歩くこと、身体を動かすことが時間を「太く」する理由
「細い時間」が永遠に続くと思いこんでいる人は、いわゆる抑うつ状態といえます。うつと躁が交互にくる双極性障害(躁うつ病)の場合はまた別ですが、沈み込んだ状態がずっと続いてしまういわゆる「うつ病」の場合、身体を動かす運動療法に一定の効果があることが知られています。そこにはもちろん、生理学的なメカニズムもあると思いますが、「移動する」ことによって、「細い時間」から「太い時間」へのシフトチェンジが起きる、という側面もあるのではないかと僕は考えています。
仕事や、作業に行き詰まったら、散歩に行く。散歩しながら、細くなっていた時
間がだんだんと、太くなってきた感覚を探る。それを待ってからデスクに戻ると、
それまで感じていた閉塞感が嘘のように消えています。
よく、「時間がもったいないから」と食事や移動中にパソコンを開いて仕事をす
る人がいますが、単に「仕事をしている(ように見える)時間」を増やしても意味がありません。もちろん、「私は電車の中でパソコンを開いているときが一番集中できるんです」という人はそれでもいいのですが、「時間の太さ」を作っていく、という点でいうと、そうやって切れ目なく仕事や作業を続けることは、あまり効果的とは言えないと僕は考えています。
食事をしているときは食事に集中する、移動するときは移動することに集中したほうが、上手に「太い時間」を作り、結果的に成果を上げることにつながるだろうと思います。
※この記事は「名越康文のメルマガ 生きるための対話(dialogue)」2013年10月26日 Vol.062<「できる人」の時間は伸び縮みする>を元に再構成したものです。
名越康文メールマガジン「生きるための対話」
テレビ、ラジオなど各種メディアで活躍する精神科医・名越康文の公式メルマガです。メルマガ購読者とのQ&A、公開カウンセリング、時評、レビューなど盛りだくさんの内容を隔週でお届けします。
「ぼ くらが生きているのは、答えのない時代です。でも、それはもしかすると、幸福なことなのかもしれません。なぜなら、答えのない問いについて対話し続けるこ とではじめて開ける世界があるからです。皆さんと一緒に、このメルマガをそんな場にしていきたいと思っています」(名越康文)
【 料金(税込) 】 540円 / 月 <初回購読時、1ヶ月間無料!!>
【 発行周期 】 月2回発行(第1,第3月曜日配信予定)
ご購読・詳細はこちらから!


その他の記事
![]() |
今週の動画「払えない手」(甲野善紀) |
![]() |
「常識の毒」を薬に変える(名越康文) |
![]() |
“YouTuberの質”問題は、新しいようでいて古い課題(本田雅一) |
![]() |
内閣支持率プラス20%の衝撃、総裁選後の電撃解散総選挙の可能性を読む(やまもといちろう) |
![]() |
マイルドヤンキーが「多数派」になる世界(小寺信良) |
![]() |
アーユルヴェーダについて(高城剛) |
![]() |
Amazon Echoのスピーカー性能を試す(小寺信良) |
![]() |
「愛する人にだけは見せたくない」顔を表現するということ(切通理作) |
![]() |
ついにアメリカがペンス副大統領の大演説で対中対立の道筋がついてしまう(やまもといちろう) |
![]() |
日本のテレビ業界は変われるか(高城剛) |
![]() |
ワクチン接種の遅速が招く国際的な経済格差(高城剛) |
![]() |
ネットニュース界隈が公正取引委員会の槍玉に上がっていること(やまもといちろう) |
![]() |
季節の変わり目と心身のリセット(高城剛) |
![]() |
次の食文化を左右するであろうアニマルウェルフェアネスと環境意識(高城剛) |
![]() |
自分の部屋を「iPhone化」する–大掃除の前にヘヤカツ(部屋活)してみよう!(岩崎夏海) |