自分のスキルを何のために使うか
「与贈循環」とは何か。これはつまり「個」の働きを「場」に「与贈」することによって、豊かな居場所ができていくということです。
前半に、「自分へのアポをとれ」と申し上げましたが、確保した時間を、何のために使うかということを少し根本的に考えてみてください。
自分の力を「個」のためだけに使うのではなくて、「場」が豊かにするために使う。そのためにスキルアップをするということなんですよ。
そうすると、豊かになった場から、自分にいろんなリターンが返ってくる。これは「居場所」も含まれます。
新人が朝30分早く職場に来て掃除する。これも「場」に対する「与贈」ですよね。イエローハットの創業者の鍵山さんは「社長みずからトイレ掃除をしろ」とおっしゃっています。これも「与贈」です。もっとも汚れるところを社長みずからが掃除をすることで、「ああ、あの社長にやっぱりついていこう」と慕われるようになる。
忙しい、忙しいと言いながら、自分へのアポを作らずに仕事を言われるままやっている人。
直接的な売り上げになるから、ここはクライアントの話を聞いていた方がいいだろう、という感じで営業している人。
厳しい言い方ですが、そういう人は、もしかしたら自分の「居場所」がなくなる第一歩をもう踏み出しているかもしれない(笑)。
「お金がもらえるから、頑張る」のではない。最初から収奪を考えたらダメなんですよ。一体そのクライアントに対して自分は何ができるか。営業活動はそこにつきます。「あらかじめ率先して与える」という姿勢が必要になってきます。
僕も営業マン時代は、新規開拓の営業をやりました。でも、まったくつきあいのないところに「何か媒体出しませんか」といっても、出してくれませんよね。最初は、その会社が必要としている情報を提供するところから始めた。こんなことありましたよ、昨日のテレビでこんなのやってましたよ、ということです。直接クライアントに会って話をすることもあれば、うるさがられるようであれば、メールで送ったりしていました。
そうやっていくうちに、関係ができてくる。「与贈」が先なんです。みずから動いて「与贈」することによって、クライアントとの即興劇ができていくんです。

その他の記事
![]() |
「10年の出会い、積み重ねの先」〜日本唯一のホースクリニシャン宮田朋典氏による特別寄稿(甲野善紀) |
![]() |
いま必要なのは「ちゃんと知ろうとする」こと(家入一真) |
![]() |
花見で教えられるこの世の唯一の真実(高城剛) |
![]() |
『小説家と過ごす日曜日』動画版vol.001<IRA’Sワイドショー たっぷりコメンテーター><恋と仕事と社会のQ&A>(石田衣良) |
![]() |
今週の動画「虎落解き」(甲野善紀) |
![]() |
スマホVRの本命「Gear VR」製品版を試す(西田宗千佳) |
![]() |
「電気グルーヴ配信停止」に見るデジタル配信と消費者保護(西田宗千佳) |
![]() |
統計学は万能ではない–ユングが抱えた<臨床医>としての葛藤(鏡リュウジ) |
![]() |
「日本の動物園にできること」のための助走【第一回】(川端裕人) |
![]() |
キリシタン大名と牛肉を食する文化(高城剛) |
![]() |
スーツは「これから出会う相手」への贈り物 (岩崎夏海) |
![]() |
チェルノブイリからフクシマへ――東浩紀が語る「福島第一原発観光地化計画」の意義(津田大介) |
![]() |
「小学校プログラミング必修」の期待と誤解(小寺信良) |
![]() |
なぜNTTドコモは「dポイント」への移行を急ぐのか(西田宗千佳) |
![]() |
結局Apple WatchとAndroid Wear搭載Watchは何が違うのか(小寺信良) |