『静かなる革命のためのブループリント』発売記念インタビュー

宇野常寛が考える”社会と個人”を繋ぐ新しい回路とは

 「静かなる革命ヘのブループリント」とは

――『静かなる革命へのブループリント』というタイトルは、どういう意図でつけたのですか?

 

まず、そもそも河出書房の編集者と「ここにはまだ誰も可能性を見出してないのだけど、希望があるのだ」というメッセージを打ち出したいという話をしていた。 それで、タイトル決めの段階で、高田馬場の10℃AFEで編集者とずっとああでもないこうでもないと話していて、例えば、その中で出てきたタイトルの一つが「ここにだって天使はいる」(笑)。これは、NMB48のチームNの新公演のタイトルなんだけど、いくらなんでも天使とか言いながら出てくるのが中年男性だらけというのは問題があるだろう、と(笑)。

最終的には、ヒカリエでやっている連続トークイベント「渋谷セカンドステージ」第一回目のキャッチコピー(『衣食住から始まる「静かな革命」』)を担当編集者の人が気に入ったのが決め手になった。実のところをいうと、僕は「革命」という言葉が少々左翼っぽいので抵抗感があったの。だけど、話しているうちに、ありかもしれないなという気がしてきた。

この本は、ひと言でいうと、マーケットが世界を変える力を持つことを主張した本なんです。でも、それってみんな肌では知っていても、やはり特に旧左翼的な文系の人は「それを言ったら負けなんじゃないか」という気持ちを抱く話なんだよね。

でも、幸か不幸か僕には左翼的な知識人の血が全く入っていないので、そういうことがあっさりと言えてしまう立場にいる。だったら、現在マーケットで起きていることを「革命」と言い切ってしまうのは、彼らにとって大変に嫌なことだろうから(笑)、あえてつけてやろうと思った。 ブループリントについては、実際に焼けるわけだから青写真なわけじゃない。

「現実には絶対に存在し得ないがゆえにラディカルな理想」ではなく、「実際に現実に存在し得る理想」というニュアンスを込めたかったんだよね。

 

――今回の本の一番面白いところは、人選がほとんど言論メディアに出てこない人たちであることだと思うんです。彼らとは、どういう形で知り合ったのですか。

宇野 この本におけるキーパーソンを一人あげると、楽天の尾原和啓さんだよ。実は、彼を中心とした、ある種の異業種交流会のようなものがあって、彼らはそこで知り合った人たちなんだよね。ちょうどP8を作る半年くらい前に僕も彼らに合流して、それ以降、僕と尾原さんを中心にクローズドな勉強会やプロジェクトを、もう二年近く走らせている。

もちろん、門脇さんのように別の場所で知り合って、僕が尾原さんたちに紹介した人もいるけどね。 今回の人選で一つ基準にしたのは、僕が取り上げなければメディアにはなかなか出てこない人たち、というところかな。もちろん、猪子さんや駒崎さんなんかは色々な場所に露出しているけど、でも駒崎弘樹を徹底的に社会運動家として論じたり、猪子寿之を徹底的にアーティストとして見るような視点って、実はありそうでなかったと思わない?

実際、猪子さんにデジタル論や日本文化論の話を聞きに行くメディアは沢山あるけど、「あなたは作家としてどうなの?」と迫った人って見たことないでしょう。彼らに対しては今回、そういう方向から話をしている。

 

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