心は刺激依存症
なぜ心は刺激を求めるのか。それはおそらく、刺激のまったくない状態が、心に「死」を連想させるからではないかと思います。
僕はいろんなところで瞑想をお勧めしています。それを聞いて「ちょっとやってみようかな」と思って取り組んでみる人はけっこういますが、ほとんどの人が必ずといっていいほど続かない。そこで「なぜ止めてしまったのか」と聞いてみると、瞑想がまったくうまくいかないから止めたというよりも、むしろ瞑想が少し上手にできだしてから、止めてしまっている人が多いんです。
不思議ですよね。
でも、これは「心が刺激を求める」という仮説に立つと、説明できるんです。瞑想がうまくいくと、心から刺激が減ります。そうすると心は「これはまずい」と大慌てで瞑想をやめさせようと、あの手この手で邪魔をしてくる。だいたい、こういうパターンで、瞑想を止めてしまうんだと思うんです。
それくらい、僕らの心は、刺激を渇望している。刺激がなくなることに対する恐怖心は、かなり本能的なもので、とても強い。だからこそ僕らは、無感覚の恐怖よりは悪い刺激で苦しむことを選ぶのではないか。
卑近な例でいえば、ネットの書き込みで悪口を書かれているのを1回見ると、もっと見たくなるということもありますね(笑)。これ、完全に「悪い刺激」ってわかりきってるじゃないですか。それでもなお、僕らは刺激を求める。もっと見たくなる。見て傷つく。
つまり僕らの心は「もっと怒りたい」「もっと傷つきたい」と思っている。一言で言えば「刺激依存症」なんですね。
その他の記事
津田大介×石田衣良 対談<後編>:「コミュニケーション」が「コンテンツ」にまさってしまう時代に(津田大介) | |
19人殺人の「確信犯」と「思想の構造」(やまもといちろう) | |
世界でもっとも自然災害リスクが高いのに世界でもっとも幸せな国の一つと言われるバヌアツの魅力(高城剛) | |
Amazon(アマゾン)が踏み込む「協力金という名の取引税」という独禁領域の蹉跌(やまもといちろう) | |
ソーシャルビジネスが世界を変える――ムハマド・ユヌスが提唱する「利他的な」経済の仕組み(津田大介) | |
実際やったら大変じゃん…子供スマホのフィルタリング(小寺信良) | |
村上春樹から上田秋成、そしてイスラム神秘主義(内田樹&平川克美) | |
旅を快適に続けられるための食事とトレーニングマシン(高城剛) | |
京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛) | |
人はなぜ働くのか(岩崎夏海) | |
テクノロジーの成熟がもたらす「あたらしいバランス」(高城剛) | |
マジックキングダムが夢から目覚めるとき(高城剛) | |
「モテる人」が決して満足できない理由(岩崎夏海) | |
ヘッドフォンの特性によるメリットとデメリット(高城剛) | |
福島第一原発観光地化計画とはなにか――東浩紀に聞く「フクシマ」のいまとこれから(津田大介) |