城繁幸
@joshigeyuki

城繁幸メールマガジン『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法より

就活解禁になっても何やっていいのかわからない時に読む話

就活サラブレッドの弱点

最後に、早期から自身のキャリアデザインをみすえた学生生活を送り、3月時点である程度絞った活動をスタートさせている人たちについてもフォローしておきましょう。筆者はそういう人たちのことを就活サラブレッドと呼んでいます。

数字だけ見ると確実に売り手市場なわけですが、実際には就職戦線は10年ほど前からずっと二極化し続けています。たとえばピンポイントで大手企業3社回って3社から内定をもらえる学生がいる一方で、100社エントリーしても内定ゼロという学生もいるわけです。人事部はもはや90年代のような数合わせの採用は行わず、厳選採用にシフトしているので当然ですね。内定が集中する学生というのはほとんどの場合、早期にキャリアデザインを終えている就活サラブレッドです。

ただ、そういう人にも弱点はあります。それは、彼らの中には、全体のマップを持っていない人が意外に多いということです。

先に筆者は、複数のOBを偵察隊がわりにして社会人のキャリアの俯瞰図を持てと述べました。地味な仕事にショックを受けつつ、その積み重ねに真価を見出して日々精進する企業人、早々に見切りをつけ3年で外資や新興企業に転職する人、組織内で働きつつ組織に依存しない専門性を身に着ける人。もちろん、やりがいや達成感も業種ごとに異なります。

そういう全体のマップをある程度踏まえた上で「自分は〇〇の仕事で、〇〇な具合にキャリアを伸ばしていきたい」と答えを出した人と、全体のマップを持たぬままそうした答えを出した人では、一見同じ答えに見えても、その後の社会人生活でぜんぜん異なるリアクションが出たりすることも珍しくありません。要するに、何かのきっかけで「自分の天職は〇〇だ」と思い込んでいただけなんですね。

だから、就活サラブレッドの中には、意外に3年内に早期離職するタイプが多いように見えます。もし本メルマガを読んでいる人の中に、早くからキャリアデザインを終え、準備万端、これからいよいよ就活をスタートさせようと考えている人がいれば、もちろんそれはそれで結構ですが、若干は幅を広めて就活してみると、新たな気付きがあるかもしれません。

「やっぱりこういう仕事は自分には全然合わないや」というのもまた価値ある気付きなわけで、無駄というわけではないのです。

【今週のポイント】

・3月まで特に何もしてこなかったという人は、とにかく多くのOBに会うとよい。

・OB訪問の真の目的は、社会人としてのキャリアマップを作ること。そのためにポイントを押さえた質問を心がけよう。

・そうしたマップ無しに既にキャリアデザインを終えている人は、実は自身で勝手に何かが天職だと思い込んでいるだけかもしれない。それを確認する意味でも、これからの5か月間は意義ある期間だ。

 

※この記事は、城繁幸メールマガジン『サラリーマン・キャリアナビ』☆出世と喧嘩の正しい作法 Vol.104(2015年03月27日)<就活解禁になっても何やっていいのかわからない時に読む話><Q&A: 本一冊ってどれくらいの時間で書けるもんでしょうか?><「労働ニッポン 欧米にない3つの土壌」について>の一部です。

 

 

 

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城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

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