城繁幸
@joshigeyuki

城繁幸×竹田圭吾特別対談(その3/全3回)

ネトウヨとサヨクが手を結ぶ時代のまっとうな大人の生き方

cover_0605

新卒一括採用がなくなれば、より多くの人にとって職を得るチャンスが生まれる。

英語を小学校から教育すればグローバルに活躍できる人材ができる……。はたしてそれは本当なのか。10年後に幸せになるためのキャリアパスを考える城繁幸さんと竹田圭吾さんの特別対談、いよいよ最終回です。

 

※城繁幸さんメルマガ『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」も好評配信中!

その1はこちらから→日本の30代以上だけが気づいていない「ノーリスクのリスク」
その2はこちらから→「ブラック企業」という秀逸なネーミングに隠された不都合な真実

 

 

終身雇用が終われば、新卒一括採用も終わる

 

――新卒一括採用についてはどのようにお考えですか。

 

:基本的には企業はもっといろんなタレントを採るべきです。だから新卒一括採用は無くなったほうがいいとは思いますね。ただ、企業からすると、終身雇用をする以上、ポテンシャルの高い若い22歳の男の子を採るのが合理的です。

理由は、さきほど大企業に転職するときに35歳以上だと不利になってしまうと言ったのと同じで、年齢給を考慮しなくてはならないならば、採用時の年齢は若ければ若いほどいい。だから、例えば、インターンを2か国で経験していて見どころがあるんだけど、3年間留年している駒沢大卒の学生とかは、大手企業では落とされる。大企業の年功賃金システムに乗せるためには、留年が許されるのはだいたい2年までですね。

別に何かの思想があるわけでもなくて、自社の雇用システムにとってもっとも合理的な行動に注力してるだけなんですよ。新卒一括採用というのは終身雇用の一つの側面なんです。だから、終身雇用がなくなれば、結果として新卒一括採用も廃止になるはずです。

ただ、現実的には、金銭解雇を制度として導入したとしても、人事側も同じ釜の飯を食ってきた人をいきなりは切れないので、結局10年くらいはほとんど変わらない状況が続くと思います。

若者の中から「奉公してもいつ切られるかわからない」という意識を持つ人が現れてきて、一方で経営者も切羽詰まって、「悠長なこと言っていられない」と伝家の宝刀を抜くようになる。それが積み重なって、終身雇用がだんだんと消えていって、最後に新卒一括採用がなくなるのではないかと考えています。

 

竹田:要するに、新卒一括採用の問題というのは、単純な採用制度の問題ではなくて、終身雇用や学歴主義、それに労使の協調といったカルチャー的なものまですべてが組み合わさって作られた日本独特の採用タイムテーブルなんだということですね。

 
ジャーナリスト/編集者/コメンテーター。名古屋外国語大学客員教授。1964年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒。2001年から2010年までNewsweek日本版編集長を務める。フジテレビ『とくダネ!』『Mr.サンデー』レギュラーコメンテーター。J-WAVE『Jam The World』木曜日ナビゲーター。出演番組はほかに読売テレビ『かんさい情報ネットten.』、テレビ東京『未来世紀ジパング』、BS朝日『いま世界は』、テレビ西日本『土曜ニュースファイル CUBE』など。 竹田圭吾 ジャー ナリスト/編集者/コメンテーター。名古屋外国語大学客員教授。1964年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒。2001年から2010年まで Newsweek日本版編集長を務める。フジテレビ『とくダネ!』『Mr.サンデー』レギュラーコメンテーター。J-WAVE『Jam The World』木曜日ナビゲーター。出演番組はほかに読売テレビ『かんさい情報ネットten.』、テレビ東京『未来世紀ジパング』、BS朝日『いま世界 は』、テレビ西日本『土曜ニュースファイル CUBE』など。

 

 

1 2 3
城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

その他の記事

カメラ・オブスクラの誕生からミラーレスデジタルまでカメラの歴史を振り返る(高城剛)
川端裕人×松本朱実さん 「動物園教育」をめぐる対談 第1回(川端裕人)
【疲弊】2021年衆議院選挙の総括【疲弊】(やまもといちろう)
400年ぶりの木星と土星の接近が問う「決意と覚悟」(高城剛)
なぜ若者に奴隷根性が植えつけられたか?(後編)(岩崎夏海)
ひとりの女性歌手を巡る奇跡(本田雅一)
俺たちのSBIグループと再生エネルギーを巡る華麗なる一族小泉家を繋ぐ点と線(やまもといちろう)
健康と自然のリズム(高城剛)
都民ファースト大勝利予測と自民党の自滅について深く考える(やまもといちろう)
幻の鳥・ドードーの来日説を裏づける『オランダ商館長の日記』(川端裕人)
寒暖差疲労対策で心身ともに冬に備える(高城剛)
勢いと熱が止まらないマレーシアの経済成長(高城剛)
就活の面接官は何を見ているか(岩崎夏海)
京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛)
AIと再生医療(高城剛)
城繁幸のメールマガジン
「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回配信(第2第4金曜日配信予定)

ページのトップへ