甲野善紀
@shouseikan

甲野善紀メルマガ『風の先、風の跡』より

「先生」と呼ぶか、「さん」と呼ぶか


城先生から「先生は、やめていただくと、うれしいです。先生は、自然。人間を先生にすると、今の世になります。」そして、その後、城先生からの年賀状に「人間基準と自然基準では正反対になります。実践でそれを味わっています」とあったらしい。K女史は大変丁寧な方なので、当初「城先生」と呼ぶつもりであったらしいが、城先生からこのような要望が出されたので、いっしょうけんめい「城さん」と呼ぶ練習をして、講習会に臨まれたらしい。K女史の人柄を知っているだけに、その報告のメールを読んでいて、何となく微笑が浮かんできた。

 

さて、私はこの城先生と3月7日に、東京のど真ん中、銀座の中央公論新社で公開トークを行なう事になっているのだが、ここで城先生をどのようにお呼びするかという事が、ひとつの大きな課題として浮上してきた。ものを教える立場の人を「先生」と敬称で呼ぶことは、一つの日本の伝統的習慣である。私も日本の武術という、いわば日本の伝統的世界の末端に関わっている者として、その常識の中にいる。ただ、それはあくまでも私自身の価値観の習慣性や美意識の問題であるから、他人に対してそれを強要するつもりは全くない。したがって私は、ただ、相手が呼びたいように呼んでもらうだけである。しかし、私も相手によっては「甲野先生」などと呼ばれると、あまり居心地が良くないことがある事は確かだ。

1 2 3 4 5 6 7
甲野善紀
こうの・よしのり 1949年東京生まれ。武術研究家。武術を通じて「人間にとっての自然」を探求しようと、78年に松聲館道場を起こし、技と術理を研究。99年頃からは武術に限らず、さまざまなスポーツへの応用に成果を得る。介護や楽器演奏、教育などの分野からの関心も高い。著書『剣の精神誌』『古武術からの発想』、共著『身体から革命を起こす』など多数。

その他の記事

本当の才能は「何かに没頭した時間」が育ててくれる(名越康文)
就活の面接官は何を見ているか(岩崎夏海)
太古から変わらぬ人間の身体と変わりゆく環境の間を考える(高城剛)
未来系南の島・香港から日本の将来を占う(高城剛)
AlphaGoから考える「人とAIの関係」(西田宗千佳)
新宿が「世界一の屋内都市」になれない理由(高城剛)
「狂信」と「深い信仰」を分ける境界(甲野善紀)
日本人の情報感度の低さはどこからくるのか(やまもといちろう)
モアイの謎、イースター島にはまだまだ夢がある(高城剛)
総ブラック社会はやっぱり回避しないといけないよね~~『人間迷路』のウラのウラ(やまもといちろう)
名称だけのオーガニック食材があふれる不思議(高城剛)
バンクーバーの街中で出会う「みっつの団体」(高城剛)
【ダイジェスト動画】名越式仏教心理学を語る(名越康文)
無意識の中にある「他者への期待」–その功罪(名越康文)
イケてた会社のリストラに思う(やまもといちろう)
甲野善紀のメールマガジン
「風の先、風の跡~ある武術研究者の日々の気づき」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月1回発行(第3月曜日配信予定)

ページのトップへ