家入一真
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家入一真×上祐史浩悩み相談(2)

負け組の人間が前向きに生きていくために必要なこと

※この記事は、去る3月13日ロフトプラスワンにて行われた家入一真×上祐史浩『リアルお悩み相談室 vol.3』をもとに再構成したものです。全文は家入一真メールマガジン「家入学級」でご覧いただけます。

 

【質問】僕は、自分の夢や目標が見つけられない25歳フリーターです。人生を生きていくモチベーションをどのように得ればよいでしょうか?

 

上祐:そうですね。(答えは)難しいと思いますね。

 

家入:「生きていくモチベーション」。うーん、モチベーションって何でしょうね。よく「上司の一言でモチベーション下がったわー」とか、「あの人にモチベーション上げられた」とかいう発言を聞くんですけど、モチベーションって他者に求めるものじゃないような気がするんですよね。

 

上祐:それはそうですね。私などは、いろんなところでいろんな扱いを受けています。ロフトプラスワンのオーナーさんのように好意的に接してくださる方もいれば、関西のとあるテレビに出たときは、「お前は自殺してしかるべき」と言われたこともあります。だから、オウムの経験者は居場所がないどころじゃないんです。「お前らの居場所なんてやらん」と言われる。「(お前らの)居場所は自分で見つけろ、むしろ見つけてもらいたくもない」と。そういったなかで、自分の苦しみや不安の裏に、何か喜びや自分の役割といったものを見つけられたらと思うことがあります。

学力、体力、財力、容姿など、親や社会や先生から、「これはいいよ」とされているものがありますよね。それらが優れていると勝ち組になって、自分の居場所を見つけやすくなるけど、実際は負け組の人が多いわけじゃないですか。オウム経験者なんて、最悪の負け組です。

そういった、負けてる自分の欠点の裏側に、長所が見つかることもあるのかなって。私は自分の経験から、負け組の人間がどう前向きに生きていくか、どういう心の持ち方だったら、自殺せずに、前向きに生きることができるかについては、ある程度ですが、人と分かち合えることがあると思っています。

周りから「こうなれよ」って言われてもそうなれないとき、その裏側に、自分の欠点や苦しみに、何か突破口がある可能性もある。第一に、負け組の人は、同じ負け組の人の気持ちがよくわかる。優しくなれる。勝ち組の人には、それはできない。

 

家入:そうなんですよね。

 

上祐:勝つことに秀でてる人が幸福になれるのか、優しい人が幸福になれるのか、ということです。世間一般の考え方は前者かもしれない。だけど道理から見ると、宗教の中のよい部分、智恵と呼ばれるものから見ると、慈悲だとか、博愛だとか、優しさといったことが、真の幸福の道とされています。

さらに、自分に欠点や苦しみがあれば、裏を返すと他人の長所を生かせる人間になれる可能性もあると思いますね。私が尊敬している人に、パナソニックを築いた松下幸之助がいます。彼はもともと身体が弱かったから、他人に頼むことを覚えた。自分の身体が弱いから他人の身体を活かすんです。学歴がないから、なんでも素直に学べたし、ほかの人の学歴や学力を活かすことができた。お金がないから丁稚奉公をして、早くから商人の機微を覚えた。

自分がダメなら、他人の優れている部分を妬まずに活かすという道もあるんじゃないですかね。勝ち組でも負け組でも、同じように幸福の道があるという、柔軟な発想ができればいいんじゃないかと思う。

 

家入:最初っからいい話。僕は、弱い人ほど弱い人に優しくなれると思っています。

 

上祐:そうですね。それはあると思います。その優しさこそ人にとって非常に重要なものだと考えたとき、親や学校の先生、社会全体からすり込まれた、「お金」や「勝利」への価値観を突破できる。さっき言ったような新しい時代、ヨーロッパやアメリカがリードした、お金や勝利によって幸福になるのとは別の時代に行けるかもしれない。

 

家入:なるほど。僕自身もあんまり夢とか目標とかが、実はなくてですね。こういったものは往々にして大人による呪縛だったりする。自分が弱いからこそ、今自分は何もできないと思っているからこそ、逆にやれることがある。それを見つけることができれば、モチベーションになるんじゃないかと。

 

上祐:欠点の裏に長所。

 

家入:はい。欠点の裏に長所。

 

上祐:傷の裏に宝。敗北の裏に勝利。家入さんはまさにそういう人生歩んでいるのかなって私思うんです。若い頃、学校その他で苦労されてたんでしょう?

 

家入:そうですそうです、中学生で引きこもり……

 

上祐:そういったことがあって、家入さんが他人に優しくなれたという面もあると思うんですよね。それはほんとに素晴らしいことだと思います。「お金と勝利が幸福の道」という前時代の価値観、これは言わば天動説。その思い込みが今は未だ強い時代だけど、それに対して、「自分の苦しみがあるから他人の苦しみがわかる、優しさこそが幸福の道」という次世代の価値観、地動説ではないか。そのぐらいに思って、突破していくのがひとつの方法だと思いますね。

 

家入:なるほど。ありがとうございます。

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家入一真
1978年生まれ。起業家/投資家/クリエイター。悪ふざけをしながら、リアル・ネットを問わず、カフェやWEBサービスや会社など、遊び場を作りまくっている。JASDAQ最年少上場社長。40社程の若手ITベンチャーにも投資している。解放集団Liverty代表、JASDAQ上場企業paperboy&co.創業者、カフェ運営企業partycompany Inc.代表取締役、ベンチャー投資企業partyfactory Inc.代表取締役、クラウドファンディングCAMPFIRE運営企業ハイパーインターネッツ代表取締役。個人名義でも多数のウェブサービスの立ち上げを行うクリエイターでもある。

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