甲野善紀
@shouseikan

「風の先、風の跡――ある武術研究者の日々の気づき」

「狭霧の彼方に」特別編 その1


<釈徹宗先生に宛てた甲野善紀の手紙の抜粋>

釈徹宗先生

 いつも大変お世話になっております。さて、今月末には、また講座でお世話になりますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

(中略)
 
 さて、今回御手紙いたしましたのは、この五月三十一日の講座のことではなく、先日電話でお話ししました、現在京都在住の田口慎也氏のことを御紹介したいと思ったからです。
 
 電話でも少し申しましたが、田口氏とは森田真生氏と私で始めました「この日の学校」で出会いました。多分「この日の学校」が始まってから間もない二〇一〇年頃だと思います。
 
 田口氏が「この日の学校」に初めて参加された時か、二回目に参加された時か、その辺りの「この日の学校」の打ち上げで、たまたま席が隣になり、少し話をしましたが、まだ二十代半ばの若者とはとても信じられないほど宗教について、また人間が生きるということについて深く考えられていて驚嘆しました(このことは、この後、田口氏から托された、田口氏の自己紹介文をお読みいただければ、釈先生も御納得がいくと思います)。
 
 田口氏と出会って、すぐ「この人物ともっと話をしたい。そして出来るならば、これほどの若者が現代の世の中にも存在することを、より多くの人に知らせたい」という思いが抑え難くなり、二〇一一年から「夜間飛行」で始まったメールマガジン『風の先・風の跡』に、田口氏との往復書簡「狭霧の彼方に」の連載を始めました。
 
 今回の田口氏の自己紹介文は、この「狭霧の彼方に」の中からの引用も多々ありますが、この往復書簡は本にすれば二冊か三冊になるくらいの量はあるのではないかと思います。
 
 田口氏は、私が知り合った当時は京都大学の大学院生でしたが、現在は留学生(主としてアジア系)に日本語を教えたり、面倒をみる仕事をされているようです。ただ、先日久しぶりに会った時は、「どうも自分は人にものを教えるのに向いていないので、ビザに関する事など生活面の世話をする仕事を主にしています」との事でした。

(中略)
 
 お忙しいなか、少なからぬ文字数の文書をお送り致しますが、よろしくお願い申し上げます。

(中略)
 
 三十一日は、もし講座の前にお時間を取っていただけるようでしたら、早めに田口慎也氏を同行して御紹介したいと思いますので、当日の御予定など、お知らせいただければ幸いです。

甲野善紀

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甲野善紀
こうの・よしのり 1949年東京生まれ。武術研究家。武術を通じて「人間にとっての自然」を探求しようと、78年に松聲館道場を起こし、技と術理を研究。99年頃からは武術に限らず、さまざまなスポーツへの応用に成果を得る。介護や楽器演奏、教育などの分野からの関心も高い。著書『剣の精神誌』『古武術からの発想』、共著『身体から革命を起こす』など多数。

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