「ルールを捨てる」とき、人は成長する 世界のトップビジネスパーソンが注目する「システマ」の効果

「わかる」ことが心の奥底にある「不安」を減らす

北川 この6月に『人生は楽しいかい?』という本を出しました。さえないサラリーマンだった主人公が、システマと出会うことで成長し、前向きに仕事に取り組み、大きなプロジェクトを成功させ、さらには人生を幸せに生きていく道を見つける……という物語仕立てのビジネス書です。

もちろん、この本のストーリー自体はフィクションです。しかし、本書の中で紹介している「人生が変わった」「仕事がうまくいくようになった」というエピソードは、実際に私のクラスでシステマを学んでいる人から見聞きしたものが元になっています。


北川氏は現在、年間400コマ以上のクラスでシステマを指導している。
私自身、システマのトレーニングをやるようになってから、仕事やプライベートがうまく回るようになった実感があります。それはおそらく、システマのトレーニングが、心の奥底にある「不安」を小さくしてくれるからじゃないかと考えています。

――心の奥底にある不安を小さくする?

北川 私たちは、たくさんの不安を抱えながら生きています。「仕事をクビになったらどうしよう」という不安もあれば、「気になる女性をデートに誘ったけれど、もし断られたらどうしよう」という不安もあるでしょう。

こうした不安が大き過ぎると、うまくいくものもうまくいかなくなります。「クビになったらどうしよう」という不安を抱えている人は、あまり思い切った仕事ができなくなるでしょう。「断られたらどうしよう」という不安でおどおどしている男性からデートに誘われても、女性はあんまりうれしくないですよね?(笑)

また、そうやって不安を抱えたまま失敗すると、さらに不安は大きくなり、次のチャレンジの際の失敗の確率が上がってしまいます。こうした「不安の悪循環」に陥ることで、人生がうまくいかなくなっている人って少なくないと思います。システマのトレーニングを行うことで、こうした不安を軽減することができるんです。

——具体的にはどのようなトレーニングで、心の中にある不安を減らすことができるのでしょうか。

北川 不安の根源には「わからない」ということがあります。「相手が何を考えているのかわからない」とか「自分の将来がどうなるのかわからない」というのは恐ろしいし、不安ですよね。人生におけるさまざまな「わからない」ことが、私たちの心に不安を生み出しています。

システマのトレーニングは、身体を通して、この「わからない」を「わかる」に変えていくことを目指します。例えば身体に突きつけられたナイフをかわすトレーニングがあります。これは、ナイフから身を守るスキルを身につけるというよりも、「ナイフを突きつけられる」という状況に身を置くことで、危機が迫ったときに自分の心に生じる不安や緊張を知り、それをコントロールするトレーニングなのです。

システマ・トロント校長、ヴラディミア・ヴァシリエフによるナイフを使ったトレーニングの様子
心の中にある不安や恐怖心が小さくなると、ちょっとしたことで感情的になったり、偏った主義主張にこだわったりすることが少なくなります。すると結果として、他人とのコミュニケーションもうまくいくし、仕事やプライベートの流れが円滑になっていく。

システマのトレーニングをやっているうちに人生が何となく楽しく、豊かになっていく人がいるのは、たぶんそういうことなんじゃないかと考えています。

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