「人はそれぞれ違う」が前提になっている教育
イケダ:僕はずっと、みんな人と違うことを怖がりすぎてるなって気がしています。自分は人と違う人間でいいのに、なんで日本の社会だと人と違うと叩かれるのか。
家入:結局、教育の問題なんだろうね。日本人がこれだけみんな文字が書けるっていうのは、画一的な教育のおかげだと思う。だけど違うことを認めないっていう悪い面もあって。いまだに軍隊教育を引きずってるしね。「右向け、右!」とか「前ならえ!」とか、完全軍隊じゃないですか。そういうのはどうなのかなぁ、って思う。
イケダ:最近僕が注目している学校に、「サドベリースクール」というアメリカ発祥の学校があって、日本には8校あります。この学校にはカリキュラムとテストがなくて、全部自分で自由にやらせる教育方法なんです。だから、学校へ行ってひたすらゲームをやってもいいし、漫画を読んでもいいし、料理を作ってもいい。それから、教師と生徒が対等なんです。先生は生徒の選挙によって選ばれるんですよ。先生たちも完全に平等で、生徒からNOを突きつけられたら排除されちゃうんです。さらに、学年という概念もなくて小学生も高校生も対等に過ごしている。
素敵だなと思ったのが、サドベリーは「みんなと違うことが前提」ということを言ってるんですね。それによって安心感が芽生えます、と。
※「一般財団法人 東京サドベリースクール」
http://tokyosudbury.com/
家入:面白い! それ超いいじゃないですか。サブウェイ?
イケダ:サドベリーですね。
家入:「人と違ってもいいんだよ」って言われると、ほっとするじゃないですか。重要ですよね。
イケダ:家入さんは明らかに人と違うじゃないですか。
家入:そんなことないっすよ(笑)。普通ですよ(笑)。
自分の1%も出してないのに、何を傷ついてるんだ
―― イケダさんは最近ツイッターで「“イケダハヤト”なんてアバターにすぎない」「どんどん消費してもらっていい」とおっしゃってますが、そのスタンスについて詳しく説明していただけますか?
イケダ:僕の本名は昔の首相と同姓同名なので、SEO的にペンネームをカタカナにしてて、それが結果的によかったんですよね。カタカナのイケダハヤトが炎上しても何とも思わないんですよ。「イケダハヤト」というのは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』でいうところの“スタンド”みたいなもんなんですよ。自分の幻影が戦っているようなものなので、それがボコボコに叩かれようが、何とも思わないんですね。楽屋裏でTVを通じて見ているような感覚です。
今5000記事あるブログだって、僕の全部を出してるわけじゃない。出してるのはせいぜい1%くらい。すべてを出しているわけではないので、そんなに傷つく必要なんてないんですよね。
「ブログ書いて炎上したので書くのを辞めます」という人もいるけど、そんなの自分の1%も出してないのに、何を傷ついてるんだ、と。せめて98%まで出してから悩めばいい。ブログなんて、舞台の上で自分のアバターを踊らせているようなものなんで、炎上なんて気にしないで、どんどん踊らせ続ければいいと思いますね。家入さんは、普段自分を他人のように見つめるような感覚はありますか?
家入:引きこもりをしていたとき、僕は対人恐怖症だったんですよね。笑い方もわからなくなってた。でも、どうしても人と会わないといけないときもあって、「自分がこういうことを言ったら相手はどう思うだろう」って超シミュレーションしてましたね。人に嫌な思いをさせないようにしゃべんなきゃって。実際に会話をしているときも、ここらへん(指で頭の上を指す仕草)にもうひとりの自分がいて、客観的に「こう言えば、こう言ってくるかな」っていうのを探ってましたね。最近はもうないけど。多感な頃にやっていたので、そういうのは染み付いてるかもしれないです。
イケダ:自分って何だろうって思うんですよね。本やブログを書いてるときの自分が自分の全てではないですし、そう考えていくと「自分」なんてものは無いのかな、と思うんですよね。家入さんは「自分ってなんだろう」という問いを持ってたりするんですか?
家入:僕という人間は、この広い世界のなかのちっぽけな存在だし、世界中にいる頭のいい人たちが寝ないで努力してるなか、自分だからやる意味があることを地面を這ってでもやるしかないなって感じ。そんぐらいかなぁ。自分って何なんだろうね。
<後編につづく>
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