やまもといちろうの記事一覧

個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。
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「日本の労働生産性がG7中で最下位」から日本の労働行政で起きる不思議なこと

あほらしい話なのですが、先日G7で日本の労働生産性が最下位であるということで、日本企業の労働環境がいかにクソであるかという披露話がTwitterでトレンド入りするほど大きな話題になりました。しかしながら、この国際比較で行われる労働生産性は、あくまでその国の国民総生産を労働者数・労働時間(または購買力平価PPP)で割っただけのものなので、実際のところ国民の労働市場に女性が投入されたり、定年退職した高齢者が嘱託再雇用されると労働生産性は下がってしまいます。(2018.12.26)  続きを読む

世界的な景気減速見込みで訪れる「半世紀の冬」

メルマガやTwitterなどでもさんざん書いてきたことではあるのですが、私自身は世界の平和が実現したことによる「平和の配当」時代は終わりをつげ、新たな米中対立のなかで再び緊張と低迷の時代に陥ることに備えたほうがいいのでは、と思っている側の人間です。なので、どうしても12月25日に日経平均株価が1,000円以上下落したこと自体は何も不思議はないと思っていますし、「豪運の人」安倍晋三総理の治世には恩恵を被りつつも、世界的な流動性減退の状況と、日本国内での経済シュリンクとが結構な閉塞感を呼ぶのではないかと思い、私なりに警鐘は鳴らしてきたつもりです。(2018.12.25)  続きを読む

そもそも国にGAFAなどプラットフォーム事業者を規制できるのか?

というわけで、有識者検討会が始まってしばらく経つわけなのですが、その内容のアレさ加減に界隈は騒然となっています。もちろん、これは総務省が悪いわけではなく、プラットフォーム事業者間の競争が激化したいま、論点整理して「その競争の仕方はやめろ」「個人情報は大事に扱え」「きちんと日本国内に事業所を置いて日本に税金を払え」と言っても、制限をかければかけるだけ海外に軸足を置かれて規制が規制にならなくなってしまう、という問題を抱えてしまっているわけであります。(2018.12.03)  続きを読む

仮想通貨に関する概ねの方針が出揃いそう… だけど、これでいいんだろうか問題

仮想通貨に関する政策骨子を固める勉強会も話が進み、非常に無難に話がまとまりつつあります。不良業者は排除しつつ、金融イノベーションに資する仮想通貨事業者を中心に安心して投資できる環境づくりをしていきましょう、という話でありまして、総花的ではあるけど、いままでそういう議論すらないまま適当な事業者が数百億円レベルのやらかしを繰り返してきたことを考えると、この程度の揺り戻しで良かったねという状況ではないかと思います。(2018.11.30)  続きを読む

ネットメディア激変の構図とサブスクリプション問題

このところ、ネットメディアにおいてイベント(セミナー)とサブスクリプションモデルで読者を囲い込む動きが強まっておりまして、ビジネスパーソンメインのNews Picksを筆頭に古き良き月額会員誌のような動きをしているのは興味深い現象です。事業として黒字か赤字かは別として、コンテンツ力が勝負で浮き沈みの激しいメディア運営において、そのメディアを定常的に応援してくれるファンの可視化と固定化で経営を安定せしめるというのは実に優れた方法ではあります。(2018.11.30)  続きを読む

最近「オタク叩き」の論調がエクストリーム化して理解が非常にむつかしい件

フェミ(ニスト)であれネトウヨであれパヨクであれマスゴミであれ、自分の意見と合わない、かつ、自分の属性ではない誰かに何らかのレッテルを貼り、それに対して藁人形論法で叩きに行く手法はネットでは定番になってきました。先般のAV女優出演強要問題でも、また、オタクの抱き枕でも、おそらく双方には双方なりの言い分はありますし、そこに至るまでの経緯もコンテクストも積み上がっているはずです。(2018.11.01)  続きを読む

ブロッキング議論の本戦が始まりそうなので、簡単に概略と推移を予想する

先日、海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)の議論は中間の取りまとめが行えず会議が無期延期となりました。その後、このタスクフォースで有識者としての意見をまとめられなかったため、今度は知的財産権本部でタスクフォースの親会が開催されることとなり、式次第が公表されました。恐らくは、タスクフォースで否定されたブロッキングの法制化について、内閣提出(閣法)またはMANGA議連など超党派の枠組みを使っての議員立法で強引に新法でも作ろうという話なのかもしれません。(2018.11.01)  続きを読む

トレンドマイクロ社はどうなってしまったのか?

トレンドマイクロ社ネタを冒頭に持ってくるのは心が痛まないでもないのですが、あまりにも酷い状況になっているようで…。ちょっとセキュリティソフトとして許容されるレベルを超えているように見受けられ、正直関係各方面も心配しておったわけなのですが、ここにきて妙な釈明文や、ZDnetで提灯記事が出てしまうと真顔になるほかありません。(2018.10.31)  続きを読む

「酒を飲めない人は採用しない」という差別が騒がれない不思議な話

以前遠巻きにお世話になった会社なのですが、株式会社武蔵野というダスキン方面の会社の社長、小山昇さんが怪気炎を上げているというので見物に行きました。採用で正面から「弊社では酒を飲めない人は採用しない」と言い切り、飲み会をしない上司は三流と言い切る姿勢は、リップサービスもあるとはいえ理解ができません。時代錯誤というレベルを超えて、これはちょっとした下戸に対する就業差別ですらあるのではないか、と思います。「生まれつき飲めない人を差別していいのか」というのは言いがかりではなく、それを公言すること自体、本当に駄目だと思うわけです。(2018.09.30)  続きを読む

虚実が混在する情報の坩堝としてのSNSの行方

米大統領選を左右した可能性もあるということなどからフェイクニュース問題が注目されて以降、SNSを中心にネット上で流通する情報の信頼性をどう担保するかが大きな課題となりつつあります。かなり突き放した考え方の一つとしては、誰もが自由に書き込みできるようなネット上の掲示板やSNSなどで流布される言説の類は、いわゆる“チラシの裏”に書き込まれた戯れ言同然であるという認識で受け止めるのがネットリテラシーの第一歩であると割切ってしてしまえばそれで済む話なのかもしれません。(2018.09.30)  続きを読む

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