動いていたのと、足払いの時に親指で相手の足を蹴っていたことがあると思います。別に指導の中で「親指を使え」と言われたことはないんですけど自然にそうなっていましたね。多分、ウェイト・トレーニングを随分やらされていたので、体を内旋させる筋肉、ブレーキさせる筋肉を使う癖がついていたようにも思えます。だからブレーキの親指に頼って動くことが多かったんでしょう。
編集 この本では「親指の役割はブレーキだ」と書いてありますが、それに気がついたのはいつの頃なんでしょう?
中村 そんなに前ではないですね。言い始めてからまだ一年くらい経っていないと思います。ただ、発想自体は結構前からあって、「スキーのボーゲンはブレーキを掛けながら滑っている」とか言っていました。特に「立ち方」について思う所があったわけです。
編集 立ち方?
中村 つまり学校の朝礼なんかでは「親指で地面を噛んで母趾球で立て」という言い方があって、それが「良い立ち方だ」というのがある一方で、運動という目から見ると動きやすい立ち方ではないわけですね。その辺りから「立つ」ということや親指の働きなどを意識していていました。
編集 先生はマリンシューズのような薄い靴で山道を走っていたそうですが、そういったことも関係しているのでしょうか?
中村 それはもっと前ですね。確かに当時もソールの薄いシューズを履くことで「足裏の感覚を取り戻そう」、とまず足裏が大事であるというところから始めました。
編集 実際に薄いソールの靴で走ると痛いですよね。
中村 痛いですよ。ドスンと足を置いたり、蹴り出そうとしたりすると痛くてしょうがないんですよ。で、そうした動き方って本質的には無駄なエネルギーを使った動き方なんですね。つまり痛くないように足が使えるというのは、それだけ効率よく動いているということなんです。
編集 「蹴らない動き」というと、古武術の甲野善紀先生を思い浮かべますね。
中村 甲野先生の影響はあります。「ナンバ歩き」や「常足」、「不安定だから強い」といったお話しは凄く新鮮でしたからね、それは大きかったです。
編集 結構、マニアックな世界ですよね(笑)。
中村 そうですね(笑)。ちょうどその頃子供が生まれて、散歩で山を歩いたりし始めた頃だったので自分でも色々試しているうちに「立つ」「歩く」について色々考えるようになりました。
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