社会のシステム化が「うつ」を呼ぶ
共感ですらシステム化されていく社会の中で、「驚く力」は、本当の意味での「共感」を呼び覚ますスイッチになりうると僕は考えています。
そこに取り組まない限り、僕らの社会全体を取り巻くある種の「うつ」状態から抜け出すことは難しいと僕は思う。というのも、「うつ」の根底には、自分の人生が「システム」に支配されているという思い込みがあるからです。
システムは、あらゆることは予測可能であり、予定調和であることを求めます。それは確かに安全・安心な世界かもしれませんが、社会がそちらに向かえば向かうほど、僕らは抑うつ状態から抜け出しにくくなっていきます。
システムがよくできていればできているほど、うつは強くなる。そういう意味では、3.11のような天災によってシステムが一時的に崩壊したときは、僕らが驚く力を取り戻し、うつ状態から抜け出すという点では「チャンス」でした。
しかし実際には、少なくとも社会全体としては、より強固なシステム、より間違いない予定調和を求める方向に進み、さらに社会の抑うつの度合いは増しているように思います。
おそらく、東北で実際に被災した方々の中には、そういう「システムをより強化する方向性」に疑問を抱き、違う方向に舵を切ろうとした人も少なからずいたはずです。しかし、多くの日本人は、結果的にはシステムを強化する方向を選んだ。
それくらい僕たちは、システム化されることを、自ら望んでしまう傾向を持っている。その一方で、世界を完全にシステム化することは不可能であることもまた、どこかで気づいてもいる。

その他の記事
![]() |
2017年、バブルの時代に(やまもといちろう) |
![]() |
これから10年で大きく変わる「街」という概念(高城剛) |
![]() |
正しい苦しみ方(岩崎夏海) |
![]() |
美食の秘訣は新月にあり(高城剛) |
![]() |
(2)「目標」から「目的」へ(山中教子) |
![]() |
発信の原点とかいう取材で(やまもといちろう) |
![]() |
川端裕人×オランウータン研究者・久世濃子さん<ヒトに近くて遠い生き物、「オランウータン」を追いかけて >第1回(川端裕人) |
![]() |
メタ視点の鍛え方(岩崎夏海) |
![]() |
声で原稿を書くこと・実践編(西田宗千佳) |
![]() |
高解像度と景気の関係(高城剛) |
![]() |
いまさらだが「川上量生さんはもう駄目なんじゃないか」という話(やまもといちろう) |
![]() |
長崎県の政界汚職でハンターさんが巻き込まれた件(やまもといちろう) |
![]() |
教育経済学が死んだ日(やまもといちろう) |
![]() |
人はなぜ「モテたい」のか? いかにして集注欲求を昇華させるかが幸福のカギ(名越康文) |
![]() |
「病む田舎」の象徴となるような事件が多いなあという話(やまもといちろう) |